バックヤード
今回は小説ではなく、自己解説です。
多分にネタバレ要素を含みますので、本編を一通りお読みになった後でご覧になることをお勧めします。
ぼくは完全なシュミでセルシェーディングで女の子を3Dモデリングしたりしてます。まあヘタのなんとかなんですが。エピローグ後の【ちょっと長いあとがき】でも書いてますが、この小説を書いたきっかけは、そのモデリングのキャラ設定を披露するためです。詳しくは上記あとがきをご覧ください。
以降では、各エピソードでのこぼれ話みたいなものを書いていきます。
ちなみに、小説で場面転換の箇所に「..*」などというのが入っていますが、これはテキストエディタのアウトライン表示で区切りが分かるようにするためのものです。本当は(1)などのパートにも「.」が入っているんですが、掲載時には取り除いています。
..プロローグ
この話では、主人公和田優司はちょっとエッチ、ということになっています。結果的にはあんまり積極的なスケベではなくて、成り行きでそれっぽいシーンに突入…という感じになってしまいましたが。
プロローグでの夢は取り敢えず最初から夢で落とす、というのを決めてました。
本編では、優司は「大事な所で鼻血を出して気絶」という何年前かわからない方法で寸止めするのを考えてましたが、プロローグを書いてるうちに、ふだんはヘタレで、夢でだけは自分の欲望のままにエロくなる、それは夢なので歯止めが効かない、というのは使えるなあと思い、以降この手法でいくことにしました。
なお、優司の夢は彼自身にとってはとてもリアルですが、彼が体験したものの再構成でしかないため、序盤ではあまり先に進むことができません。#6辺りでクローディアと寸止めまで行くことで、ある程度具体的になってきます。#17では無意識下でメレルとイタしますが、意識には登ってきません。が、夢の中ではそれを体験できるようになる、という設定になっています。
..#1 「オレにもモテ期がやってきた!?」
最初の話だったので、結構念入りに手を入れました。
あとがきにもある通り、元はマンガを描こうと思ってたので、最初は字コンテ形式でした。
字コンテと小説だとずいぶん書き方が違います。字コンテの場合は説明なんでムダな表現はしないし、隠しておきたい部分もずばっと書いちゃう。例えばセリフの裏のキャラの心境とか。でも、小説の場合は素ぶりやセリフの中に、その辺をそっと散りばめる必要がある。最初のうちはこの辺と、場面描写が不慣れで結構悩みました。
で、慣れてきて量産体制になると、今度はきめ細かい部分がいい加減になっちゃいましたねぇ。これは全編通して反省しなきゃいけない所なんですが。
最初はプロットからエピソードをメモ程度に書き出してからラフ書き(粗書き)をして、最後に本書きをして仕上げる、という流れでやっていましたが、それだと書いた時に思ったことを忘れちゃうことが結構あって、途中から一話ずつラフ書きでかなりの部分まで書いて、あとはひたすら調整する、という方法に切り替えました。一旦書き終えた後で読み返すと、結構直すところが出てきますね。小説は、何度も自分で読み返して気になったとことかにできるだけ手を入れたほうがいいんだなと思いました。プロはどうしてるんだろ?
それと、この話は最初、#1と#2で一話分でしたが、字コンテ的に一話が四十ページ近くになったんで、切りました。
マリアと優司が最初に出会った時のセリフに
「やっと、逢えたね!」
とゆーのがありますが、ここには、いきなり最終話の伏線を入れてます。
マリアは精霊としては少し特殊な存在。なんせ、生まれてからの経験や記憶が一切ない。唯一残っているのが、優司ママ(和田恵)のお腹の中での体験。嬉しいことも悲しいことも、彼女はこの狭い世界の中だけでしか体験していないのです。そのため、他の精霊とは違っている、という設定でした。精霊になる時、普通は生前の経験は深層意識のさらに奥に隠されてしまうのですが、マリアだけは、それをおぼろげに覚えていた。地上にやって来る直前のブリーフィングで優司を見て、もしかしたら彼は自分の大切な人なのではないか、と直感したのでした。それで彼女は優司に興味を持ち、地上に来ることを楽しみにしていた。弟だと気付いたのはもっと後になってから。#26の仏壇エピの時点でも、意識では気づいていませんでした。優司ママに「(生まれて来れなくて)ごめんね」といったのは、彼女の無意識の声だったのです。
とにもかくにも、彼女は恋人に会うかのように、優司と逢うことを待ち焦がれた。それが、出会った時のセリフにこもっているのです。
マリアが比較的最初から優司に馴れ馴れしいのも、この辺が関連しています。
..#2 「押しかけ天使はナイスバディ!」
前にも書いたように、この話は#1と一つでしたが、マンガだとこんな感じの回想と現在をフリップさせる手法は割と簡単ですが、小説は結構難しい。ぼくは小説書くスキルがないんで、とりあえずこんな感じかな、という感じでやってみました。
話の内容的には結構ベタで、飽きられないかなぁ、とは思いました。
#2の最後の黒い影ですが、察しの良い方ならおわかりの通り、クローディアです。彼女はマリアの来る前から優司の学校に転入していて、彼に近づく機会を窺ってました。でも隣のクラスに入ってしまったので、なかなか近づけず。ひょっとしたら、レベッカのようにカスミづてで迫っていたかも知れませんなぁ。
..#3 「アベ・マリア!」
この話のタイトルは、「アヴェ・マリア」と「阿部まりあ」をかけてます。まあ、言わんでもわかるか。
阿部まりあっていうのはマリア自身が考えたしょーもない適当な名前です。
マリアが「マリア」って名前になるのには、結構難航した記憶があります。
