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天王寺学園!  作者: チル兄
学園入学
20/29

強くなりたいか?

久々の投稿だぜぃ。

憐の口調が変わっていますが、アレが素の口調です。

 「おーいそこの猿以下の畜生共、聞こえるかー」


 「誰が猿以下だ!」


 「テメーらに決まってんでしょーが。

 猿の方が頭のいーことするってーの」



 おー次から次へとあいつらを罵倒する言葉が

 頭に浮かんでくるぞー

 それだけイラついてるってことかねー


 「誰だてめぇ!」


 「あっしかい?あっしは--」



 あっしはニヤリと不敵な笑みを浮かべて

 給水塔の上に立ち上がる。

 そして--



 「正義の味方……さ」



 給水塔から飛び降りた。





 気が付けば、僕はベッドに横たわっていた。

 ……そうか。僕は気絶したんだな。

 情けない。いじめられることから

 逃れようとしたけどすぐにバレて、

 勇気を振り絞って殴りかかったけど軽く

 返り討ちにあって、最後はリンチに遭って気絶した。

 本当に情けない……そう言えば、

 誰が僕をここまで運んでくれたんだろう?

 僕がそう考えた時扉が開き、眠そうな顔をした

 女性が入ってきた。

 何となく年上そうな雰囲気を感じるから

 上級生かな?



 「目が覚めたみたいだねぇ。

 何処か痛むところは有るかい?」


 「いえ、何処も痛む場所はありません。

 貴女が手当てくれたんですか?」


 「それだけじゃーないよ。

 君をリンチにしていたヤンキー共を蹴散らして、

 態々ここまで運んできたんだから」


 「まさか……そんなこと出来るわけが

 ないじゃないですか」


 「簡単に出来たけど?ほら、これ証拠の写真」



 そう言って女性は携帯の画面を眼前に突き付ける。

 そこには僕を苦しめていた不良達が、

 ボロボロになって地面に倒れている写真が

 写されていた。



 「どいつもこいつも弱っちくてすぐに片付いたよ。

 一人だけ妙に動きが良い奴が居たけど」



 動きが良い奴と言うのは、石羽のことだろう。

 あいつはかなり腕っぷしが強くて

 有名な奴らしいから。

 その石羽すら相手にならなかったのか?

 凄い……別格だ。


 「本当にありがとうございました。

 あのままだったらきっと--」


 「あーそんなに感謝しないでくれよ。

 誰かに感謝されるのって苦手だからさーうん」



 女性は本当に苦手そうに顔を歪めてそう言った。

 何だか変わった人だな……



 「でさーちょっと聞きたいことがあるんだけど」


 「僕に答えられることなら……」



 「それじゃー聞かせてもらうけどさーなんで--」



 女性の表情が一変し、能面が貼り付けられた

 ように無表情になる。

 そして、まるで世間話をするように聞いてきた。



 「なんでいじめられてるの?」


 「なんでって……それはあいつらが--」


 「あー違う違う、そーじゃなくってさ。

 なんで黙っていじめられてるの?

 どうして立ち向かわないの?」


 「なに、を……」


 「相手は神様とやらじゃない。

 君と同じ人間、しかも肺をニコチンで弱らせた

 ヤンキーじゃないか。

 奴らの仕返しする方法はいくらでもある。

 それなのになんで立ち向かおうとない?

 どうして逃げ出そうとした?」



 それを教えてくれないかい?

 そう言って目の前の女性は感情の

 篭っていない目で僕を見据えた。

 彼女の言葉が、瞳が僕を厳しく責めて

 いるように感じる。

 それに耐えられなくて僕は誤魔化す

 ように声を荒げた。



 「何が……貴女に僕の何が分かるって言うんだ!!」


 「分かるわけないじゃないか。

 今日初めて会った君のことなんて。

 そもそも私は、他人に興味なんて無い」


 「だったら「でもね」」


 「君がここに来て、どんな風に過ごしてきたかなんて

 簡単に想像がつくんだよ。

 君は報復が怖くて歯向かうことなく

 いじめを受け続け、挙句逃げ出そうとした。

 何か間違ったところがあったら言ってみな」



 何一つ間違っていない。全部あっていた。

 だから何も言い返すことが出来ない。

 どうして彼女は知っているんだ?



 「どうして知ってるって?

 君みたいな奴とは、何人も会ったことがあるから

 よく分かるんだよ。

 ……皆君と同じくいじめられて、

 最後には逃げ出したよ」



 淡々と女性は語っていく。

 その顔には僅かにではあるが、怒りが浮かんでいた。



 「私はそれが気に入らない。

 どうしてあんな奴らから逃げ出す必要がある?

 立ち向かえば良いじゃないか」


 「……そんなこと出来るわけないじゃないですか。

 立ち向かえるだけの力も頭も

 僕は何一つ持ってないんですから」


 「確かに君の言うことにも一理ある。

 流石に今のままじゃ厳しいだろうな。なら--」


 女性が手を差し出す。



 「君が強くなれば良い。

 あんな奴らに負けないぐらい強くね」


 「そんな……一体どうやって?」


 「そんな物は自分で考えろ--っと言いたいところ

 だけど、君が望むのなら私が鍛えてあげても良い。

 強くなりたいならこの手を掴め」


 「本当ですか!?それでは「ただし」?」


 「しっかりと考えた方がいい。

 私は、君が死んだ方がマシと思える程、

 厳しくしごくつもりだし、間違いなく

 平穏とはかけ離れた生活を送るようになる。

 君だって安易に今の生活を捨てたくないだろう?」



 確かに彼女の言う通りだ。

 いじめられることは辛いけど、

 それ以外は決して嫌いじゃない……

 いや、好きだ。

 自分から今の生活を捨てたいとは思わない。

 だけど--



 「貴女の言う通り、石羽達が居なければ

 今の生活は悪い物じゃないし、

 平穏からかけ離れた生活なんて真っ平だ」


 「そうか……なら「だけど!!」っ!?」



 僕が突然上げた大声に女性が驚くが、

 気にすることなく差し出された手を掴む。



 「それでも僕は強くなりたい!

 あいつらを見返してやりたいのもある!

 だけどそれじゃない!

 僕は、自分自身を変えるために

 強くなりたいんだ!!」



 僕の言葉を聞いた女性は少しの間

 僕を見つめ、頷いた。



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