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二重奏の終わるトキ  作者: 望月夕雨
1 再会
1/19

プロローグ

 真っ赤な夕焼け空に、コツ、と彼女のショートブーツが乾いた音を響かせる。彼女はこちらを見ずに、まっすぐと太陽を見つめて言った。


「後悔してる?」


「……ああ、してるよ」


 俺はふっと息を漏らす。こんな結末、後悔しないわけがない。


 見渡す限り、荒れ果てた街。建物は大きさ問わず崩れ、地面はひび割れている。倒れた街灯に、へこんでひどい有様になった車。


 もちろん俺らの他には人一人いない。いるのは、俺と彼女と、そしてもう一人と一匹。


 ()()()()が言う。


「こんな……こんなの聞いてない!」


「言ってないもの」

「っ!」


「言ったか言ってないかなんてどうだっていいじゃない。ねえ、レオ?」


 ガゥルルル、とレオが鳴く。耳をなでられて気持ちよさそうだ。


 さら、と長い髪を揺らして、夕焼けに赤く照らされた瞳で彼女がこちらを振り返る。


「どうする? またやり直し(リトライ)する?」


「いや。任せるよ」


「じゃあやり直し(リトライ)はなしね。やり直し(リスタート)は?」


 リスタート、と俺は復唱する。


「そう。私達(人生)をここから再起動させるの」


 その言葉を聞いた()()()()は黙って去って行った。彼は、これからどこに行くのだろう。


「君はどうする? 私と一緒に来てもいいし、ここにいてもいい。どこか違うところに行ってもいい」


「行くとしたら、どこに行く予定なんだ?」


「さあ、どこでもいい。行かなくてもいい」


 私と居るかどうかは君に任せるよ、と言い残して()()()()とは反対方向へ彼女は歩いていく。ガゥ、とレオは俺に向かって一度吠え、彼女の後を追っていった。

 髪を風になびかせて歩き、彼女は一度も振り返らない。


 このまま、彼女は去ってしまうのか。


「──待てよ!」


 彼女は立ち止まらない。慌てて背中を追いかける。

「おい」と肩をたたいてようやく彼女はこちらを見た。


()()()()()。やっぱりこんなのだめだ」


 自分でもなにがだめなのかよくわからない。だが、このまま彼女と別れるのは嫌だった。だけど彼女についていく勇気もなかった。だから、やりなおしだ。


「それは、リトライ? リスタート?」


「リトライだ」


「どこから?」


「それは、任せる」


 また彼女と居られるなら、何でもいい。


「オッケー。じゃあ、リトライしよう」


新連載です。よろしくお願いします。

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