名前は基本的に、ラテン語かギリシャ語が語源となっているものをと考えてました。
セレナ(selena)は最初から月のイメージがあったんで、割とすぐ決定。
アレシア(alessia)は最初ゴージャスな語感でグラディスだったんですが、アレシアって名前の意味に「守護者」みたいな意味があるらしいんで、入れ替え。
で、マリアが決まらない。一応、主人公を愛で包む、みたいなイメージで仮でマリアにはしてましたが。結構後になって、まあいいか、という感じで決まっちゃいました。
#3はカスミを登場させ、カスミと優司の距離感を描いておくのと、マリアが生徒として羽高に入る理由を描くのが目的になってます。だから戦闘は割とあっさりめ。この時点では「学校を壊さないように戦う」というのが条件だったので、控え目でもあります。ちなみにここで出てくるメタボな悪魔は、結界が張れません。
なお本編では描いていませんが、学級委員長の木村信子は、優司にメガネ外したら? と言われてから、イメージが激変することになってます。メガネはしてるけど、軽い感じにして、三つ編みをやめワンレングスに…。そして、優司を意識するようになります。
..#4 「恋愛光線、乱れ撃ち」
この話は、優司にモテフラグを立てるのが基本。ついでに優司とマリアの関係を深めつつ、カスミがなぜ優司と距離置いているのかを入れました。
カスミはヒロインポジションとしてはかなり遠い所にいるんですが、ぼく的にも応援したいというのがあって、要所要所で近づけるようにしてます。それで、アスリートながらスタイルはそれなりに良くて、胸も意外とある、という設定にしました。なお、カスミは部活をやめた後、順調に発育する、という裏設定も立ててました。ブログではちょっとだけ成長したカスミのイラストも載せてます。
そういえば、桐崎留華ことクローディアをここで登場させています。
今回の話ではキャラがパッと出ていきなり話が進む、というのはなるべく控えたかったので、一旦顔見せしてから後で話を進める、というのはそれなりに気を使っています。なので、留華もこの回で出しておくことにしました。結果的に、カスミがマリアのみならず留華をも意識する、ということになったのでシメシメでした。
精霊は食事を取る必要はないが甘いものには目がない、という設定があったので、ここではそれを入れてみました。特にマリアはこの設定をデフォルメしました。彼女はおいしいものなら何でも食べる、という設定にしています。
ちなみに精霊には消化器官も排泄器官もありません。食べたものは内部で完全に活動エネルギー化され、不要物は呼吸と汗で排泄されます。天使はウンコしないのだ。
..#5 「接近、魅惑の黒い瞳」
ここはクローディアと優司の距離を詰めるのが目的。今回の話は四月の半ばから七月の頭という、極めてイベントの少ない季節になっちゃったんですが、そんな中でも衣替えとプール開きという数少ないイベントは有効活用しました。
2─Cの男子連中はちょっと中坊っぽい感じの輩が多いですが、この辺はクラスの雰囲気が良い、というのを出したかったので敢えてそうしました。で、そのイメージを作っているのが優司でありヒロシである、と。
しかし優司はモテフラグが立つにつれて、男連中の子供染みた馴れ合いから次第に抜けていく、というのが、ここでなんとなく出来上がりました。(いやそーゆーのは中学でやれよ。)
それを誘導するのが、やや大人びて、神秘的な魅力を持つ留華ことクローディア。彼女はスキュブスで、生前の年齢は二十五歳くらいの設定なんですが、優司に接近するために取っていた行動が、彼女自身を少女として巻き戻させ、彼女自身が気づかないうちに優司に心を寄せてしまう、というのを描こうとしました。それがちゃんと本編で通じているといいんですが…。
調理実習はかなり苦し紛れ。時期的にこの時期に行う学校はあまりないと思います。大抵は学期の終わり間近か、年1回なら秋か。そこで、年3回という設定にしました。家庭科が2年時から、とか初回がお菓子作り、というのもちょっと強引設定です。
このシーケンスは実は、カスミのためにあるものだったりします。カスミがケーキを渡そうと思っていたところに、クローディアが割り込んでしまう。落ち込んでいくカスミ。十二話までカスミをひたすら虐めて、十三話で自分の中の気持ちを認めて、優司に接近していく、そんな感じを出そうと思いました。実はこのコが一番ラブコメしてるんだよね。
マリアの料理下手というのはおまけなんですが、その後のエピでもうまく取り入れることができました。
..#6 「五月、ある青く晴れた日に、君と」
ここは、クローディアがスキュブスとして本性を現す話。心を寄せた憧れの女の子が手に入るという夢のような展開を見せた途端、実はスキュブスだったというのを描きました。優司自身や読み手の大半は、クローディアは手段として優司に近づいたと思っているんじゃないかと思いますが、クローディアは優司に本気で惚れています。まあ、一応マリアに嫉妬する、ということで説明はしてるんですが。それがよりはっきりするのは、#19での魔界でのシーケンス。
この話では頻繁にフリップしながら二場面同時進行を使っています。これは映像ではよく見られる手法(TWENTYFOURとか)ですが、小説は結構難しいです。とにかくマリアと優司を引き離す必要があったので、このような流れを組みました。まあ同時に、マリアの精霊としての運動能力の高さとかちょっとゆるめの性格がうまく説明できたんじゃないかなーと思ってます。
観覧車ネタもちょっと強引ではありますが、観覧車で距離を一気に詰める、というのは使えるなーと思ったのでねじ込みました。
