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花は一瞬で散り永遠に咲き誇る

作者: 深瀬 かなで

9月12日午後8時頃

1台の輸送トラックが横断歩道を横切る

刹那、大きな音がして1人の少女が宙に舞上がった。

                                             

                                             

朝、ピンポーン。いつもならすぐに出てくるはず、なのに、今日は二回押しても出て来ない。

「おはよう、楓まだ寝てるの?」

けっこう大声で呼んだつもりだけど楓の家はいやにしんと静まり返っている。仕方がない。

「先行ってるね」とメールして楓の家を後にした。


学校に着いた。楓からの返信は来ない。

「真桜、おはよ」

振り返えると、楓ではなくこちらも幼なじみの律夏がいた。

「おはよう。」

「あれ、今日楓休み?」

「分からない」

「まさか、遅刻とか?」

律夏は冗談まじりにいう。

「まさかー」

「でも、あと5分で休み時間終わるよ?」

楓は無断欠席どころか遅刻だって1度もしたことがない。いつも20分前には一緒に登校し、休み時間が終わるまでずっとしゃべっている。今日はどうしたんだろう。

キーンコーンカーンコーン。チャイムがなった。教室はガヤガヤしたままだ。

「先生まだ来ないね。」

律夏がくるりと斜め後ろの私の席に体を向けた。

「楓もまだだね」

私がかえす。

がらがらっ。教室の扉があいた。先生だ。

「起立、気をつけ、礼。」

「おはようございます。」

気のせいか先生の顔に疲れの色が見えた。

「皆さん大切なお知らせがあります。」

そう言うと先生の目から涙がこぼれおちた。教室がざわめく。

「昨夜、小林 楓さんが交通事故で亡くなりました。」

私は電気が走った様に固まって、私の世界から音が消えた。

頭が混乱して、


理解できなくて、


受け入れられなくて


信じられなくて。

目の前では、淡々と授業がはじまる。

皆どうして普通に授業が受けられるんだろう。

内容なんか入ってくるわけないし、ノートにも何も書けなかった。

頭にあるのは楓のこと。それ以外何もない。



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