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三ノ章 在渡る 序
鳥籠から出ようと、無理だと分かっていながら必死に羽ばたこうとするのが青葉。
鳥籠から出ることを諦め、羽を閉じて一生籠の中で過ごすと決めたのが朱葉。
ある時、浅葱がそんな風に僕達姉弟を譬えたことがあった。
守門という鳥籠に閉じ込められた鳥。
鳥籠の外にある世界を、その鳥達は知ることはない。
「だけど青葉は、外の世界に必死に羽を伸ばしてる」
外の世界に憧れて。自分とは違う世界にいるあの娘に憧れて。
「いつか僕も、外の世界に行けるのかな?」
「さあなあ。でも想い続けたら、いつかは行けるかもしれねーな?」
「想い続けるって、どれぐらい?」
「わかんねーよそんなの。でもおれは青葉に、いつか外の世界に行ってもらいたいって思うんだ」