この話のロケーションは、ずばり二子玉川。「テーマパーク」は今はなきワンダーエッグ、ショッピングセンターは高島屋SCです。二子玉はワンダーエッグがなくなってからは行ったことがなくて、いっぺん取材しようかなーと思ってたんですが、その矢先に東関東大震災が起こって行くヒマがなくなりました。なんで、ほとんどWebで情報あつめました。今はストリートビューとかもあるんで便利やねぇ。
あと、ぼく自身も埼玉の荒川に近い所に住んでて近所には物流倉庫なんかもあったりするんで、その辺の雰囲気は特に足を使わなくても本編に活かせました。
それと忘れちゃいけないのが、第二の精霊、セレナ。
優司のピンチにマリアがおらず、代わりにセレナが助ける、というのは最初から考えてました。
問題となったのは、マリアが結界内にどう入るか。
実は、結界という設定は最初はそれほど重要ではありませんでした。ラフを進めていくうちに、学校内で戦闘しているのに生徒達に気づかれず、かつ破壊も起こらないようにするにはどうしたらいいか? というのを考えていた時に、ふと結界を使おうというのが決まりました。
この話での結界は、ヒモ理論のように、空間の目に見えない「粒」を拡大していくと球体であり、球体には「面」があり、その座標(球体の見えている面)がずれると、まったく違う世界になる、という考えを取り入れています。その面が「ブレーン」です。ブレーンがずれることによって、同じ景色でもまったく別の空間となります。また、この話では、仮想的に生じさせたブレーンというのも取り入れています。それが魔界やデュナミスのいる空間です。本来、ブレーン間を移動するには非常に強力なエネルギーが必要らしく、そこには重力子(グラビトン)が関わっているらしいのですが、そのようなエネルギーを悪魔がなぜ自由に出せるのかは、あまり深く考えていません。ただし、「結界を作るのは難しい」「ブレーン間を移動するのは難しい」という設定だけは使っています。
精霊は割と頻繁に円陣を作ってブレーンジャンプしてますが、意外とエネルギーを使います。特にデュナミスを始めとする都市精霊は防御を目的とするために複数のブレーン階層を張っていて、ジャンプするだけでも大変です。
結界が発生したり消滅する際、別のブレーンの重力場にわずかな歪みが発生する、という設定にしています。セレスシャル・ヘイローでこの歪みを検知・分析することで、精霊はブレーンポイント(面座標)を特定することができるのです。もしくは特定の領域をしらみ潰しに調査することでも検出できますが、まず場所を特定するのに膨大な時間がかかります。なので、セレナがクローディアにダメージを与えて結界が歪むまでマリアは検知できなかった、ということになっています。
..#7 「ハウ・ワズ・シー・ア・ナンバー・ワン?」
この話は、マリアとセレナの馴れ初めです。
総合的な能力ではセレナのほうが上なのですが、マリアには数値的な比較だけでは判定できない要素(=ド根性)があり、デュナミスは選択に悩みます。それを決するのが、この疑似戦闘なのです。
本来は「疑似」というだけあって、相手に傷を付けても致命傷とまではならないはずなのですが、マリアとセレナの戦闘は、精霊士官の想定を越えてしまいます。命の危険を感じた精霊士官は、身を投げ出して、マリアを止めています。
セレナはひょっとしたらマリアの代わりに優司の元に来ていたかも知れません。そうしたら、この話はまた違ったものなったかも知れません。ツンデレ天使の心を開いていく話ってのも、けっこうおもしろかったかも知れませんなぁ。
「わたしは嫌々守ってあげてるんだから、感謝しなさいよねッ!」
とか。あ、これだとセレナは全然違う性格になってしまう…。
後半では、セレスシャルヘイローの設定を出しています。ヘイローの機能については#3でも出してますが、あの機能は、シェルを展開するのと同じ機能(元素固定能力)を使っています。
リフレッシャーそのものは、ここでちょっとエロネタと出しておきたいというおまけ的な設定だったりしますが、本編では何回か使っています。ちなみに汚れはしっかり取れるみたいです。
..#8 「ハロー、マイ・フレンズ」
この話は、むっつり事務的なセレナが心を開く話。
疑似戦闘以降、マリアとセレナの仲はよろしくないので、彼女達を和解させたくてこの話を入れました。それと、セレナをここで少し柔らかくして、以降の使い勝手を上げるためにも入れています。
戦闘部分は多分におまけだったりしますが、セレナとマリアがお互いを認め合い、心を開くためには、ある程度ピンチに陥れる必要があったので、それなりに長くなりました。
それと、おフロでじゃれ合う部分は、半分はサービスですが、これで二人が仲良くなったイメージを伝えるために入れています。
ママが悶えているのもオマケですが、ママが娘が欲しくてマリアを受け入れた理由を何回かに分けて描くのにちょうど良かったので入れています。
..#9 「彼女がそれをした理由」
この話は、前半部での疑問点を説明するのが最大の焦点。ちょっと説明セリフが多いのはそのためです(汗)
それと、セレナは料理がうまいという設定があったので、ここで初めて出すことにしました。なぜ料理がうまいか、というのは#31で書いた通りです。#8でセレナをちょっと柔らかくしたので、早速口調を変えています。
いいんちょことのりっぺこと倉田紀子は、初回は#6で出しています。あの時点でちょっとだけ優司にほの字、というのを表現しました。紀子の淡い想いを、悪魔が数倍にして優司に迫る、ということになっています。ここも結界は張らせたくないし戦闘も不要だったので、ダメダメなメタボ悪魔にしました。
