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天王寺学園!  作者: チル兄
家族集結、そして野球大会?
24/29

相手に迷惑をかけたのなら謝罪をするのは当然のこと

朱鷺乃は真面目なので、他人に迷惑をかけて

謝らない人を嫌います。(結華は最後には

ちゃんと謝るので問題なし)


 母さんが店を飛び出した後、すぐに一さんたち

 店の店員が来たため店を開店した。

 とは言えこの時間に客が来ることはあまりない。

 そのため店員たちと雑談をしていた。

 その時、店のドアに付いたベルが鳴る。

 その瞬間、もはや条件反射で店員たちの

 野太い声が店内に響いた。



 「「「いらっしゃいやせぇぇぇぇい!!」」」


 「わひゃあっ!?」



 店員たちの声に驚いてお客が悲鳴を上げる。

 ……今の声は女性か?女性が一人で

 この店に来るのは珍しいな。

 そう思いながら見ていると、店員たちが

 困ったように顔を見合わせた。

 一体どうしたのだろうか?

 店員たちの様子を窺っていると、

 明智が小走りで私に寄ってきた。



 「どうした?」


 「お嬢……実はあのお客人なんですが……」



 明智がドアの方に視線を向ける。

 釣られて視線を向けるとそこには--



 「あーニホンゴワカリマースカ?」


 「え?あの……」


 「馬鹿っ!そりゃ英語じゃねぇよ。

 確かいらっしゃいませってグーテンモルデン

 じゃなかったか?」


 「それ、ドイツ語だろ?しかもいらっしゃいませ

 じゃなくておはようだし」


 「ジャンボォォォォ!!」


 「「「てめぇは黙ってろ!!」」」



 アタフタとする情けない男達と、

 それを今にも泣きそうな表情で見る

 スタイリー女史が居た。



 「……なるほど、全て理解出来た。

 奴らにあの人の応対は出来ないだろう。

 私があの人の応対する」


 「分かりました。すぐにあいつらを下げます」



 明智が店員たちの下に戻り、説明し始める。

 少しすると、店員たちは持ち場に戻っていった。

 それを見て私はスタイリー女史に歩み寄っていく。

 まさか休日に担任に会うことになるとは

 思いもしなかったが……

 まぁ、こんなこともあるだろう。





 「はぁ~宮堂さんが居てくれて良かったぁ。

 もう怖くて怖くて……」


 「うちの馬鹿共がとんだご迷惑をかけました」



 テーブルに突っ伏すスタイリー女史に頭を下げる。

 その瞬間、俺たちなりに一生懸命やっただの。

 いくらなんでも酷すぎるだのと抗議の

 声が聞こえてくる。

 私は店員たちに一喝した。



 「馬鹿者っ!スタイリー女史を怯えさせたのは

 貴様らだろうが!

 謝罪もせずに良いわけをするとは何事だ!

 恥を知れ!!」


 「「「す、すいません!」」」


 「謝るのは私ではないだろう?」


 「「「本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!」」」



 店員たちが一斉に頭を下げる。

 私も謝罪するためもう一度深く頭を下げた。



 「き、気にしてないですから皆さん

 頭を上げて下さいっ!宮堂さんも頭を上げてよ!」


 「こちらの不手際でご迷惑をかけたのは事実。

 そう易々と頭を上げるわけにはいきません」


 「本当に気にしてないから頭を上げてよっ!

 お願いだからぁ~」



 そんなに謝られるのが嫌なのだろうか?

 そう思いながら頭を上げたところで--



 「ただいまーいやー遅くなって悪いなァ。

 サツを撒くのにてこずってよォ。

 ……ありっ?」



 母さんが帰ってきた。





 「そうかそうか!アンタ、朱鷺乃の担任か!

 ウチの娘が世話になってるなァ!」


 「いえいえ、こちらこそ朱鷺乃さんは

 真面目で助かっています」


 「そうだろうそうだろう!朱鷺乃は本当に真面目で

 良い子だろう!アンタわかってンなァ!

 アッハッハッハッ!」


 「アハハ……」



 上機嫌に笑う母さんを見て、スタイリー女史は

 引き攣った笑みを浮かべる。

 母さんが親馬鹿だとは思わなかったのだろう。

 どうすれば良いか対処に困っているようだ。



 「アンタ気に入ったぜ!特別に小さい頃の

 朱鷺乃の話をしてやろう。あれは朱鷺乃が

 まだ三歳の時の話だ。公園で--」



 「そ、そんなことがあったんですか!

 それは可愛らしいですね!(チラッ)」



 スタイリー女史が助けを求めてこちらに

 目配せをしてくる。



 「……(フルフル)」


 「!?」



 だが、私は静かに首を振った。

 あの状態になった母さんを止める術はない。

 それどころか下手に止めようとすれば、

 私も巻き添えになってしまう。

 流石にそれは避けたかった。



 「さて……母さんは放っておいて、

 自己紹介をしようか。

 初めまして、あの人の娘の朱鷺乃だ」


 「わっちこそ初めまして。今日から世話になる

 荒井深紅や!これからよろしゅうな♪」



 母さんは放っておいて互いに自己紹介をする。

 いきなり家族が増えると聞いた時は

 上手く付き合っていけるか不安だったが、

 第一印象大丈夫そうだ。

 そう考え、店員たちの紹介をしようと口を開いた時、

 ベルが鳴りヨレヨレのスーツを来た

 中年男性が店に入ってきた。

 あの人は……



 「さてと、奴は何処に……」



 男性はそう呟きながら店の中を見渡し、

 母さんの姿を確認して歩み寄っていく。

 そして、話に夢中の母さんの肩に手を置いた。



 「それで……あン?」



 肩に手を置かれ、母さんは振り替える。

 そしてすぐにビシリッと音を立てて固まった。



 「よぉ、宮堂……随分と機嫌が良さそうだな?

 そんなに爆走したのが楽しかったのか?ん?」


 「……な……ぁ……」



 母さんの顔はみるみる青ざめていき、

 言葉にならない声を上げる。

 手が置かれている肩からはミシミシと骨が軋む音が

 聞こえていた。



 「さぁて……警察署に行こうか?」


 「い、嫌だぁぁぁ!!」



 悲痛な声を上げながら、母さんは男性に

 連行されていった……

 因みに母さんを連行していった男性は、

 母さんの古い知り合いの警部で松本という。

 母さん曰く鬼で、この世で一番恐ろしい存在らしい。

 この後、母さんは三日間帰ってこなかった……



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