漫才『言葉リサイクル』
ボケ先輩(ツッコミ役)
ツッコミ後輩(ボケ役)
ボケ 「はい、どうもー! ボケ言いますぅ」
ツッコミ「あー、自分ツッコミっす」
二人 「二人揃ってボケツッコミでぇす!」
若干の間
ツッコミ「本当にこれで掴みは完璧なんだろうな?」
ボケ 「当たり前や。ほら、お客さんどんどん引いとるわ」
ツッコミ「おっしゃ、潮干狩りしよか」
ボケ 「潮ちゃうわ! お客さんや! お前がボケてどうすんねん! そこは、お客さん引いとるやないかーい! やろ」
ツッコミ「いや、度を越えて面白うなかったから。俺のツッコミゲージの範囲外だったから仕方ない」
ボケ 「なんや、ツッコミゲージって。こいつホンマにムカつくわ。ま、いいわ。お前漫才始めて日が浅いからな。先輩の俺がホンマの面白い漫才っちゅうもんを教えたるわ」
ツッコミ「うっす」
ボケ 「最近、地球温暖化とか、砂漠化とか、南極の氷が溶けて海面が上がったりとか、環境破壊が進んどるやろ?」
ツッコミ「ナイスインテリジェンス!」
ボケ 「って、なんじゃそれっ! あかん。俺はボケやったな。んで、これらはみんな人間が関与しとるんよ」
ツッコミ「なんや、悪いやっちゃなぁ、人間は。お! よく見りゃお前、人間やろ! 正直に言わんかい!」
ボケ 「お前も人間やろっ!」
ツッコミ「私、ホモサピエンスです」
ボケ 「人間やないかーいっ!」
二人 「ナイスインテリジェンス!」
ボケ 「てか、話が進まんやろ。漫才師の俺達に何か出来る事はないか考えてん」
ツッコミ「ほうほう」
ボケ 「俺ら漫才師やろ。漫才師に出来る事言うたら?」
ツッコミ「吉本を買収する」
ボケ 「おうおう、出来る事ならやって貰おうやないかい」
ツッコミ「吉本ばななの本をアマゾンで購入する」
ボケ 「えらいハードル下がったやないか」
ツッコミ「それを持って吉本に乗り込…」
ボケ 「やめんかいっ! 俺ら漫才師止めなあかんようなるわ。じゃなくて、漫才師に出来る事言うたら『べしゃり』や」
ツッコミ「そりゃそうだ」
ボケ 「そこで考えたのが『言葉リサイクル』や」
ツッコミ「なんすか、それ?」
ボケ 「ようやっと聞いてくれた。言葉リサイクルっつうのはな、昔流行って今使わない言葉ってあるやろ」
ツッコミ 「例えば?」
ボケ 「KY(空気読めない)とか、死語って呼ばれとるやつや。これらを今風にアレンジするんや」
ツッコミ「KY(汚いヤバい)」
ボケ 「そう、そんな感じや。よう咄嗟に思いついたな。てか、俺を指差すなっ! ほな、こんな調子でいきましょか」
ツッコミ「うっす」
ボケ 「手始めに、みんな知っとるかなぁ…ビニ本」
ツッコミ「俺の世代じゃないっすよ。んじゃ、ビキニのお姉ちゃんが載ってる本」
ボケ 「お、ちょっと近いやないか。本当は知ってるんちゃうの?」
ツッコミ「知らないっすよ。千円札入れて買う自販機のやつなんて。何故か河原とか橋の下辺りにに落ちてるんすよね」
ボケ 「知っとるやないかーい!」
二人 「ナイスインテリジェンス?」
ボケ 「じゃあ次はこれや。ヤンキー」
ツッコミ「今でも使うんじゃないっすか。まぁ、絶滅危惧種っすけど」
ボケ 「では、いってみよー」
ツッコミ「ヤン坊マー坊天キーぃぃぃ予報!」
ボケ 「おい、全然今風じゃないやんか。お前、年齢詐称してるんやろ?」
ツッコミ「この、キーぃぃぃ…ってとこがワンポイント。さぁ、みんなでリピートアフターミー?」
ボケ 「やる思っとるんかい! 幸せなやっちゃなぁ」
ツッコミ「今のは自分でも無理しました。次いきましょ」
ボケ 「では、今度はちょっと真面目に。コンサバ!」
ツッコミ「自分、知ってますよ。コンサバティブの略でしょ。流行にとらわれない自分流ファッション的な」
ボケ 「おぉ、見直した。ナイスインテリジェンスやな。じゃ、これを今風に」
ツッコミ「おい! こんサバっ! お前は何故、塩焼きにしても煮付けにしても美味いんだっ! こいつめ、こいつめ!」
ボケ 「おい! 鯖を握り締めるな! しめるなら酢でしめろ」
ツッコミ「………」
ボケ 「………」
ツッコミ「バッドインテリジェンス!」
ボケ 「今までで一番うま(上手、美味)かったやないかーい! 鯖だけに」
ツッコミ「やめさしてもらうわ」
二人 「どうもありがとうございました」