出会い1
はじめまして、小説を書いてみました。初めての作品です。
ジャンルは一応恋愛かもしれません。
昔書いたもののリメイクみたいなものとなります。
自分と向き合って書いてみましたが、内容は、気分を害してしまう可能性もある内容となっております。
日の目を見ることはないだろうと思っていた作品ですが、かわいそうだなと思い、投稿することにしました。
それでもよければ読んでもらえると嬉しいです。
「明田はさ、神様って信じてる? 」
「ん、ああ、その辺にいるんじゃないか」
「もう、ちゃんと聞きなさい。神様はね、いつも私たちのことを見守ってくれているのよ。善い行いをした人には加護を、悪い行いをした人には試練を、運命として与えてくださっているんだから」
「そうだな、きっと、神様と一緒にドラマや映画でも見ているんじゃないか。その辺で」
「あら、そうだとしたら、いいわね。私たちと神様が映画を見ているなんて素敵」
「そうだな」
週末の玄関先で聞きそうな、どこかの宗教の勧誘じみた言葉をいなしながら、放課後になって学級日誌の欄を埋めていく。今、話しかけてきているツインテールの女子の名は若林思縁。学級委員長だ。不登校の俺には、まぶしい存在だ。
「ほら、早く書いちゃいなさい。あなたと私は、ずっと日直だったのよ。あなたのおかげでもう一週間も部活遅れているんだから」
「悪かったよ、ええと、思縁さん」
「思縁でいいわ」
意外とぐいぐい来るやつだなと、俺は思った。
「しかしだな、思縁。思縁なら学級日誌くらい、一人でも一日でできるだろ。なんで俺が来るまで日直を変えないなんて、先生に言ったんだ? 」
事実だ。思縁が余計なことを言わなければ、こんな、放課後になって日誌を急いで書くことも、思縁が。俺が来るまでの一週間も日直を続けて、部活を遅刻することもなかったはずだ。
なんだって彼女はこんな面倒を買って出たのか。俺には理解できなかった。
「それはね、明田。私は学級委員長として、あなたに、この学校が居心地の良い居場所になれたらなって思ったからなの。あなた、いつも来ないで、どこで何をしているのか分からないけれど、ここがあなたの居場所になったらうれしいなって。」
「居場所、か」
「そう。居場所。クラスのみんなも、あなたのこと、心配しているし、私もね、学校でみんなと楽しく過ごしたいなって思うの。だからまずは、明田にはしっかりと日直をしてほしかった。だから、明田が来るの、ずっと待ってたんだよ」
予想もしていなかった温かな言葉を受け、俺は顔が熱くなった。居場所。俺にはもうそんな存在はなかったと、自分では思っていたけれど、まだ俺のためにここまでしてくれる人がいるなんて、ありがたいと思うし、
「そうだったのか、すまなかった」
すまない。とも思った。
「いいのよ。気にしないで。それよりも日誌、早く片付けちゃいましょう」
「ああ、そうだな」
思縁への恩返し、というほどでもないが、次第に日誌を埋める文字のスピードは上がっていく。思縁はこういった書類の作成は慣れていたのか、言葉選びに迷ったときは丁寧に共に考えてくれた。
そうこうしている間に、
「できた」
「よかったわね。それじゃ、先生に出してきちゃいなさい」
「ああ」
学級日誌を書き終えて、先生の元へ歩いていく。もう時間はいいころで、窓からは緋色の光が差していた。書き終わった学級日誌を見ると、びっしりと今日あったことが書かれていた。ここまで紙の欄を埋めると、達成感も感じた。
また、俺が来るまでの一週間、思縁が書いた日誌を見ると、俺の何倍もの丁寧な字で、日々の授業内容などが書かれていた。
神様か。いるのかね、本当に。
とりあえずなんかすげえな、あの人。
ふいにそんな、彼女に対する感情だか、感想が漏れた。