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アスピリカの日常【1】

作者: 如月裕太郎

この物語を書き出したのはある意味偶然かもしれない。

この世界はあらゆる世界線の内の一つにしか過ぎないだけで、僕らはその世界線を知らないだけなのである。

これは、そんな世界線の中の一つの物語。




「だけど世の中は今日も廻り続ける」


これは死んだお爺ちゃんがよく言っていた言葉で、自分の言葉ではない。

自分にどんな幸運や不幸があろうとも、それはささいな事で世界には大した影響はないという事だ。

要するにどんな事があろうともそんなに気にする事じゃあないよ、という物事を前向きに捉える術なのだがなんともよくある話である。

今日も僕、アスピリ族の青年ロッシは「ああ、仕事したくない。仕事せずに毎日過ごせたらどれだけ幸せなんだろう。」などと考えながら出勤の支度を始める。


「今日も光だらけだな、昼だか夜だか分かりやしない」


カジノの店員として日銭を稼いでいる僕はいつもの通勤ルートを歩きながらそう言った。

僕の仕事はアスピリカ国家国営カジノの店員、中でも「牌」と呼ばれる長方形の立体を扱うゲームを取り仕切る部署に配属されている。

「牌」を13枚持って14枚になったときに「和了」という形を作り、その「和了」の形によって点数が違い、その点数を競うゲームである。

基本的には四人で行うゲームなので、人数が足りない時には「メンバー」としてお客さん達の相手をしたりもする。

あるいは、スロットマシーンだ。正確には回胴式遊戯機何て言ったりもする。

この遊戯機はレバーを叩いた瞬間に一定の乱数から「フラグ」を立ててそのフラグに応じて回胴上に揃った絵柄に応じて払いだしがある、客はその払い出し枚数と自分が投じたコインの枚数の差枚数を換金して楽しんでいるのだ。

僕の業務はこの遊戯気のエラー対応や、お客の換金準備なども行っている。


「最近ツイてない、本当にツイてない。アウトばっかり吐き出してるし、このままじゃ給料だって危うい。」

「プライベートのスロットマシーンだって危うい、このままじゃ給料以上の差枚数を吐き出してしますう…。」


そう、僕はここ最近本当にツイていなくてこのままでは今月の給料すら危ういような状況に陥っているのだ。


「…まあ。仕事があるだけマシか。奈落送りになるよりは全く持って健全な生活をしてると言えるよ、僕は。」


そう、つぶやいて自分で自分を納得させながら今日も同じ通勤路を通り、いつもの同じ職場にたどり着こうとした。

その時である。


「奈落落ちだ!捕まえろ!」


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