誰にだって言っちゃいけない言葉がある。
グダグダですが、許してくだされ!
「1ーC……ここか」
発表されたクラスであることを確認して、教室に入る。
入学式を終えた私は、発表されたクラスへ来ていた。
学園長の挨拶以外は普通だったな。
お陰で尚更、学園長の異質さが際立っていた。
まぁ、異質なのは学園長だけだろう。
クラスメートは普通のはず、なんの問題もない。
私はそう思い、自分の席に座る。
「お~!ここがあたしのクラスかぁ!
結構良さそうじゃん!」
すると後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
後ろを見て見ると、私の幼馴染みである愛染有紀が
上機嫌でこちらに歩いてきた。
「ようっ!おはようさん!」
「あぁ、おはよう。……やけに上機嫌だな?」
「いやぁ~新しい学校が楽しみでさぁ!
昨日から一睡もしてないんだよ!」
「……貴様は小学生か?」
有紀に呆れてため息をつく。
全くこいつは……
「それにしても、またあんたと同じクラスとはね」
「これで十年連続か……もうお前の顔は見飽きたぞ」
「うぉいっ!?あんたには友情って物が無いのか!?」
「?私は貴様と友人になったつもりはないが……」
「あんた、血も涙もないですねぇっ!?」
有紀が私の言葉を聞いて、その場に泣き崩れる。
私はそれを無視して持ってきた小説を読み始めた。
「シクシク……」
「……」
「シクシク……」
「……」
「シクシク……」
「……」
「なんか反応してよっ!?」
「……チッ」
仕方無く小説を閉じ、鞄にしまう。
泣き出したと思ったら、急に叫びだしおって。
落ち着きが無い奴だ。
「……五月蝿い奴だな。一体何なんだ?」
「さもあたしが悪いみたいに言わないでよっ!?」
「実際騒いでいるのは貴様だけだろうが。
故に貴様が悪い」
「元々そっちが無視するから悪いんじゃんっ!」
「知らんな。濡れ衣は止めてくれ」
有紀に適当に返しながら、時間を確認する。
そろそろHRか……
「もうそろそろHRが始まるぞ。
さっさと席へ行け」
私はそう言って有紀に向かって、手を払う仕草をする。
「うぅぅぅぅ!!もう良いよ!この……貧乳っ!!」
その瞬間、時が止まった。
愛染有紀は焦っていた。
彼女にとって、幼馴染みである宮堂朱鷺乃は
親友と言っても過言ではないと考えている。
朱鷺乃も口に出すことはないものの、
同じく考えている。
十年の付き合いである彼女には確信があった。
だが、それでも小馬鹿にされれば頭にも来てしまう。
だからつい言ってしまったのだ。
朱鷺乃に対して、絶対に言ってはいけない言葉を……
「……」
「あわわわわ……」
表情を凍らせたまま、微動だにしない朱鷺乃を見て
顔を真っ青にして怯えていた。
禁句を言ってしまった時の恐ろしさを、
彼女はよく知っていたからだ。
少しの間、朱鷺乃は微動だにしなかったが、
鞄から何かを取り出し、突如立ち上がった。
そして--
シャキンッ!
取り出した物--特殊警棒を展開させた。
それを見た有紀は、青くしていた顔を更に青くした。
「ま、待ってよっ!さっきの言葉は「有紀」
ハ、ハィィィィッ!?」
有紀は弁解を試みるが、名前を呼ばれて
直立不動になってしまう。
そんな有紀に朱鷺乃は、
とても綺麗な笑みを向けて一言、
「くたばりやがれ、この野郎♪」
「へっ?ちょっヒィィィィ!?」
有紀の悲痛な叫びが学園に木霊した……