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羞恥 屈辱 悲惨  作者: ヌキドコロ
1/1

薔薇の剣姫

初投稿です。

私の名はサラ・シルヴィア。この帝国騎士団の副団長を努めている。

突然だが私にはある呼び名がある。それは周りが勝手に呼び始めただけだが、私の特徴をうまく表現しているのではないだろうか。


『薔薇の剣姫』


街を歩けば道行く人みんなが振り向く程の整端な顔立ち、腰まで届くほどの流麗な金髪ストレート、出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ完璧なプロポーション、透き通るような白い肌にエメラルドブルーの綺麗な瞳。

出会った男全員が一目惚れするほどのステータスを持っている。

しかし同時に、惚れた男が即冷めてしまうような大きな問題があった。

「気安く近づくな、殺すぞ」

「私の背後に立つな。斬られたくなかったらな」

「薄汚い豚どもは黙って私の言うことに従え」

そう、まるで美しき薔薇に棘があるように薔薇の剣姫にも棘があるのだ。

いや、「あるのだ」ではなく「あったのだ」と言うべきか。

なぜならそれは過去の話だからだ。

今は変わった。そう断言できる。

連戦連勝、生まれてこの方まともに負けたことがなかった私を完璧に打ち負かした男がいた。その男こそ現帝国騎士団団長、ユージーン殿である。

まるで赤子のように容易に潰され、同時に私に生えてた鋭く尖った棘を完全に切り落とされた。私の人生は大きく変わった。

私はその男の生き方に興味を示し、自ら学んでいったのだ。誠実に堅実にを貫き通す騎士としての心。相手を気遣い思いやり、決して驕らない人としての心。そして部下を愛するリーダーとしての心。

他にも沢山学ばされ、いつしか私はユージーンという人物に惹かれていった。



そして今、私は過去の自分を振り返りながら懐かしく目を細めていた。

「副団長!大変です!」

ドアをバタンッと開け会議室に入ってきたのは私の部下の一人、ベンガである。

一瞬、会議室に緊張が走る。

この会議室には私を含め10人弱の部下の騎士たちが揃っており、今から会議が始まるところだったのだが、、、会議室に緊張が走ったのには別に訳があるようだ。なんとなく察する。

もし前までの私であれば、入ってきた瞬間に腹を蹴り上げ壁に叩きつけた後、首元に剣先を突きつけながらこう言ってきたことであろう。

「首、切り落とせば静かになるか?」

いや、もっと酷いかもしれない。

まあそんなことはさておき、いきなり入ってきた部下はワンテンポ遅れて自分の失態に気がつく。可哀想なことに顔面蒼白で冷や汗を流しながら固まっている。

会議室にいる全員の視線が私の表情を伺っていた。

(はぁ…)

私は内心ため息をついて一言。

「どうした?」

できるだけ優しく言った。

これまたワンテンポ遅れて会議室にどよめきが走る。

私はベンガの目をジっと見つめ、返答を待つ。

ハッと我に返ったベンガは、かなり引きつった顔ながらも喋りだした。

「いっ、いえ、あの、、、帝国の宝具を狙っている組織に動きがあり、偵察に行っていた部隊も消息不明、とのことです。。。。」

「………そうか。分かった、報告ありがとう」

お礼の言葉を言うな否やまたもやザワザワザワ…。

(もう…調子が狂う……

今日はもう引き上げよう)

「私は急用ができた。会議が終わったら結果だけ報告しに来てくれ」

そう言い残し、私は部屋を出ようとした、

その時!

席の後ろで立っていたベンガがどけようとして緊張していたのか躓き、、、そして私にもたれかかるようにして倒れてきた。

ピシッ!!!

またもや会議室に尋常じゃないくらい緊張が走る。それもさっきとは比にならないくらい。

薔薇の剣姫に触れる。それは最大の禁忌。

私は自身の肌に誤って触れた部下を滅多打ちにして満身創痍にした過去が2.3度存在する。

(これは…仕方ないか……)

まさか私一人でここまで雰囲気を悪くしていたなんて、無意識にフッと苦笑してしまう。

(だったら私がやるべきとは一つだな…)

私はバッ!と頭を下げると大声で言った。

「すまなかった…!」

今までの数々の蛮行に謝ることにした。

「なっ!!!」

「ふ、副団長!?」

「何を!」

全員が驚いているが無理もない反応だ。

「あれほど横暴だった私が今更頭を下げて怒るかもしれない!でも言わせてほしい!