ここでなぜ紀子が悪魔に乗っ取られたのか、というのは、オリジナル版の#25で出しています。まあ、あまり気にした人もいないとは思いますが…。
紀子の想いは本編後に爆発暴走する、という設定になっています。ええ、優司君は本編が終わってからもモテモテです。
..#10 「香澄のいけない恋心?」
この話はレベッカを出すのが主目的。それと、#12でカスミのいじめを仕上げるための伏線として、カスミに近づけています。
一応ここで、カスミにもスポットを当てています。カスミの魅力が出てるといいんですが…。
..#11 「そして彼女は途方に暮れる」
この話は、優司ママと二人の精霊マリア、セレナの距離を近づけるのが目的。ママがなぜマリアをすんなり受け入れたのかをここで説明しています。
それと、セレナが和田家の一員として定着する、というのが副次的に出ています。セレナが学校に通うようになるきっかけもここで作っています。
さらにもう一つの重要なポイントとして、カスミが幸せな和田家に嫉妬する点。これは#12の仕込みであり、#4から続く一連の「カスミいじめ」の最後の仕込みでもあります。
..#12 「ターニング・ポイント」
セイバーエンジェルを三つに分けるとすると、この話が最初の章の最後になります。
ここでは第二のスキュブス、レベッカが、クローディアの復讐を目論むことを主軸にしています。
ちなみにレベッカ攻めでクローディア受けです。レベッカはメレルに仕込まれており、クローディアはメレルからも可愛がられていた、というのは#19でも少し書いています。しかしメレルが力を付けるにつれ、レベッカとクローディアの関係は深まっていきます。
スキュブスの中で最も下のクローディアは、レベッカが最大の親友であり恋人であったのは、#6で書いた通りです。これは#14で優司のモノローグでちょっと触れていますが、ガチです。
この話はけっこう盛りだくさんで、セレナの初登校や、カスミが巻き込まれ話に絡んでくること、そして第三の精霊、アレシアの登場などを詰め込んでいます。
こういったことを含めて、話が新しい局面に向かうので、タイトルには「ターニングポイント」、つまり転換点、というのを付けています。
アレシアは結果的ではあるのですが、優司ではなくカスミの助けに入ることで、彼女の優しさや弱さを描けることになったと思います。それと、優司がお姉さんスキーだったというのもここで入れています。
最後に、カスミの苦悩が、ここで初めて癒されます。彼女の今後は上向きます。
..#13 「クローズ・アップ」
この話は数少ないイベントの一つであるプールネタを入れています。男女別の体実の授業が普通かどうかは分かりませんが(ぼくん時は普通)、別にすることで、駆け引き的な面白さが出ていると思います。
この話は、カスミと優司の距離を詰めるのが主な目的です。それと、セレナも優司を意識し始める、というのを入れています。
またカスミと優司の距離が縮まることによって、魔王も目を覚ます、というのを暗に描いています。物語は全体の中盤、魔界編(#13~#23)に入るので、そのお披露目も兼ねています。
さらに、この回でメレルを登場させています。これについては、前出の通りいきなり感を抑えるためです。
..#14 「吹き荒れるラブ・ストーム!」
この話は優司が#16で連れ去られた後、精霊達が優司をかけがえのない人と思えるようにするために、優司と精霊の距離をグッと縮めるためのものです。
特にアレシアは#12が初登場なので、彼女に力点を置いています。多少弱いところはあるかなあ、とは思うのですが、アレシアが優司を意識できるようにしています。
彼女が優司と話した後回復が早まる、というのは、優司を意識するようになることで、アレシアの中でうまく機能していない精霊の力が動き出すようになったことが一因です。
なおアレシアについては、#27で花開くまでは、できるだけダメ子ちゃんとなるように心がけています。
倉田紀子のシーケンスは、アレシアとセレナの間に時間を空けるのが目的だったりします。兄のプレゼントを買うと言うのは口実で、優司とデートするのが目的だった、というのを描いてます。ここはセリフを一切なしにしていますが、これについては、経験した人はなんとなくわかるんじゃないか、それに照らし合わせて中身を展開してみてね、というのを込めてあんな形にしてみました。いずれにせよ、ここでは三人の精霊に主眼を置いているので、紀子については小さめにしました。
セレナのシーケンスは#26とエピローグの仕込みも兼ねています。エピローグのネタは割と早く決まっていたので、セレナの体の成長をどこかで書いておきたいということで、この辺で入れておくことにしました。彼女としては、優司と距離を縮めるのはこんくらいが精いっぱいです。#26でこれを深化させて、#29、#30でもりもりと醸成して、#32の最後で爆発させています。
セレナは三人の精霊の中では優司といい仲になることが少ないんですが、それはエピローグがあったので、それ以外の部分では比較的遠慮させていました。もちろん性格的な部分もあります。一応#32でそれなりに爆発させたので、まあ良かったかなと。彼女については、エピローグ後の優司との関係の展開が面白そうだなと考えています。ま、優司に不倫はさせられませんが…。
マリアのシーケンスは、普段からマリアは優司ラブなのでさらっと流しています。ただ、他のキャラの気持ちを掻き回す役として活用しています。
マリアは実は優司のお姉さん、という設定があるので、基本スタンスとしては親密な関係にはしないというのがありました。終盤の#30でキスをしていますが、これはマリア自身が優司と長く暮らしていたわけではないので、優司に対して恋心を爆発させたというのと、アレシアに対して嫉妬したというのがあります。マリアの場合、どちらかというと、お姉ちゃん的な独占欲と妹的なかまってちゃん属性があって、それが全体的な優司に対するちょっかいとして現れています。
