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改装記ライブリマスター  作者: 聖千選


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第7話 AR(拡張現実)島への挑戦!!(三)

今回のお話のSF考証で参照した資料を後書きに記載します。

参考していただければ幸いです。

(三)


 「兄?馬暮紘一も居るのか?この島の住人だったのか・・・。」


 「ええ、兄は怒りに駆られています。彼を止めないと。」


 祐市の会話に真田も気づき山の上にいる少女を視認した。しかし、二人の会話と距離に不自然さを感じて首を傾げた。


 「君とこうして会うのは20年前の世界以来だ。だがこの島の島民なら島は60年前に封鎖されている。なぜ君たちはそのままの姿でいるんだ?君たちは一体・・・?」


 祐市の問いに舞は無言で答えない。


 かつての八尾須美島では半導体資源の採掘事業に酷使され今ではすっかり廃墟の島となり果てた。そうした贖罪の念から循環経済を大義名分に掲げこのプロジェクトはスタートしている。この土壌の再現には日本経済再生の鍵となる国産の半導体の精製になくてはならない。太陽製作所はこのプロジェクトのために細菌学の第一人者であるサンスクリット大学の益子教授を帰国早々にアドバイザーとして招聘し土壌精製に必要な菌種の培養を進めた。開発された菌種は培養のため諸角たちの研究チームに託されている。


 舞の懸念は樅乃山に帰路を急ぐ諸角たちのチームの背後から一筋の影としてなぞった。それを背中に受けて梶間はゾッとして立ち止まった。


 (誰かいる。)


 そう感じてからの異変の伝播は早かった。


 「ゲァ!!」


 一団の中から一人、またひとりとみぞおちや頭を押さえて背を丸めて倒れこむ。諸角たちの脳裏に見えない恐怖が植え付けられた。ここには狼のような獰猛な生物は生息していない話だ。頭で考えて肉体の鍛練を忘れた研究員たちにはその敵を捉えることは出来ない。


 ついには梶間も獣の餌食となり倒され、その場には諸角だけが立ち残った。影はこの一団の頭領を熟知している。獰猛な野生生物の仕業ではないことは諸角にも分かっていた。


「君は誰だ!なんの目的で…?」


 影はついに諸角の前に立ちはだかった。


「目的?フン、害虫駆除に決まってるだろ?」


「害虫だと?」


「そうだろ、自分都合の外来種持ち込んで島の再生だとか抜かす野郎に天罰を下すんだよ。」


 影は太陽を逆光して諸角からはその姿を伺うことは出来ない。解るのは20代ほどの若い男の声であること。そしてこの島に似つかわしくないジャケットとデニムを纏いその足の長さをもって自分の研究員を蹴り倒していた事が見てとれる。


「ここの島民なのか?」


「いいから寝ていろ。」


そして影の男は長い足を伸縮して飛びかかり諸角の顎に向かって一直線に膝蹴りを喰らわせた。諸角はなす術なくそのまま倒れ込んだ。そして男は迷いなく菌種を積んだジュラルミンケースを手にして去っていった。


 一方で。


 「庄野さん、その人誰なんですか?それはホログラフィなんですから早く帰りましょう。」


 真田の呼びかけにも応じず祐市と舞は数分間、無言で対峙していた。


 「とりあえず君を保護しないといけない。」


 均衡を破り祐市は舞の肩に手をかけようとした。その瞬間、祐市の鼻はいつものサビ臭さを嗅ぎとる。「まさか。」と脳裏をよぎったがその不安は嘘ではなかった!


 「グオーーーーーーーーーーーーッ!」


 雄叫びとも取れる奇声を上げて地中から2メートルほどの怪物が姿を現した。巨大怪獣体はないもののその姿は祐市たちの行く手を塞ぐのに十分であった。この怪物と唯一対峙経験のある祐市だけが、より強い「死」の恐怖を感じていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


今回の参照記事を以下に記載します。


水銀汚染土を不溶化 東京カンテイが実証、処理費低減など訴求

(日刊工業新聞2019/12/10掲載)

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/540971


窒化ガリウムパワー半導体実用化へ 東芝がプロセス技術開発

(日刊工業新聞2017/12/6掲載)

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00453377


次回もお楽しみに。




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