すまなかった!

私は過去の自分の見直したんだ。そしたら色んな人に多大な迷惑をかけていることに気がついた。ほんとに馬鹿だったんだ。

だから許さなくてもいい!何なら私の元から出ていってもいい!だから謝まらせてほしいんだ!すまなかった!」


怒られるだろうと思っていた。

みんなこの部屋を出ていき、誰一人残らないかもしれないと思った。

あれだけ迷惑かけたんだから。

しかし、結果は予想外だった。

「僕は許しますよ!」

「べ、ベンガ…ッ!!」

「そもそも僕は怒ってはいません!副団長のお陰で色々と鍛えられてとてもつよく生きることができてます!だから、僕はいつまでも副団長についていきます!」

「…………」

そしてしばらくすると、

「俺もです!ついていきます!」

「お、俺もだ!」

「我もじゃ!」

徐々に会議室内の部下たちが手を上げていく。

そして気づけば、全員が真っ直ぐな目で私を見ていた。

「みんな、みんなありがとう……」

私は涙をこらえながら、精一杯の笑顔を浮かべながらなんとか感謝の言葉を告げだ。






後に静会議室に残った部下たちが騒ぎ出したのは数分後。

「お、おいなんだありゃぁ……」

「副団長が丸くなったって噂は本当だったのかよ!」

「見たか!?副団長が笑ったんだぞ!?!?!!??」

「薔薇の剣姫…だよな……?天使になってないか………」

「…………可愛い…………………」

「お、おい。あれは惚れても仕方がないよな?な?」

「結婚したい…」

薔薇の剣姫の異名が変わるのはそう遠くないようだ。



そんな出来事から数日後、私は街頭演説を行おうとしていた。

街の治安維持を宣言するのに団長ではなく私が指名されたのだ。なんでも団長曰く、「厳つい大男が喋るより綺麗な女性が喋ったほうが民衆も耳を貸すだろう。それに、汚名を晴らしたいんだろ?いいチャンスじゃないか」とかなんとか。

(綺麗な女性って、私を女性扱い……)

なお、このときのサラ・シルヴィアは客観的に見た自分の姿をあまり理解できていない。

「副団長、水を用意しました」

「ありがとう。気が利くわね」

馬車の中で控えていると一人の部下が水をもってきてくれたようだ。

そして手渡しするとき、指先が触れ合った。

コップを渡した部下は一瞬で顔を真っ赤にし、その場から逃げていった。

(そんなに逃げなくても何もしないわよ…)

サラ・シルヴィアはまた何か勘違いしているようである。

部下はから渡された水を一口飲んでこれからの演説のために喉を潤す。ゴクリ


(よしっ!)

さて、馬車を降りようか…

と思ったその時、



(こんにちわ、帝国騎士団副団長サラ・シルヴィアくん)


(!!!!!!)

頭の中に突然声が響いてきた。

怪しさ溢れる声だ。

(思念波!?テレパシー使い!)

(せいかーい。いっひっひ)

(あなた、誰!?)

(怪盗、とだけ言っておきます)

(怪盗…こんなときに、何の用かしら)

(いえ、特に大したことではないですよ?すこーし捜し物をしておりまして。いっひっひっひ)

(探しもの?)

(ええ、あなたなら在り処をご存知でしょう?帝国第一級宝具、ですよ!)

(まさかっ!!!)

帝国第一級宝具とは、このアスバーン帝国の帝室に存在する3つだけしかない宝である。

それらはこの帝国の象徴でもあるために表に出ることはまずなく、在り処を知ってる人間も極わずかである。

帝王以外で在り処を知ることが許されるのはこの国に忠誠を誓い、それなりの地位を持ち、戦える者という条件が揃う者のみ。

特に3つめの条件に当てはまるものは少ないため、私を含めほんの数人しか知らないのだ。

確かによくよく考えてみたら、聞き出すのは消去法で私しかいない。帝王の側近は私ほどの実力はないが、表に顔を出すこと自体がまずない。

騎士団の団長と副団長の私では弱い私を選ぶだろう。

なるほど………。

(それで?私が在り処をただで教えると思ってるの?)

(ええ、言わせてみせますよ)

(へえ、面白いじゃない。やってみなさい?できるものならね?)

