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テストの勉強会

数日後。金曜の夜、自宅にて。思縁と付き合ってから少し日がたったが、依然として恋人らしいことはできていない。

無理もない。思縁はクラス委員と、うちの学校でも厳しいことで有名な弓道部を兼部している。そのため休む暇もなく、ましてや色恋沙汰に割ける時間は限られている。恋人らしいことと言えば、部活が終わってからの数分間、思縁と話すくらいだった。

しかし、良いこともあった。部活が終わるまではクラスで自習やらしているがおかげで他に自習している人と仲良くなれたし、前からは比べ物にならないくらい充実した学校生活を送れるようになった。

だが、恋人になった以上は少しはイチャイチャしたい。そんな思いもあった。

と、そんなことを考えていた矢先、思縁からメールが来た。


件名 若林思縁です

本文 今週からテスト期間で部活休みだし、土日は一緒に勉強をしませんか? 

とのことだった。無論、参加しよう。


勉強会当日。勉強は二人っきりでやるものとばかり思っていたが、どうやら違ったようだ。思縁の友達数人と、俺のほかに男子が何人かいた。そのなかには歩の姿もあった。開催場所は学校。あまりイチャイチャはできそうもない。残念だ。いや、勉強を頑張るという意味では良いのかもしれないが。


「みんな、今日はよろしくね」


思縁が主催したのだろうか、軽くあいさつを済ませたあとで勉強会は開始した。

勉強会の内容は基本は自習だが、分からないところはその範囲が得意教科の人に聞いていくというスタイルだ。俺は社会を任されている。社会は特別得意というわけでもなかったが、好きであったため質問もなるべく答えるようにした。


……。


昼休みになった。みんなは談笑している。


「お疲れさま、夏之夢」


思縁が話しかけてきた。


「お疲れ。やっぱりと思っていたけれど、思縁は勉強もできるんだな」

思縁は得意教科は英語、国語、社会と、三つも質問に答えていた。ほとんどの時間を質問の回答に使っていたが、おそらく自習はもう範囲を一通り終わらせてあるのだろう。さすが優等生だ。

「あたしなんかより上には上がいるわよ」

「そうなのか」

「歩君とか、凄いんだから」

「歩か」


歩は毎回構内の模試でもトップの成績で張り紙に名前が載っていたため、とても勉強をしているのだなと前から知っていたが、実際に勉強をしているところを見るとさらに驚かされた。本人は謙遜して数学、理科の二教科しか質問に答えなかったが、おそらく他の教科も人に教えられるレベルだろう。回答の内容は既に高校3年生が終わりそうなレベルの解説で、やっている問題集も学校で使っているものではない、難しそうなものを熱心に解いている姿があった。


「確かに、歩の勉強している姿はすごいというか、かっこいいな」

「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」

「おっ歩か」


本人が話に入ってきた。


「僕は医学部に入りたくて、毎日必死に勉強しているんだ。お父さんが外科医で、僕も色んな人を助けたいと思ってる。いつか、今は病気で学校に来れていない穂乃果ちゃんの病気も治せるようになりたいな」

「そうなのか。歩なら行けそうな気がする。頑張れ」

「うん、ありがとう」

「穂乃果ちゃん、来年には心臓の手術が終わって学校に来れるみたいよ。早く会いたいわね」

「穂乃果っていうのか、その人はどんな人なんだ? 」

「眼鏡を掛けてて、児童書が好きな物静かな感じの子よ」

「そうなのか」


と、思縁は


「そうね、歩君が夢を語ってくれたし。折角だし、昼休みはみんなで将来の夢でも語り合いましょうか」

と言った。思縁の提案に、みんなも了承する。

「じゃあ歩君の次はあたしかな。同じクラス委員だし。あたしの夢は観光のインストラクターとかウエディングプランナーになることかな。昔からお祭りとか楽しいこと、特別なことが好きで、毎日楽しく過ごせたらいいなって思うの」

「催し物が好きなんだね。それでクラス委員にも立候補したのですか? 」

歩の質問に、思縁は頷く。なるほど思縁らしい。

「いつか夏之夢と結婚するかもしれないけど、その時は自分で色々プランニングしたいな。なんて」

急に惚気る思縁に対して、驚いて、

「ばかお前、恥ずかしいだろ」


と言うしか出来なかったが、思縁はけらけらと笑っていた。

その後も順番に人々が話してゆき、俺の番になった。


「じゃあ次は夏之夢」

「はい。俺はそうだな。みんなみたいに確固とした目標とかは無いんだが、大学では法律を学んでみようと思う。法律を学んで、やってはいけないことと、やれることを明確にしたら自分の生き方を知るのに良いんじゃないかな、と思う。なんか変な感じですまん。まああとは就職とかを手堅くするとか、そんな感じだ。前までは不良だなんだと言われていた奴が法律を学びたいなんて意外かもしれないが、ひとつよろしく頼む」

「自分の生き方を法律を学んで模索する、夏之夢らしいと思うよ」


笑顔で聞く思縁に対し、なら良かったと俺は安堵した。

そして勉強会は終日続き、解散の時間となった。



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