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タイトル未定2025/03/02 14:26

 2024年7月3日。

 加瀬は声高らかに言った。

「いいか、この世に金で買えねえものはねえ」



 加瀬は闇の仕事で莫大な富を得ていた。

 どこか無邪気そうに、後輩の小池が反論する。



「先輩がすごいのはわかりますけどね。

 金で買えないものもありますよ」

「バカ野郎、なんでも買えんだよ。だから資本主義ってんだ」



「じゃあ恋愛は? お金で人の感情は買えねえっすよ」

「一番簡単に買えるよ。女ほど金に目のねえ連中はいねえ」

「だったら命は、命は金で買えねえでしょ」

「おまえはほんとまぬけだな。いいか……」



 加瀬は、途中で言葉を飲み込んだ。目の前に、妙な男が立っていたからだ。その手には拳銃が握られていた。



 バンと鈍く乾いた音が響き、加瀬は左胸に衝撃を覚えた。撃たれた……加瀬は瞬時のうちにそう悟った。恨みならば星の数ほど抱えている。



 男が逃げ去り、「先輩!」と小池が叫んだ。硝煙の匂いを嗅いだ瞬間、加瀬は不思議なことに気づいた。



 痛くないのだ。なんと財布に入れたお札が、弾を防いでくれたのだ。



 小池は穴の空いたお札を凝視し、目を輝かせている。金の凄さと魔力を目の当たりにして、感激でうち震えているのだ。



「どうだ。金で命は買えるだろ」

 加瀬が不敵な笑みとともに、そう口にする直前、小池が弾んだ声を上げた。



「渋沢栄一の新札、もう持ってるんですか!」




「そっちに感激してんの?」


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