01 初恋
「ねぇ、知ってる?私ね、貴方に恋してるんだ・・・」
★
「おっはー。」
いつも当たり前のように話しかけてくれる貴方。
私はいつも、ドキドキしてる。
最初はこれが恋だなんて思いもしなかった。
「お、おはよう。」
「もう、委員長ったら硬いな~。」
そう、私はこの学級の委員長。
私の名前は福村美樹。中学2年生。今年初めて同じクラスになった、北谷純くん。その彼に、恋をしているかもしれません。
「硬くなんか、ありません!」
「いや、硬い。俺が笑顔教えてやるよ。」
そういって、最高のスマイルを私にしてみせた。
「こ、こう?」
「違う!顔が引きつってるぞ。」
「え・・・。じゃあ、こう?」
毎朝笑顔の特訓。
これも結構楽しいの。
彼はいつも特訓の最後に、
「じゃあ、最高のスマイルで!」
って言ってくれる。
最高のスマイル・・・か。
――キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。
クラス全員が席についた。
「起立。礼。着席。」
――ガラガラガラ
イスの音。
授業が始まるたびにこういう。
それが美樹の仕事だ。
授業終わりもこう言う。
「おーい、純。サッカーしようぜ!」
休み時間には、友達とサッカーをしに行ってしまう。
私が話せるのは毎朝、笑顔の特訓の時だけ。
なんでそんなに笑顔が苦手なんだろう・・・・・。
★
「おっはー。」
その一言から今日が始まる。
「お、おはよう。」
そういって、笑って見せた。
「お、委員長。昨日より上手くなったじゃん!」
「本当?」
「おう!」
嬉しい!
こんなに嬉しいのは初めて。
「あ、ありがとね!」
「どーいたしまして★」
また笑う。
ダメだ、この笑顔には弱いよ・・・。
毎日毎日これが続いた。
するとある日、自分のある気持ちに気付いたの。
それは・・・『私が純くんを好きって事』。
私って、鈍いな。
自分の気持ちも分からないんだもの。
自分の初めての恋、初恋にも・・・。
そう気づいた日から、私の毎日は変わって行った。