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遅くなりました。

「おーい。頭大丈夫ですかぁ?」


呆れた陽太が、小馬鹿にしたように小夜に言った。


「はぁ?大丈夫に決まってるじゃない。何?男のくせにグジグジ言わないでよね。」


「男だろうが女だろうが、関係ねぇ。何でおれがお前のお遊びに付きあわにゃならんのだ。」


「いい?これは、お遊びでも、おふざけでも、ましてや私の趣味でもないの。」


「じゃー何なんだと、聞いといてやる。」


「今は、教えられない。」


「あぁ、そうかい。じゃー話は終わりだ。」


陽太はクルリと小夜に背を向け、その場から離れようとする。


「待ちなさい。まだ話は終わってない。」


「俺の中じゃ、完結してる。まだ何かあるって、」


陽太が言い終わる前に小夜が割って入るように言った。


「確かに、この部に入ってあなたにメリットは何も無いわ。でもそれはどうでもいいこと。」


「はぁ?」


自己中の塊の様な話に陽太は立ち止まり、振りかえる。

どんな顔で言っているのか、興味があったのか、ただなんとなく、振りかえったのか、はたまた彼女のカリスマ力なのかは、分からない。そして、また、その時の陽太の心理状況も分からない。

だが、陽太は、振りかえってしまった。少女の話に耳を傾けてしまったのだ。


「いい?よく聞きなさい。私は、この部を設立するの。勿論、あなた達二人とね。」


小夜は、二本の手を、腰に当て、大きく胸を張り、ゆるぎない瞳で陽太と夕を交互に見つめ、話を続けた。


「ただ、あんたは、私の部に反対しているわけ。これは非常に残念なことだし、しょうがないことでもあるわ。でも、そんなこと知ったことじゃない。私は、部を立ち上げるためなら、どんな手を使ってでもあなたを部に入部させるわ。…どんだけ時間がかかったとしても、どんだけ非人道的な手を使ってでもね。」


「…」


陽太は無言のまま、じっと小夜を見つめていた。

陽太と小夜、二人の間には張り詰めた空気が漂っていた。


「…とは言え、私も非人道的なことを好んでやりたいわけではないわ。そこで、あなたにラッキーチャンスと言うわけ。」


張り詰めた空気をぶち破るかのように、小夜はニッコリ笑顔で陽太に提案する。


「いい?今回、そこの副委員長と模擬戦をしてもらうわ。で、そこで委員長にあんたの強さを認めてもらえば、部の結成。でも、もし認められなかった場合は、私もあんたをキッパリト諦めるわ。」


「はぁ。勝手なこと言ってるが、俺にメリットは何も無いだろ。」


ごもっともな意見を小夜に言う陽太。


「あんたは、ほんとにバカね。もし、委員長に認められなかったら、私はあなたを諦めるって言っているのよ。」


今回の件は、陽太にとっては不運な事故の様なものだった。回避しようにも鬱陶しく、付きまとう少女。更に言うと、その少女は学園主席の言わば学園最強の魔法少女なわけだ。学園最強の魔法少女が非人道的な手を使うと言っているわけ…。面倒臭いことこの上ない。そしてこの面倒臭い事が長い間続く可能性があるわけだ。

そのことを前提に、小夜の提案を聞いてみよう。

…素晴らしい。今回の事は事故みたいなものだ。しかし、この事故をなかったことに出来る可能性がある。それが、小夜の提案なのだ。

そう考えれば、陽太にメリットが無いわけでもない…。

陽太が同じように考えて答えを導いたのかは分からないが、しばしの沈黙後、陽太は、小夜に答えた。


「…委員長が認めなかったら、きっぱり諦めろよ。で、生徒会はいいのか?」


陽太は冷夏の方を見つめると、冷夏は火憐の方を向き、目で何かを伝える。

火憐は、冷夏の言いたいことをくみ取ったのか、生徒会を代表するように言った。


「いいわ。生徒会は、あなたの実力を見るため模擬戦を受諾するわ。本気で行くから覚悟しなさい。」


生徒会の了承を得た小夜は、ニッコリ笑いこう言った。


「じゃー、準備しましょうね。」


陽太と火憐の模擬戦が始まろうとしていた。

次回は、模擬戦開始です。

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