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遅くなりますた。

陽太と、夕が練習を始めて、しばらくすると、魔法の素も造れていなかった夕の掌には、メラメラと燃えるソフトボール位の大きさの火の玉があった。


「まぁ、こんな感じで良いんじゃね。」


陽太は、腰に手を当てて、ダルそうに言った。


「何でそんなに、投げやりな言い方なのよ!もっと感動してよ!!この奇跡に!!!」


「…周りを見てみろ。」


陽太のやる気のなさに、文句を言う夕に、言い返す陽太に言われ、キョロキョロと周りを見渡す夕。


「…?皆が居ない。…まさか!?」


「まさかじゃねぇーよ。何、シリアスな感じで言っての?皆、とっくに休憩に入ってんだよ!」


そう、今から30分程前から、休憩時間となっており、陽太と夕を置いて皆、休憩に入り、教室には二人以外、誰もいなかった。


魔法は、魔力はもちろんの事、体力、精神力を多く消耗する。


そこで、魔法学の実技を行う場合、2時間連続で授業を行うが、そのうち、40分間が休憩に割り当てられているのだ。


陽太のダルサの原因は40分の休憩中にもかかわらず、練習に付き合わされていることが大きな原因だろう。


「…あれ。本当だ。全然気がつかなかったよ。」


「…おまえ、良くブットウシで、魔法使えるな。」


「魔法を使うっていってもうまく使えてないし、今ようやく、火の玉が出来たばっかりじゃん。」


「いや、上手く使えてないからこそ、なおさらだ。」


陽太の問いに、何言ってんの?と、言わんばかりに、キョトンと陽太を見つめる夕だが、陽太が驚くのも無理はない。


魔法を使用する際、一番気をつけなくてはならないのは、魔力の調節だ。


魔力は、無限では無い。使えば減り、いずれ底をつく。休めば回復はするが、休まず使い続ければ、魔力は無くなり、魔法が使えなくなる。


だからこそ、魔法を使う際、自分の魔力量を把握し、魔力が底をつかないように、計算しながら魔法を使っていく。


が、夕は、計算をせずに魔力を使い続けている。計算をしないのは、夕の知能的なことだから良いとしても、魔力を使い続けていても、顔色一つ変ず、息も切らしていない。


確かに、魔法が使えたのは、今さっきだが、実際に練習している間、常に魔力を使い続けていた。


魔法は、実戦で使うより、練習時の方が、魔力を多く消費するのだ。


だから、陽太は、驚いていた。魔力、体力、精神力が切れずに、魔法を使い続けている夕に。


「さすがは、陽太だね。私にも魔法が使えるように教えてくれた。」


嬉しそうに、陽太に言う夕。


「魔法は、誰にでも使えるもんなんだよ。魔法が使えても、なんも偉くもないし、凄くもねぇ。それだけは、忘れんな。」


少し、真面目な顔で話す陽太に、夕はコクリと頷いた。


そして、陽太は、付け足すように言った。


「あと、夕。お前は、まだ魔法使えてないから。」


「あはっ。そうでした。」


「後は、術式組み込めば、魔法が発動できる。」


そう言って、陽太は西園寺が造った土人形を見つめる。


土人形は、皆の練習の影響でボロボロに崩れていて、的としての機能は果たせそうにない。


「じゃー、俺、目がけて、打ってみろ。」


陽太は、言いながら、夕から10メートル程距離を取り、手お振っている。


「え?危ないよ。陽太、怪我しちゃうよ。」


「…ははっ。大丈夫だ。火のついたマッチ棒を投げられた程度じゃ、怪我どころか、温度すら感じねぇーよ。良いから術式組んで、撃ってみろ。」


驚き、心配そうに答える夕に、小馬鹿にするように、陽太が言った。


「むっ!怪我しても知んないんだから。」


ムスッとした表情で、教科書に載っている術式をブツブツと読みながら、術式を組み込んでいる。


数分後、術式が組み終わったのか、夕が勢い良く言いはなった。


「いっくよ!!…エイ!!」


…何も起こらなかった。


「…?エイ!!」「ヤァ!!」「トウ!!」


何度も勢いよく、掛け声を上げるが、何も起こらない。


「ううう。メラ!」「メラミ!!」「メラゾーマ!!」「…、これしかないか。か~め~…」


バシッ!!


「っ痛!!何すんのよ!!」


「逆に聞こう。何してんだ?」


夕の行動に、見るに堪えなくなり、頭を思いっきり叩く陽太は、夕に問う。


「何って、見れば、聞けばわかるでしょ!!私は、天下一武道会に出場してエスタークに勝って優勝するの!!」


「なにそれ。なんか色んなドラゴン混じってるんですけど。絵師繋がりで色んなもの混じってんですけど。」


呆れてた表情で、陽太は言った。


「だって、全然飛んでいかないんだもん。なにこれ、壊れてんの?」


「あぁ。そうかもな。壊れてんだろうな…お前の頭が!!」


「ムム!!」


「…何らJだ。頭、良いんです!!とでも言う気か?魔法が発動しないのは、術式が間違っているからだ。」


そう言うと、夕の目の前に浮かびあがっている魔法陣を見つめる陽太は、夕に指摘を始める。


「3行目、10行目…あと、26行目の式が違ってる。」


「…陽太、見えてるの?」


「まあな。いいから、修正しろ。教科書通りに組み込めば問題なく動くはずだろ。」


「…。うん分かった。分かったけど、他人の魔法陣って見えないんじゃないの?」


そう、夕の言う通り、普通魔法陣は、自分の以外は見ることができない。


何故そうなのかは、分かっていないが、未だ他人の魔法陣が見えると言うのは、噂話、都市伝説の類でしか、語られていない。つまり、実際には存在していないということだ。


ちなみに、魔法陣とは、魔法を発動する際の術式のことである。魔法陣には、その魔法の術式から、属性等、発動する魔法のあらゆる情報が載っている。言わば、魔法の設計書の様なもので、魔法陣が見えれば、何のどんな魔法が発動されるのかが分かる。が、あくまで見えればの話で、更に言うと、魔法を理解することが出来る頭脳があればの話である。


実際に他人の魔法陣が見える事はない。


ただ一人の男を除いては…。


「あぁ。見える体質なんだろうな。いいから、直せ。」


「ふぅん。そうなんだ。」


興味があるのか無いの分からない様な返答をし、指摘された部分を直す夕だった。


夕が修正個所を直し終わるころ、陽太は、先ほどの10メートル程離れた位置でスタンバッていた。


「よし。じゃー撃ってみろ!!」


陽太が、合図を送った。

次回は、早く上げれるようにします!!

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