(分かりました。ではこうさせていただきます。あなたが言えば、6人の部下を開放し、言わなければ殺します)

(なッ…貴様!!!!!!)

間違いない!こいつは最近活発に動きだした怪盗組織の連中だ!

優秀な部下6人を偵察に差し向けて未だに帰っきていない!捜索中だったけど、やはり捕まってたのね。

しかし困った。私は部下を大切にすると心に誓った。誓った以上はそれを破るわけにいかない。


(他に要求はないの?)

(???まだ要求してほしいのですか?)

(まだ、じゃないわ。他に、よ。

私は部下を見捨てることはできない。かと言って宝具の在り処を教えるのも有り得ないわ。

だからそれ以外ならばなんでも言うことを聞くわ。例えば私の命とかどう?私が死ねばあなた達を追いかける面倒な存在もいなくなるわよ?)


(……本気で言ってるんですか?案外落ち着いていて気に食わないですねぇ)

(本気よ)

(そうですか、、、ところであなた今、なんでもするって言いましたよね?)

(ええ、私にできることならなんでもやるわ)

(いいことを思いつきました、、、あなた今から演説を行うんでしたよね?)

(………)

(登壇してください)

(何をするつもりなの?)

(なんでもするのでは?)

(………)


そのとき、馬車の窓が開き部下が顔を出した。

「副団長、どうされました?ご気分が優れないようでしたら今からでも……」

「い、いえ、大丈夫よ。今から出ようと思ってたわ」

「そうなんですね。副団長、頑張ってください」

「ありがとう」

私はなんとか笑って馬車を降りた。

(あの傲慢不遜で知れ渡った薔薇の剣姫も随分と丸くなられましたなぁ。いっひっひ)

ゆっくりと舞台の階段へ向かう。

(あなたは私が変わったのを知ってる人間の誰かね。私が変わったのを知ってる人間はそんなに多くない。なのに、部下を脅しに用いるってことは案外身近な人間かしら)

(さて、どうですかねぇ。)

前の私は散々人をコケにしてきた。だったら私を恨んでいる人間がいても何らおかしくはない。

自業自得、今になってツケが回ってきたのね…。

(私に恨みがあるのなら、私にだけ手を出してちょうだい。部下には手を出さないで)

(わかりました。ではそうさせていただきます)

やけに素直ね。そう思った。

壇上へ上がり中央まで歩く。

(もう一度聞くけど、私に何をされるつもりなの?)

(服を脱いでもらいます)



(え……………????)



一瞬思考が停止した。

え、なに?服を脱いでもらう?どういうこと?

(服を脱いでもらうんですよ。民衆の前で裸になれっていってるんです)

ピタリと足が止まる。

(おやおや、ここで立ち止まっては部下たちがどうなっても知りませんよー)

ちょっとまって!なんでなんで私がそんなことをッ!今頃になって嫌な汗だ吹き出してくる。

(あなたそれ本気で言ってるの!?)

(もちろん本気ですとも!しかし辞めてもらっても全然構いませんよ!?あなたの部下を殺すだけですから!!!)

(!!!!)

彼は本気だ。こうなったらどうしようもない。

グッと拳を握り、息を呑む。

舞台の中央まで歩き、立ち止まり、民衆の方へ体を向けた。

私が今着ているのは剣士の服というもので、上下繋がっていて、下はスカートを前後二枚に分かれてヒラヒラになってるドレスのようなものだ。

横から太ももを出せるため、稼働量域に縛りがない分動きやすい形状となっている。

これを…脱げっていうの…………?

でも、辞めれば部下たちが…ッ。


脱がなければ。脱がなければ。思考がグルグル回る。

しかし一向に手が動かない。手が動いてくれない。

私の裸なんか何の魅力もない!誰も何も思わない!そう自分に言い聞かせるが、壮絶なまでの羞恥心が手の動きを止めてしまう。

民衆がざわつき始めるのを感じとる。

連れてきた部下たちも私の異変に気づきこっちをずっと見ている。

と、視界の端に一際背の高い人物が映る。

だ、団長!?なんでここに!

い、いや!団長にまでこんな所を見られるなんて!

(やはり出来ませんか。残念ですねぇ。あなたの部下たちは死ぬしかないようですねぇ)

(な、なんで!私の裸なんか誰も見たがらない!)

