プロローグ
本作品は一部の描写を一般向けに改めたものです。
一部に性描写が含まれます。作品の展開上削除ができないため、表現については十分配慮していますが、同描写を好まない方はご注意ください。
ある春の放課後の社会科準備室。西日が差し込み、床も壁も、何だかよく分からない紙の資料も、全てがオレンジ色に染まっていた。
普段、ここに人が立ち入ることは滅多にない。しかし今は、そこに二つの長い影があった。
その一方の主、清楚でおとなしそうな女子生徒が、もう一方の影の主を黒く大きな、熱いまなざしで見つめている。彼女の栗色のエアリーな髪は、夕陽に照らされ金色に輝いていた。
「和田先輩…」
彼女の濡れた唇から、懇願するようなほてった声が漏れた。言葉を発した後も、熟れた果実のようなその唇は相手のそれを求めるように艶めかしく輝いていた。
彼女の視線の先、つまりもう一方の影の主が、ゴクリ、とつばを飲み込む。決してイケメンと
は言えない、さしてパッとしない男子生徒だ。それなりにある身長に比べ、体重はやや不足気味のようで、草食系男子の趣きである。
彼は、小柄な女子生徒のためにやや前かがみになった。
お互いの唇が距離を縮め、やがてもどかしく接触した。
「ん…」
女子生徒の吐息が漏れた。それ以上に彼の息は荒かった。女子生徒は、より強く相手を求めるように積極的に彼の唇を舐る。気後れしながらも、彼もそれに応じた。
不器用なキスがしばらく続いた後、ぷはっ、と二人の唇が離れた。
女子生徒は、ちょっといたずらな表情を浮かべていた。いつのまにか彼女のブラウスの前ははだけ、オレンジ色に染まった肌と白いブラジャーを覗かせていた。男子生徒の視線はブラと、それが包んでいる膨らみの谷間に釘付けとなった。
既に完全に彼女のペースだった。
彼女は、彼の手を胸に誘った。彼は経験が浅いのか、今まで体験したことのない事態が急激に進行していくことに驚き困惑していた。始めはおそるおそる撫でていた手がやがてブラをしっかりと掴み、不器用に手を動かし始めた。
「んふ…」
彼女は目を閉じ、じんわりとした心地良さをできる限り増幅した。
(ぶ、ブラの上からだとよく分からないな…)
あれこれと試行錯誤する彼は、思いのほか厚みのあるブラの上からでは彼女を感じ取ることができず、彼女の反応だけが頼りだった。
それを察知したのか、彼女が目を開き、手を背中に回した。
「ホック…はずします…」
彼女はブラのホックをはずし、肩をすぼめて腕を前で交差して胸を抱えた。そしてその後の展開を彼に委ねた。
(はぁ、はぁ…)
彼は興奮して呼吸が荒くなっていた。緊張で震える手を伸ばした。
窓の外から野球部の練習の声が聞こえる。二人のどちらともつかない心臓の鼓動の音が、それをかき消した。どこか遠くで、非常ベルのような音が鳴っていた。
彼は彼女のブラウスの肩を脱がせ、次にブラ紐をはずした。
鼓動の音がさらに大きくなる。彼はもういっぱいいっぱいの様子だった。
胸を押さえる彼女の両手を掴み、ゆっくりと取り上げた。重力にのみ拘束されたブラは、ゆっくりと彼女の膨らみを滑り堕ちていく。
(つ、ついに生おっぱいを…!!!)
ゴッ☆
突然、彼の視界がブラックアウトし、星が散った。
彼が次に見た光景は、逆さまになった自分の部屋だった。彼は自室のベッドの脇に転げ落ちていた。つられて床に落ちた目覚ましが、けたたましく鳴っていた。
全ては夢だった。