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今回は、いつもより短いです。

合図を送る陽太に、お返しにと言わんばかりの真剣なまなざしを送る夕。


夕が、両手を陽太に向けると両手の前に魔法陣が浮かび上がった。更に、浮かび上がった魔法陣の前には、ソフトボール位の火の球が浮いていた。


夕は、掛け声を上げ、魔法を発動させようとする。


「いっくよ!!エッ、エ…」


さぁ、今こそ念願の魔法を師匠である陽太に向かって、色々な思いを込めて放とうとしたその瞬間、サラリと夕の横髪が、悪戯をするように、夕の鼻をくすぐった。


夕の顔がクシャリと歪んだ、次の瞬間。


「エッへッエヘックシュチュン!」


「…!」


可愛らしいくしゃみをする夕の10メートル先には、何故か驚きの表情で立ちつくしている、陽太の姿があった。


スッキリしたと、言わんばかりの清々しい表情で顔を上げる夕の目に移りこんだのは…


「っわ。なんか出た!!」


急ではあるが、皆さんは、大玉ころがしの球をご存じだろうか。


そう、小学生、中学生時代、皆で大きな球をワーワーと運び、速さを競う競技である。


その今日のメインである大玉にメラメラと燃え上がる火…いや、炎をトッピングした炎球が、夕の視界に入っていた。


いや、正確に言うと、巨大な炎球が、メラメラと音を立て、地面を抉るようにゆっくりと陽太に向かっていた。


「…なにあの子、バカなの。バカでしょ!!」


不幸中の幸いと言うべきか、夕がくしゃみをした瞬間に、発動した炎球は、くしゃみで体制が崩れたせいか、若干下向きに放たれ、地面との摩擦で、難なく避けられる程度の早さだった。


背後をチラリと見て陽太はつぶやいた。


「避けられないよな…」


陽太の背後は、ちょうど教室の出入り口となっており、時間帯的にもそろそろ休憩が終わるころである。


つまり、人がいつ入ってきてもおかしくない時間帯と言うことだ。


そうなると、陽太が難なく避けたとしても、たまたま入ってきた生徒に直撃する。


この大きさだ、優秀な魔法使いであってもただでは済まないだろう。


そのことを考慮すると、避けるわけにはいかなかった。


「はぁー。」


陽太は深いため息をつく。


そして、迫る炎球を睨みつけ、タッと、地面を軽く蹴けり、物凄い速さで、迫る炎球へ突っ込んでいった。




夕の目の前には、巨大な炎球しか映っておらず、陽太の姿が見えなくなっていた。


「ヒナ!!避けてーーー!!!」


姿が見えない陽太に、大きな声で、叫ぶ夕だったが、次の瞬間


ドン!!!っと大型トラックどうしが、衝突した様な、物凄い音、振動と共に、教室全体が白い光につつまれた。


真っ白い光の中に、パチパチと、炎が燃え散っている。


真っ白なキャンパスの上に、真っ赤な絵の具を垂らした様な景色が夕の視界に広がっていた。


「…キレイ。」


そう言って夕は、パチパチと燃え散る炎を呆然と見つめながら、いつの間にか、意識が途切れていた…。





次回も頑張ります!!

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