(そんなことないですよ?あなたほど綺麗でいやらしい体つきをした女性なんて世界のどこにもいませんからね。みなさん大興奮でしょう)

(うっ、いや!無理よ!)

(……………………………………………)

なんでもするとは言ったけれど、まさかこうも屈辱的なことをやらされるなんて…今からまた交渉すればどうにかなるかもしれない!

どうやって、どうやって交渉してやろう。必死で頭を捻られはじめたそのとき、





(………やれ!!!!!)



ビクッ!!!

突然、相手が怒った。

(お前が俺にやったことだろ!やれ!

人を散々馬鹿にしておいていざ自分の番になるの無理だぁ!?ふざけるな!やれ!!!!)

ガツンッと頭を叩かれたような気持ちになる。

そうか。そうなのか。私が彼にやったことなのか。私が過去に行った蛮行は数しれず、彼は被害者の一人だったのだ。ならば、、ならばそれは受け入れなければならない。どんな理由があるにせよ、罪は償わなければならない。

(俺は許さないぞ!あんたが屈辱を味わうまで!絶対に!やれ!!!!!)

私はもう目の前が見えなくなっていた。

民衆が私に注目している。部下も私の一挙一動を見守っている。

私が尊敬するあの人も、ユージーン殿が私を見つめている。

だけど、だけどもう覚悟を決めた。

自然と涙が出そうになるが必死に必死に我慢する。

顔を前に向けられなくなり、つむき加減になってしまった。

大丈夫、私は一人。私は一人。周りには誰もいない。何も聞こえない。

ゴクリ

緊張の唾を飲み込み、そして私は




バサッ




服を脱いだ。

服を脱いだ私は重大な問題に直面する。私はブラというものをつけていない。つけたことがなかったのだ。生まれて一度も。

必要性を感じなかったからだが、今となって死ぬほど後悔する。

いきなりパンツ一枚となってしまった私は溢れんばかり豊満な胸を左腕で隠してしまった。

真っ白で綺麗な形をした胸は腕で潰されて最高の柔らかさを表現してる。

しかし、何分サイズが大きすぎるゆえ、スラリとした細い腕では完全に隠しきれない。

腕の下から、上から、チラチラとピンク色のあれが見える。

(手、隠すな)

(……… はい…)

何秒間から合間を開けたあと、



手をどかした。



民衆のどよめきがすごいことになる。

ピンク色の綺麗な乳首が自身の存在をアピールするかのようにピンッと強く立っていた。

(胸、持ち上げろ)

(…………)

完全に言いなりになっていた。

両手で胸を持ち上げ、更に乳首が強調される。

見な…いで………。

(次はパンツを脱げ)

ビクッ

ついに来てしまった……。

ただただ呆然としながら今の状況を楽観的に捉える。ああ……私は、私は………。

パンツのサイドに親指を引っ掛け、ゆっくりと、ゆっっくりと下ろす。

そして、



パサッ



パンツが下に落ちた。

ああああああああ!

完全に割れ目が民衆の前に!

生まれたままの一糸まとわぬ姿で民衆の前に!

誰にも見せたことのないのに!心に決めた人にしか見せるつもりはないのに!

真っ白な肌の中にピンク色の割れ目、手で隠そしたいと頭が訴えかけるも、隠してはいけないと手がウロウロする。

死んでしまうほどの羞恥心に、見られたくないと内股で前かがみになってしまう。

見ないで!見ないで!

(座って足を広げろ)

(ッ!!!!)

死ぬほどの羞恥心でモジモジしていた私に絶望的な指示が出される。

(座って足を広げろ)

全く同じイントネーションで繰り返される。

す、座って…足を広げ…。

(もっとだ。もっと広げろ)

もっと…広げ…………



そして、完全にモロ見えになった。

いやああああああッッッ!

(アソコを手で開け)

!!!!!


アソコを…ッ


手で…ッ


ひ、ひら、開いてッ!!!




そのとき、サラ・シルヴィアはふと我に返った。

視界に入るのは大勢の人。


(!!!!!あっ!ああっ!!

私は何をッ〜!!!!!)

いろんな方向から、色んなの視線が。興奮を帯びた視線が、冷たい視線が、子供の視線が、部下の視線が、団長の視線が、突き刺さっていた。

ぁ…ぁ………。

 かすれた声が溢れる。

頭が真っ白になり、すべての音が遠ざかり、やがて私は意識を失った。

少しでも評価されたら続けるかも。

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