..#15 「曇り空」
この話は#16の前振りになっています。
ここは元は、#14でライバル心剥き出しになった精霊の連携がうまく行かず、それが元で教師を傷つけてしまう、という構成を考えていたのですが、思ったように展開できなかったので、三人の男性悪魔を出すことにしました。もとは、この時点で#16のように軍勢が出るはずでした。まあ結果として、#16への仕込みにもなりました。
彼らの名前は、「七つの大罪」のラテン読みから取っています。
それから、#9でセレナが話していた遠隔視の能力者として、ビホルダーを出しています。
アレシアについては、出番が少なかったので後半に備えここで魅力を全開させ、読者にアピールしています。
..#16 「アイ・ミス・ユー」
この回はとりもなおさず、優司がメレルにさらわれるのが目的です。
前回、せっかく三人の男性悪魔を出したので、ここでも使い回すことにしました。まあ冒頭で一人減りましたが。減らしたことについては、メレルの性格を表したり魔界の混沌とした様子の前振りも兼ねているのと、ここでのバトルはそれほど厚くするつもりはなかったからです。
そんなわけで、戦闘は割とサクッと終わっちゃってます。三人の精霊が怒りに任せて新技を習得するのと、#17に向けて絶望感を募らせる部分も入れました。
..#17 「再生(はじまり)」
ここは優司がメレルとイタすことで力を解放し、魔王が復活するのが目的です。(目覚めと復活は違うってことでひとつ。)
同時に、#15であいまいになってしまった精霊達の仲違いをここではっきりさせ、やがて精霊達が仲直りして、魔界に乗り込む流れを作りました。
ここでカスガイとなっているのがカスミです。カスミは存在感が薄いので、精霊達との関わり、ストーリー上の関わりを持たせるために活躍させました。
..#18 「フォール・ダウン」
この回は、魔王が優司を取りこみやすくするために優司の心を暗闇に落とすことと、魔界での激しい戦闘の序章を表現しました。
フォールダウンというサブタイトルは、優司の心が深淵に落ちていくことと、マリア達が森に落ちていくことのダブルミーニングになっています。
それと精霊の設定について追加的な説明も入れています。特にアイテール(aether)については魔界編や終盤でも何度か出てくるため、うまい具合に前振りになったと思います。
..#19 「精霊になれなかった魂」
この回は、再びクローディアにスポットが当たっています。彼女はすぐに殺してしまうには惜しかったので、#6の時点で消息を若干曖昧にして、ここで再登場させています。(レベッカははっきり死んだように表現していますが、クローディアは霧に包まれた、程度にしています。他の悪魔が黒い液体となって煮え立ちながら霧になるようにしているので、それなりに曖昧になっていると思います。)
クローディアはもともと精霊候補だった、という設定があったので、ここではそれを描きました。
それと、クローディアが優司にほの字だった、というのもはっきりさせるようにしました。オリジナル版では、クローディアとの行為により、優司が完全に深淵に沈む部分を描いています。
この回でクローディアはきれいに死なせたかったので、最後は止めを刺しました。
なお、この後クローディアの魂は、都市精霊の一つであるエクスシアイがサルベージしたことになっています。精霊となったクローディア。どうすか。番外編があるかもねぇ。
..#20 「絶望と希望と」
この回は、優司が魔王に取り込まれるというのがメインです。
それと先遣隊が救援に出てくるのを盛り上げるために、城の前での戦闘を少し激しく描いています。
戦闘がじゃっかん単調になりがちだったので、精霊のセリフに少しギャグめいたものを入れてみました。
..#21 「阻む者」
この回は、最強のスキュブス、メレルとの戦いと、超絶強力な精霊、監視者の登場がメインです。
監視者は自分達の生前の記憶をほぼ完全に持っています。自分の過去を知った上で、その魂を救った都市精霊に忠誠を尽くすように命じられています。しかしその苦しみを知っているからこそ、「ここで死ねたら…」というブレンダのセリフが出ています。
中枢殻(エレメンタル・シェル)については#32で重要になるのですが、唐突感がないように、ここで出しておくことにしました。
アレシアにも近距離攻撃ができるように、槍を持たせるようにしました。ただ、この時点ではまだ使い物になっていません。彼女が槍を習得するのは、#27とかなり後になります。
それと、アレシアの秘められた能力について、監視者達にちょっと話をさせておくようにしました。
..#22 「大いなる力」
この回は、魔王との前哨戦。精霊達をギリギリの状態に追い込み、先遣隊もガタガタの状態にして、魔王征伐隊の本隊およびアウリエルを登場させています。
ドーピングした悪魔との5対5のバトルは、ちょっとうまくまとまっていません。このバトルはほぼ同時進行するんですが、ある程度それぞれのバトルを書いていったので、全体としてかなり間延びした感じになっています。もっとカンフー映画みたいに多次元的な戦闘がスピーディに進むような表現ってできないものかなぁ。
後半、精霊達が捕まって嬲られる部分は、ぼくとしても痛々しいなあと思ったんですが、絶望的な表現をする上で、泣く泣く入れてます。グラディスはかなり殴られてますが、監視者はアークエンジェルズ並みの回復能力を持つので、ダメージは後を引かないということにしておきました。対してアレシアとセレナはダメージを残し気味にして、マリアの特別感と、話の最後~#23でマリアだけ先に戦闘の場へ赴く、というのを演出するようにしました。
