3冊目 魔女っ子服は、意外にクオリティが高いらしいです。
外に出る俺たち。
もちろん、RPG的な武器屋や防具屋があるわけではない。
何の変哲もない街だ。
「フリルは、何年生なの?」
「3年生です」
「小学3年生? 小6くらいかと思ったけど」
「うーん。よく分かりませんが、私は魔導学校の3年生です。年齢は秘密ですけど」
「そうか……」
俺もよく分からんが、納得しておく。
すると、前方から背の高い女子が歩いてきた。
「あーっ! 変態!
小さな女の子誘拐してる!!」
「ちょっと待て! でかい声出すな!
マジで勘違いされるだろうが」
彼女は西園寺明里。
俺の幼馴染み。
家は西園寺グループで知られており、祖父はそこの総帥だ。
今日は休日なのに、学校の制服を着ている。
「西屋書房(さっきの古本屋)のお孫さんみたいでさ。
遊んであげてるんだ」
「ふーん……」
怪しげな目付きで見られる。
いや。やましいことはない……あるのか?
「私は西園寺明里。あなた、お名前は?」
「サン・フリルと言います。
勇さんの婚約者ですっ」
嬉しそうに目を細めるフリルと、殺人レベルの眼光になる明里。
「いや、そういう遊びらしいんだ……」
「明里さん、かわいいですねっ」
「そ。そう……?」
フリルの褒め言葉に、先程の目付きから一転して、たじろいでいる。
いつも、カッコイイとしか言われてないからな。
「ねえ。フリルちゃん、その魔女っ子ぽい服も仕立てがいいのは分かるけど、もっと別の服も来てみない?」
明里に誘われてフリルと俺は西園寺家へ行くこととなった。
……なにげに、俺も行っていいのね?
まあ、いっか。