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天王寺学園!  作者: チル兄
学園入学
2/29

親馬鹿にとってその言葉は禁句である。

今回も短いっす。勘弁してほしいっす。

 「到着っと!」



 ときめき五郎が天王寺学園の前で停まる。

 周りの視線が私たちに注がれるが、

 それを気にしている余裕は、私には無かった。



 「おーい朱鷺乃、着いたぞ」


 「……か」


 「あン?」


 「馬鹿ぁっ!待ってくれって

 何度も言ったじゃないかっ!!」



 涙目になりながら母さんに向かって叫ぶ。

 本当に死ぬかと思ったぞ!!



 「ワリィワリィ、つい……」


 「ついであんなことされたら、

 こちらは堪った物ではないぞ!!」



 「そうカッカッすンなよ。

 お前だって楽しかったくせに」



 ……楽しかっただと?

 あんな物が楽しかっただと!?



 ブチッ



 「んなわけあるかぁぁぁぁ!!!」


 「うおっ!?」



 母さんは私が大声を上げたことに驚いていたが、

 私は気にすることなく、声を上げ続ける。



 「何が楽しかっただ!一歩間違えれば

 死ぬところだったんだぞ!?」


 「今こうして生きてンだから良いじゃねェか」


 「そういうことを言いたいんじゃない!!私は--」


 「まァ、良いじゃねェか!そンな細かいことはさ!」



 ……人の話を聞こうとする姿勢が、

 欠片も感じられない。

 良いだろう。母さんがそんな態度を取るなら、

 こちらにも考えがある。

 私は無言でときめき五郎から降りる。

 そして--



 「母さんなんか大っ嫌い♪」



 満面の笑みでそう言い放った。

 その瞬間、母さんがピキリと音を立てて固まった。



 「……あ……アハハッ!母さんも歳かな?

 今、とんでもない幻聴が聞こえちゃったぜ。

 悪ィけど、もう一度言ってくれねェか?」


 「母さんなんか大っ嫌い♪」


 「……おっかしいなァ。さっきと

 同じ幻聴が聞こえるぞ?」



 母さんは頑なに私の言葉を認めようとしない。

 そんな母さんを私は静かに見つめた。


 「……」


 「な、なンだよ……」


 「……」


 「あの……」


 「……」


 「……まさか……幻聴じゃないのか?」



 母さんの言葉に私は頷く。

 それを見た母さんは、数秒間膠着した後--



 「……グスッ……うわぁぁぁぁン!!

 朱鷺乃に嫌われたぁぁぁぁ!!」



 泣きながら、ときめき五郎に乗って

 走り去っていった。

 ……まぁ、後で謝っておけば良いか。




 体育館に向かうと、既に殆どの席に

 生徒が座っていた。

 私は空いている席に座る。

 その直後、入学式が始まった。

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