表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放置令嬢の立て直し  作者: 道野草花
52/77

52

 ギードに会うのはいつぶりだろうか。ギードの後ろには、見慣れた顔の男が二人立っている。ベルナードとフォルカーだ。彼等は皆、正装をしていて、とても町民…掃除屋には見えなかった。


「ギード、どうしてここに…。」


 マリアンヌの声が震える。驚きと動揺が隠せない。


「…ま、まさかお前シルヴィアか?」


 ギードもマリアンヌと同じ感情を抱いているようだ。後ろにいる二人も同様に…。マリアンヌの隣でギルヘルムは肩を震わせ、笑いを堪えている。


「こんなところにいたのか。一週間ぶりだね。」

「アラン叔父様!」


 遅れてやって来たのはアランだった。ギルヘルムに挨拶をした後、隣にいるギードの肩に手を置く。とても親密な関係だということが伺える。


「叔父様?え、どういうことだ。親父、こいつが…。叔父って何?意味がわからない。」


 ギードは困惑している。アランとマリアンヌを何度も見比べながら必死に頭を回転している。そんなギードの頭にアランはゲンコツを落とす。


ーゴンッ


「いって!!」

「親父はやめろ。そして、マリアンヌのことをコイツって呼ぶな。ばかたれ。」

「はぁ!?マリアンヌだって!?」

「礼儀がなってなくてすまない。…私の倅のクレマンだ。」

「信じらんねぇ…。」


 マリアンヌも頭を殴られたような衝撃を受ける。まさか、ずっと手紙を届けてもらっていた相手が、いとこのクレマンだったとは…。だが、妙に納得のいく話だ。いくら人脈が広いとはいえ、王室に手紙を届けられる相手と繋がることは難しい。

 アランはギード…クレマンの頭をぽんぽん叩きながら話を続けた。


「なんだかもう仲良くなったみたいだね。ずっと紹介したかったんだよ。今日も、ぎりぎりまで参列できるか分からなかったんだ。」


 クレマンとマリアンヌを見て、アランはホッとしたような顔を浮かべた。


「…どっかの誰かが戦争に俺たちを駆り出すからだろ。」

「いやー、間に合ってよかった。」

「ここに間に合わせないと殺す言ってきたのどこのどいつ…。」

「何か言ったか?」

「…いーえ。」



「…ふふ。」


 二人のやりとりにマリアンヌは思わず吹き出す。本当に仲の良い親子だ。マリアンヌはドレスを持ち、クレマンに向かってカーテシーをした。


「初めまして。お会いできて光栄です。クレマン様。」

「…っ。」


 クレマンの顔がたちまち紅くなる。まだ頭の整理がつかないクレマンはどうしたらよいか分からずにいた。


「マリアンヌがあまりに美し過ぎるからって挨拶を返さないのは失礼だぞ。」


 動かないクレマンの頭をアランが軽く叩く。


「うるせぇ…。よろしくな。」

「はい。クレマン様。」

「様はやめろ。むず痒い。クレマンでいい。」

「…分かりました。」


 マリアンヌは顔をあげてクレマンを見たが、クレマンはすぐさま顔を逸らした。


「あーぁ、うちの坊っちゃまは仕方ないですねぇ。」

「近い親族の初の顔合わせだぞ。もっとしっかりしたらどうですか。」

「ベルナード、フォルカー!やかましい!!」


 クレマンの後ろから、ベルナードとフォルカーが野次を飛ばす。クレマンは怒った子どものような声を上げる。二人は偽名では無かったのかとマリアンヌは内心安堵した。


「さてさて、ここは若いのだけ残して、他国との友好を深めてくるとするか。」

「お供します。ですが、アラン殿下は嫌われすぎですから、気をつけてくださいよ。」

「ベルナードの言う通りです。挑発だけはやめてください。たまにはジュール国で長期間静かに過ごしたいです。」

「うちの護衛は小言が多いな…。分かった分かった。行くぞ。」


 アランは、ベルナードとフォルカーを連れてマリアンヌ達のそばを離れていった。


 取り残された三人は、誰が一番に口を開くべきか迷い、しばしの間沈黙した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