あと終盤で、監視者が敵か味方が分からない、というのを少しだけ見せています。これは#27の伏線です。
..#23 「夜明け」
物語の中盤である魔界編の最終話。ついに魔王を打ち滅ぼします。
基本的な流れとして、優司の魔力を得た魔王は以前負けたアウリエルすらも凌ぐ→精霊達の懸命の救出と、マリアの愛が、優司に奇跡を起こす→優司は復活ついでに魔王の力を持っていく、という感じになってます。
それだけ言っちゃうとここはそれで終わっちゃうんですが、魔王を倒した後、セレナとアレシアがキスをするシーンは、その後の展開で使おうと思って入れておきました。長い長い戦闘が終わって和気あいあいとする感じも出せたかなあと思います。
..#24 「ともにいるよろこび」
ここから物語は最終章へと入っていきますが、#24~#26はインターミッション的な構成になってます。ぼく的にも魔界編は苦手なバトルが多くてかなり疲れたので、自分にご褒美!ってことで、馴れ合いを中心にしています。
そうは言ってもムダ話はあまり入れたくなかったので、ここにはカスミのイメージ補強を中心に、精霊と優司達の繋がりを強めること、精霊達が胸に秘めていた苦しみを吐き出すこと、魔界で優司が無意識の中でヤりまくっていたことを女子が追求するシーケンス、2─Cの変わらない雰囲気、いいんちょが優司を下の名前で呼ぶこと、そして精霊達が、いつか別れの日がくることを意識するといったエピソードを入れてます。
こう書くと、以外に重要な内容だったりしますね。
そうそう、ママが優司のイメージが変わったことに気づきますが、これはひとつには彼女が思った通り魔界でヤリまくってオトコになったことと、魔王の力を手に入れたことに感付いたことも含まれています。彼女も多少は何か能力があるのかも…。で、彼女が想像したことは、ずばり「テロリストにさらわれたってのは実はウソで、女の子とイイコトしたんじゃね?」とかそんな辺りです。
..#25 「それぞれのアイ・ラブ・ユー」
この回も馴れ合いですが、ここでは#28でのしばしの別れの伏線としてカスミを優司にさらに近づけることがメイン。ついでにいいんちょ倉田紀子も優司に近づけてみようと思いました。
どうやって近づけるか意外と悩んだところで、遊園地のネタが出ました。オリジナル版では、倉田紀子がひとりエッチをするシーケンスが加わってますが、これは一つにはサービスで、一つには#9で悪魔に付け入られる原因として入れました。これに誘導するために、自分とは対照的なアレシアのグラマラスなプロポーションを意識する紀子というのを入れています。
#4で登場したクラスの女子三人組を賑やかしとして追加しましたが、多少花を持たせました。特にリーダー格の樋口良子は、明るく奔放な性格付けにしてイメージを強め、最後の方で優司に気があるというのを披露しています。「隠れた逸材」の相沢栄子は、プロポーションネタの補強用として設定しました。おしとやかな福田久美は、三人組のバランス取りです。この三人の関係は、良子がリーダー格で、栄子は良子と中学時代からの友達、久美は面倒見のいい良子にくっついている、という感じになってます。準ヒロインへの昇格を意識しています。
写真のギミックは、基本的には紀子のおかず用ですが、カスミや精霊の思い出用にも使えるかなと思って入れてます。結果的に良子にも使えています。
フォーチューンアレイでプレゼントを買うシーケンスは、言わずもがなカスミ用です。ここで買ったペンダントは#28でのギミックとなっています。まあ、ちょっとだけですが。
..#26 「さよならを言う前に」
この回は、精霊達が優司と最後にいちゃいちゃするための話。…と思ったんですが、#29以降でキスで回復という話ができてしまったので、当初の目的とはだいぶ異なってしまいました。まあ、それぞれが優司との想いを深めるのには役立っていると思います。それと、やっぱりサービスってことで。
特にアレシアについては、意外にもガチになってしまいました。一時期は本番も考えましたが、設定上精霊にはその機能がない、ということになっているのでやめました。まあ、奇跡はいつだって起こるだろうから、どうにでもなるんですが。
結果的にここでヤらないことで、#29以降でのキスで回復、というのが生きてきています。十八禁版なら口から注いでみてはどうか、というのも一時は考えましたが…。精霊は天使に近い存在なので、自分の中ではあまり大っぴらにエロエロにはできないという制約がありました。
セレナとアレシアで内容をエスカレートさせて、マリアでオチを付けました。もともと、ここでは「仏壇エピ」というのをハナから入れるつもりでした。ママが#2でマリアをすんなり受け入れた理由が、#11で垣間見えて、ここで完全に明らかになる、という結構長いエピソードになってます。さらにこのエピソードは、#32の「水の夢エピソード」にも繋がっています。
優司とマリアの会話で、優司が「影響を与え合いたい」と言うくだりがありますが、これを書いた時点では、たぶんに適当でした。でも#30でのデュナミスとの会話で引用することにしました。
..#27 「覚醒(めざめ)」
この回は、優司が自分の力に目覚めるというネタと、アレシアの秘められた能力が目覚めるというダブル展開。サブタイにもそれが込められています。
この時点では、優司はプロトコルの力だけ発現していますが、実際には魔王の力にも目覚めています。唐突感を減らすため、この時点ではまずプロトコルだけ見せて、魔王の力は#29で初出しすることにしました。
