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放置令嬢の立て直し  作者: 道野草花
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 暫くして、ギルヘルムの隣にドカッとガサツに座ったのは、先日会ったクレマンだ。


「よぉ。」

「やぁ、お疲れ。」

「一人か?」

「あぁ。シルヴィアはまだ来てない。」

「そうか。」


 強盗事件の時は深くフードを被っていたが今日は顔を出している。掃除屋の姿をしている彼と直接会うのは初めてだ。煤を頬や服につけたその姿は、仕草から何まで、平民らしさが出ていた。


「凄いな。いつも会う正装姿の君とは大違いだ。」

「なんだよ。」

「いや、流石だと思って。やはり何年もこういう場所に視察しに入っているからか?王族の雰囲気を感じない。」

「……割と俺は素なんだけど。」

「……。」


 クレマンもビールを注文し、ギルヘルムは新しく追加をした。注文後、クレマンは近くを見廻す。


「今日は護衛はいないのか?」

「向かいのカフェにいるよ。君は?」

「俺のは、その隣の小洒落た飲み屋で待機してる。いつもは一緒にここにいるんだが、今日は3人だって約束だからな。」

「そっか。」


 クレマンとギルヘルムが話す時は、いつもどこかの王城内で、こうした場で他愛無い話をするのはお互い少し違和感があるのか、流れる空気がぎこちない。マリアンヌのことを待つが、まだ来ない。


「はい。ビールお待ち。」


 ゲルタが豪快にビールをテーブルに置く。その拍子に、ジョッキから泡が飛び出した。


「とりあえず…、酒だな。シルヴィアが来たらまた乾杯するか。」

「そうだね。」

「じゃあ、俺たちのこの姿に乾杯って事で。」

「はは。」


 グラス同士がぶつかり、涼しげな音を立てた。勢いよくクレマンがビールを飲み進める。


「あー、うめぇ。」


 クレマンは一気に半分ほどになったジョッキをテーブルに置き、袖で口を拭った。


「君は王城の客室で寝泊まりしてたの?そちらの国の人と全く会わないけど。」

「いや、俺は城下町の宿屋だ。」

「城下町の?」

「そ。アルヘルム王子と話すのが面倒で。マリアンヌのことを知りたがって、俺や親父に色々詮索してきた。」

「うわ、なんかごめん。」 


 ギルヘルムが謝ると、クレマンはきょとんとした顔をした。そして、ビールを呷ってから歯を見せて笑って言った。


「親父は王城に一泊だけして帰ったし、俺もすぐ城下町に行ったから何も問題ねぇよ。」

「そっか。」

「お前も大変だな。あんな兄貴がいてさ。」

「…なんとも言えない。」

「あーぁ、お前が国王になったらやりやすいのになぁ。」

「まぁ、僕は兄の後ろでサポートに回るよ。」

「やるせねぇー。」


 その後も二人は、家族のことや、国の今後について話を進めた。


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