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第1話Part6 『上京計画進行中』

牧野:自宅、牧野の部屋 夜


 上京を決めた夏。免許を取りに行きつつ、具体的な上京プランを考えていました。

 たった一人であてもなく東京に行くのはいくらなんでも無謀すぎる。

 誰かを頼っていかないと、いざと言うときに困ってしまうのは私です。

 そう考えたとき、一人心当たりのある人を思い立ちました。

 その人の名前は指野美咲ゆびのみさき

 私の父方の従姉妹で、東京のレインバスという大企業で秘書をしています。

 彼女なら何とかしてくれるかも知れないと思い、私は彼女に自分の想いを伝える手紙を書きました。

 するとすぐに返事が来て、その手紙には上京したらウチにおいでと書いていました。

 私は嬉しくて部屋で小踊りしました。

 指野美咲さんという強力な後見人を手に入れて、私の東京上京計画は磐石になりつつありました。 



牧野:音楽スタジオこおろぎ内 夜


 私はベーシストです。楽器の練習も欠かせません。少し奮発して音楽スタジオこおろぎにやってきました。

 こおろぎの名前とは裏腹に、入り口前には水槽があって、熱帯魚達が泳いでいます。

「玉藻ちゃん。東京行くってホントなのかい?」

「はい。私の決意は固いです」

「そっか、玉藻ちゃんがいなくなると寂しい思いをする人間達が多そうだな」

「そうですか? でもこれはもう決めたことだから」

「東京でミュージシャンを目指すのかい? それなら秋田でも出来るだろ」

「東京の方が施設も充実してるし、行ってみたいんです。それに」

「それに?」

「森羅さんを探さないといけないですし」

「森羅さんって、あの森羅さん」

「はい。店長さんは心当たりありますか」

「いやあさっぱり。突然消息を絶ったから、何か事件にでも巻き込まれてないといいんだけどね」

「森羅さんに限ってそんなことはありません! きっと東京に行ったんです」

「何でそう思うわけ?」

「勘です」

「勘?!」

「そう。なんとなく、森羅さんは東京に行った気がするんです。だから東京に行って私が音楽活動をがんばれば、

 どこかで出会える。そんな気がするんです」

「ふーん。なるほど。森羅さんに会えるといいね」

「はい」


牧野:高校 教室内 昼


 私が上京するという情報は学校内でもちょっとした話題になっていました。

「牧野さん、東京行くの?」

「うん」

「東京行って何するの?」

「ロックに生きるんです」

 私は進路指導の紙にロックに生きると書きなぐりました。

 学校の先生は、バカみたいな夢を持つのは勝手だが、ちゃんと人生設計をしろと怒られました。

 東京行ったらまずは指野さんの家に居候しつつ、仕事を探す予定です。

 指野さんの好意に甘えてしまって恐縮ですが、すでに決めたことです。

 早く高校を卒業したいな。


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