この話でマリア達は眠っています。天使が眠るのか、というのは少々考えものだったんですが、もともと精霊なんだからオレ設定でいいと考えました。精霊は基本的には人の魂なんで、行動もそれに準じる、というのが基本的な考え方です。それと、眠ることによってアイテールを回復に使う、という後付け設定もあったりします。
監視者はもともと、状況によっては優司を殺すために魔界に送られていました。魔王を倒してしまったので、その後監視を続けていた、という設定になっています。
この話で説明している通り、デュナミスは優司を組み込むために生かしていましたが、それが叶わぬなら、敵に弱点を握られるよりは殺してしまえ、と考えたのです。
..#28 「決意」
この回は、アレシアがデュナミスの恐ろしい計画を聞き、優司がそれを阻止することを決める話。
親衛隊長のルチアは最初、セントラルの施設内を案内するだけの衛兵くらいのポジションだったんですが、アレシアが体の限界を知るエピソードを入れたくなったので、そんならそれを示唆する張本人にしてしまおうと思って役回りを格上げしました。ついでに親衛隊ということにして、終盤で敵として出すことにしました。もともとこの役は腹黒い感じがあったんで、ちょうど良かったです。
アレシアのスキャンのエピは思ったよりも長くなりましたが、計画を知るところにうまく繋がりました。
優司がデュナミスを倒すことを決めるところでアレシアだけが同意するのは、割と最初から決まってました。
ここは、
「オレの力…プロトコルってのはそのデュなんとかってやつを完全に操ることができるんだろ? なら、オレが行ってそいつをだまらせてやる」
という優司のセリフにアレシア同意で決定、くらいだったんですが、思いのほかマリアが食い下がったんで、説得するのが大変でした。
優司がカスミにコトを伝えるシーケンスも織り込みずみでした。ここに持っていくために、#25を入れたようなもんです。
カスミにここで告白させるか、優司と完全にくっつけるかどうかは悩みましたが、結局ここでは、カスミがキスに気持ちを乗せる、程度にとどめました。完全にくっつけてしまうと優司が予約済みになってしまい、その後キャラ同士の絡みがやり辛くなるのと、最終話以降の繋がりを感じさせるものにしたかったからです。
..#29 「精霊の生まれる場所」
この回はデュナミスセントラルでの激しい戦いの前半部と、ハイヴ(hive)と呼ばれる精霊工場を見せるのがメイン。
精霊同士の戦いをどのようにするのかと、間をどうもたせるかというのが最初の課題でしたが、取り敢えずセントラルの地下ブロック構造を七層に分け、簡単にゴールには行き着けないようにすることを思いつきました。ここは最初、黙示録を意識しましたが、結果的には使いませんでした。
敵側の精霊については、剣、槍、弓、魔法(ミスティック)の能力を持つ精霊を考えましたが、マリア達にとってのライバルはアークエンジェルズが主体なので、エンジェルズについてはほとんど賑やかし程度に留まりました。アークエンジェルズについては、アウリエルの能力を切り分ける方向にしました。
セントラル外での戦闘は基本的には入れませんでした。これは、優司自身に飛行能力がないので、行動が制限されて戦闘が難しくなるからです。なのでいきなりセントラル前に飛ばすようにしました。優司だからジャンプ禁止区域にいきなり行ける、という裏ワザを使い、違和感をなくしています。
優司は当初、セントラルを壊しながら進む、という流れを考えましたが、前半部は特に必要がなかったので、とにかくマリア達が斬り込んで突っ切る、という方向に切り替えました。
さらに、トランスポータを解析して下の層への円陣を作る、というシーケンスを使い、優司が徐々に能力を自分のものにしていくようにしました。また第二層で、優司が魔王の力の片りんを見せる、というシーケンスを入れました。
魔界、および#27の河原では、優司は精霊達の連携バトルをほとんど見れていなかったので、ここで改めて見ることになりました。
アレシアの全方位防御(パックイージス)は制限をなくすと最強になってしまい話が続かないし、太刀打ちできないほど弱くしてしまうと先に進めなくなってしまうので、エネルギーを大量消費する、という設定を導入しました。その補給方法として、優司とキスをする、というネタが出ました。これに関しては、戦闘一辺倒になりがちな終盤戦において一服の清涼剤となると共に、精霊達がやきもきするという新たなネタが生まれました。
その見返りとして優司とアレシアが近づきすぎるということが生まれましたが、マリアについては#30で補償しつつ、最後はああなることでバランスを取り、セレナについてはエピローグで登場するアドバンテージと#32の最後でおいしい役を持たせることでバランスを取りました。
..#30 「都市精霊」
この回はセントラル戦の後半と共に、デュナミスと対話をし、交渉が決裂するという回です。
七層に分けた案はうまく行き、バランスを見て残りを後半に回すことができました。
ここでは、かつて共に戦った仲間、一度は敵となった監視者が、応援につくというお約束な要素を入れています。え? お約束過ぎるって? はっはっは。まーいーじゃないですか。みんなで戦いましょうよ。
グラディスについてはちょっとだけ生前のことについて触れました。まあこれは、彼女の名誉のために深くは突っ込まないようにしておきます。
アレシアが優司とキスをするのを見て、がまんしきれなくなったマリアについては既出です。これはいらないかなーとも思ったのですが、マリアがだまっているのはおかしいと思い、ここで入れることにしました。そして、アレシアと優司がくっつきすぎることを多少薄めるのにも役立ってます。
