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放置令嬢の立て直し  作者: 道野草花
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ーギルヘルム様の様子がおかしい…。

 あの町娘と出会ってからだ。



「ギルヘルム様。」

「…ん?あぁ、なんだ。」


 ギルヘルムの手は先程から止まったままだ。近頃のギルヘルムは、心ここに在らずといった様子がしばしば見られる。


「アルヘルム様への報告はうまくいきましたか?」

「あぁ。完璧だ。」


 数刻前ギルヘルムは、ハイケン視察の報告書をアルヘルムに提出した。

 ハイケンで領主のことを聞いて回ったが、これといって悪い噂は無かった。悪い噂は無かったが、ユリアンヌに関する情報は一つも入ってこなかった。領土管理は全てマルクスが執り仕切っているようで、ルードリッツ公爵夫人とその娘は一度も見たことが無いと住民は口を揃えて言っていた。

 しかし、町内が潤っていることは間違いない。町は温かく、幸せに溢れていた。


「兄上もルードリッツ領は管理の行き届いると知って満足そうだったな。」

「それは良かったですね。」

「あとはユリアンヌ嬢に直接会って貰わなければ…。」


 アルヘルムは、ギルヘルムからの報告を受け、ルードリッツ公爵家との関わりを強めることには前向きな姿勢を見せた。そしてユリアンヌの容姿も、皆が誉めているのを聞いて関心を寄せていた。だが、ユリアンヌに平民の血が混ざっていることを知ると顔を顰めたのも事実だ。

 2人を結婚に漕ぎ着けるは、直接会って心を決めてもらうしか無かった。


「アルヘルム様も、ギルヘルム様も積極的に社交界に出て令嬢達と親睦を深めるべきだったんですよ。」


 ヨゼフは、ギルヘルムに山積みになっている書類へのサインを促しながら小言を言い始めた。こうした小言を言えるのも信頼し合っている証であった。


「嫌という程、出席しているのだが…。」

「アルヘルム様は、最初に目についた令嬢と何処ぞにしけ込んでしまわれますし…。ギルヘルム様は、他国の方とばかりお話になるではありませんか。」

「外交しているんだ外交。大事なことだろ?」


 社交パーティーでは、美貌を持っている王子兄弟に令嬢達は隙あらば色目を使ってきた。子どもを使って、王家に近づきたいと目論む貴族の親達も多い。そうした事には、2人ともうんざりしていた。


 ヨゼフの言う通り、アルヘルムはその場に長居せず、最初に目についた令嬢と"そういうこと"をするために何処かに姿をくらませる。ギルヘルムは、他国の王族や貴族と政治についての話をして、令嬢たちを寄せ付けなかった。

 親であるヴィルヘルムとエメルダは、結婚適齢期を迎えるまではそうした息子達の行動を黙認することにしていた。


「それはそうですが…。アルヘルム様もギルヘルム様も自由行動が過ぎますよ。」

「はは…」


 ギルヘルムは笑って流した。いつもだったら、「適齢期を迎えたら、令嬢達との関わりに努める」と言い返すはずだが…。ヨゼフは違和感を覚えた。


 あの町娘が気になるのだろうか…。ヨゼフはそう思いながらも、それ以上この話題を広げることはしなかった。

 

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