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「おいアル何食ってんだ?」
ビクッ!!!!!!!!
「い、いや何でもないよ、そういえばあっちになんか食えそうな物落ちてた気がする!!」
「待て、その前にお前が食ってたものはなんだ?俺に隠し事する気か?」
「い、いや~ジル今日はまだ寝ないんだね。」
「お前がコソコソ夜に何かしてるからだ。」
「これは、その、なんていうか、魔力で作り出した幻影なんだ!そう!ジルが見たものは幻!!」
「いや、匂いも残ってる。不思議な匂いだが、いやじゃねー、何を食ってたんだ?」
「い、い、い、いや~明日はポーター頑張んないとなっ!!おやすみ!!」
「待て、いつも俺に飯を多くくれているのも知ってる、でもな、お前が我慢してるんじゃないかと心配していたんだぞ?俺には言えないのか?俺は信用に足らねーのか?いくらスラムのガキだってこんだけ大きくなりゃあ信用出来ねーか?俺はおめぇーの相棒じゃねーのかよ。」
「わ、悪いでも、俺はあまり知られちゃいけないと思って・・・・。それで・・・・。」
「まあ、お前が言いたくねーなら俺は、何も言わねーが、危険なことなのか?」
「うん、悪い大人に知れると厄介かも・・・・。」
「そうか、俺は知らねーほうがいいか?」
「うーん、絶対言わないなら言ってもいいけど・・・・。」
「俺は口は軽くねーぜ。」
「い、いや、俺がおねしょしたとか言いふらしてたじゃん・・・・。」
「あ、あれは仕方ないだろ、面白い話はあれくらいしかないんだからよ」
「いや、不安だ・・・・。」
「わ、悪かったな、言いふらして、大事なことは言わねー誓ってな。」
「まあ、まだどうなるかわかんないし何とも言えないんだけど。俺にはものを作り出す力があるんだ。それで作ったご飯なんだ。」
「なっ!!!!!!!!!?飯作れんのか!!!?」
「う、うん」
「飯に困んねーじゃねーか!!!!」
「うん・・・・。」
「美味いもん沢山食えんのか?」
「まあね・・・・。」
「何食ってたんだ?さっきは」
「おにぎりって言うんだけど。」
「俺にもくれよ、出せんだろ」
「ま、まあね、ちょっとそっち向いてて」
「おう!」
「はい、これ塩おにぎりだけど」
「し、塩!!!たけーあれだな!!?」
「うん」
「う、旨っ!!はっ!無くなっちまった!!もっとくれ!!!」
「な、何個?」
「三つ!!」
「はい、そっち向いて」
「おう!!」
「はい三個」
「おお!!うめーーー!!あったけーー!!!うまうま、ふー!!食ったぜ!!」
「落ち着いた?」
「おう」
「どうだった?」
「やさい生で食うのより美味かったぜ!!あれが塩味か!!旨かった!毎日食いてぇ、良いだろ?」
「う、うん、良いけど、秘密にしてくれよ?」
「でも、売ったら儲かるんじゃねーか?」
「目付けられたら困るよ」
「そ、そうか・・・。いける気がするんだがな、冒険者に売るのはいいんじゃねーか?」
「うーん、それはいいかも、でも噂は怖いかも」
「冒険者は噂が広まるのがはえーからな、そうか、いけると思ったんだが」
「俺らがポーターするパーティだけならいけるかなぁ、どうだろう・・・」
「行けんじゃねーか?でも金がねーのに物があるのはおかしいよな・・・」
「うん・・」
「どっかで金貨拾ったことにするか!!」
「いや、怪しいでしょ・・・・」
「そうだよなぁ~」
「あ、でも俺たちが食べてれば気になるんじゃないかな」
「そうか!それで行こう!!」
「これならいける気がする!」
「あ、でも俺食った奴と、アルが食ってたやつ匂い違わねーか?」
「そ、そんなことないよ。同じさぁ~」
「い~や違うね!なんか旨そうだったもん」
「仕方ないなー、そっち向いてて」
「おう!」
「はい」
「おー!!これこれ!!うまそーーー!うま!!なにこれ!!しょっぱいのがうめーぞ!!!なんだこれ!!?」
「肉だよ」
「肉か!!初めて食った!こんなもん食ってたのか!!!ずりーぞ!!!」
「うっ、ご、ごめん」
「ま、これからも食わしてくれんなら文句はねーけどな!!」
「わ、わかった」
「これ売るのか?」
「いや、どうしようか迷ってる」
「俺らが食うなら肉だろ!!」
「だよね・・・・」
「じゃあ肉だな!」
腹くくるしかないか・・・・。
「そうだね、肉にするか!もうやけくそだ!!」
「いややけくそは駄目だろ・・・」
「まあ何とかなるよ、俺の口から出まかせが止まらなくなるかもしれないけど」
「でまかせってあの下手ないいわけか?」
「へ、下手じゃないし」
「下手だろ?」
「ま、まあね、ほんとはもっと上手いんだよ?」
「あーはいはい。上手い上手い」
「ジルのくせに」
「なんだよくせにって!!」
「まあまあ、ここは俺に任せといて」
「まあ、いいけど、アルのほうが頭いいしよ」
「じゃあ決まりで」
「寝るか」
「うん」
「明日も早いしな」
「おやすみ」
「おやすみ」
「ジルなんでくっつくんだよ」
「いいだろ、寂しーじゃねーか」
「まあいいけどさ、ちょっと寒いし」
アルはジルの体温を感じながら寝るのであった。