精霊士官グレイスは、サムライです。だいぶ前から彼女にも華を持たせたいなーと思ったので、ここで入れました。
アウリエルは最後までいい人ということにしました。いつか彼(彼女?)が都市精霊になったら、いい未来がやってくるかも知れませんな。
デュナミスは思ったよりも饒舌になりました。説明したいことを書いていったらこうなっちゃいました。
..#31 「浸食」
この回は、セレナとアレシアの生前が明らかになる話。装殻精霊は「救われない少女の魂」というのが基本設定なので、頑張って救われねえシチュエーションを考えました。
セレナについては比較的簡単に出ました。ちょっとエロマンガっぽい設定ですが…。セリフをあまり入れないようにしましたが、これだと文字量が一気に増えますね。セレナの目が戦闘時だけ赤い、という設定についてもここで一度はスキュブスになった、ということで説明しています。
アレシアについては、没落貴族が家のために金持ちと結婚するが、そこでいたぶられる、というくらいのものは考えましたが、救われねえシチュエーションに持っていくにはちょっと大変でした。持っているものを奪い、上げて落とす、という王道パターンでなんとか形にしました。
しかしこの設定だと、アレシアは百歳くらいってことになりますね。まあ、精霊は精神に合わせ見た目も決まるっていうのと、魂が精霊になるのはすぐとは限らないというのはだいぶ前から考えていたので、あまりその辺で悩まないようにしました。
カーディーニに関しては、おもいっきり怪しくしています。イギリス人とは言うもののヒスパニック系をイメージしていて、実はパチモン貴族で爵位すら金で買った、という設定です。まあこの手の話ではステレオタイプではあります。いやーあまりにもお約束で素晴らしい。…orz
終盤のデュナミスと優司の会話も説明ゼリフです。
#30で優司が割と論破されてしまったんですが、#31ではなんとか逆転する糸口が掴めました。
..#32 「救いの天使」
いよいよ最終話。まず、何度か見せていた「水面エピ」の全貌が明らかになります。
優司は生まれる前から悪魔に狙われ、悪魔の手から双子の姉、つまりマリア(恵美)が優司を庇って命を落とす、という話です。
なお、執刀を担当した若い医師や看護師達は悪魔ではありませんよ。
優司は生まれた直後は能力を発揮できません。十六歳の誕生日を迎えるまでは、それを発現させることもできません。優司の生年月日は三月二十六日の早生まれで、それは春休み中。なので、高二に上がってから鍵としての能力が動き出し、悪魔に干渉されるようになった(そしてモテフラグも立った)、という設定になっています。
マリアがなぜ精神拘束を破ることができたかについては上にも書いてますが、マリアは優司ママのお腹の中での体験しか持っていません。唯一最大悲しかったことが、優司を助けられなかったことなのです。
すぐ傍で優司が子供のように泣きじゃくり苦しむのを聞き、彼女はそれが今起こっている、今助けなければと立ち上がったわけです。
マリアの悲劇的な死により、優司は魔王の力を爆発させます。
エレメンタルシェルを破壊されたマリアが最後に目を開けたのは、奇跡以外の何物でもありません。彼女は、最後に優司と別れを言う機会を与えられたのです。もしかしたら、神の思し召しかも知れませんなぁ。
ブレンダが優司にキスをするシーケンスがありますが、これは、彼女の好奇心と、塞ぎこんだ優司を励ますためのものです。ブレンダは最初はもっとクールな性格にしていましたが、グラディスがかなりきつめの性格になってしまったので、バランスを取るために陽気なイメージにしました。
セレナが最後にデレたのは、アレシアが優司を拒んだのを見て、たまらなくなったためです。彼女は全般的に、自分から積極的に、というよりも、流れに乗り遅れないように、という傾向が見られます。#14辺りはまさにそんな感じ。あの時点ではマリアほど優司が好きというわけではありませんが、マリアには取られたくないという競争意識が働いています。彼女がはっきりと自分の気持ちに気づくのは、恐らく#16で優司がさらわれた時。しかしその後も積極的なモーションはかけず、#23のキスはノリ。せいぜい#26で、優司に胸を触らせた時くらいです。でも、#32でデレることで彼女は感情を爆発させます。
それと、ここで女の子っぽいところを見せておいて、エピローグでのギャップを作ろうというぼくの狙いがあります。
アレシアが拒んだのはまあ、説明するまでもありませんな。
最終話を改めて見返すに、もし優司が何の能力も持たなかったとしたら、和田家には二人の元気な姉弟が生まれ、美しくてちょっと怖いママと存在感の薄い優しいパパ(笑)に愛されながら育てられ、おませなお姉さんの恵美は近所の同い年の女の子、カスミと共にちょっと気弱な弟優司を取り合う毎日を過ごしたかも知れません。彼らは今とは全く違う、平凡だけどそれなりに楽しい人生を歩んだことでしょう。
..エピローグ
エピローグはいろいろと含みを持たせています。
優司の妻が誰かも、敢えて不確定にしています。とりあえず優司的には、この上ない理想の奥さんのようです。ちなみにデキ婚で、大学卒業後すぐに結婚しています。
優司は自分の娘に、生まれなかった姉の名前を取って恵美理とつけました。
そのエミリちゃんの言動は…いやー不思議ですねぇ。
このあと、彼らはどうなっちゃうんでしょうねぇ。…全然考えてません。
などなど考えながら今回の小説は作られました。
ブログではセイバーエンジェルのキャラの3Dモデルや2Dイラストなどもありますので、よろしければ覗きに来てみてください。