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18話 エドワード 前編

高速モノレールの駅で恵理奈と別れた俺は、まっすぐ帰宅。

風呂に入り、簡単な料理で食事をすます(材料が一気に減ったためでもある)

リビングにある掛け時計を見れば、時刻は既に20時に差し掛かっていた。


さて、寝るには少々早いし-神々の黄昏-にでもログインするとしよう。

一応自室でパジャマに着替え、-神々の黄昏-専用機器を机の上から手に取る。

艶消しの黒とこのフォルムは何度みてもいい物だと、理由も分からず自然に思ってしまうのだが、何故だろうか?

ベッドに横になり、フルフェイスを頭に装着し、起動スイッチを押す。

すると、独特の駆動音と共にバイザーに物凄い速さでプログラムが流れていく。

1分程で完了すると、サーバー選択にキャラクター選択を行う。

次はあの砂嵐のようなノイズが耳に響き、同時に抗いようのない睡魔がこの身を侵していく。

俺はその睡魔に抗うことはせず、その意識をシャットアウトさせた―――――――




意識が戻り、気づけばグランスバールの広場に俺は立っている。

何時もながらこの転送時の奇怪な感覚(意識のシャットアウトと再起動時の奇妙な感覚なのだが、説明し難い為割愛)には慣れないものである。

仮想の肉体の感覚を馴染ませる為、軽く屈伸及び腕をぐるぐると回す。

旗から見れば少々滑稽な光景かもしれないが、いきなり本来の肉体とは別の運動能力の身体からだに移ったのだ、軽く運動しておかないと脳が以前の肉体と誤認を起こし、いきなり道端ですっころぶだとかをやりかねない(初めてVRGをやる人の一種の通過儀礼扱いである)

それでも身長等は同じな為、他のオンライン物と比べればマシな方ではあるのだが………


時間帯のせいか、周囲は昨日ログインした時よりも人で溢れている。

広場の中心である巨大な噴水ではPTメンバー待ちの人や、仮想でのデートを楽しむ人々、その外周では更に雑多な人ごみが露店でめぼしいアイテムはないかと賑わっている。

社会人が殆どを占めるこの―神々の黄昏―は、夜こそが真の活動時間だと言えるだろう。

つっても、空を今も燦々(さんさん)と太陽が輝いているのだが………

理由は単にこっちの時間が現実リアルの2分の1だからだ。


そんな人ごみに雑じらない様にしながら、何をしようか? と思考する。

ログインしたものの、別段何かやりたいことがあったわけでもなし。

レベル上げにしたって、今のレベルじゃ次のレベルまで相当かかるだろう。

一日二日気張ったからといってどうともなるレベルじゃない。


取り敢えず、他に誰かログインしていないかフレンドリストで確認してみる。

恵理奈はどうやらログインしていないな、アリアも居ないようだ……珍しいな。

アリアは時間さえあれば、俺に追いつこうと必死になっているのが常なのだが。

ふと、フレンドリストのログアウトの暗いネームとは別に白色に光る名前を見つける。


“リリエ・シフォンカート”“ルルエ・シフォンカート”及びエドワード………

ま、まぁ。エドのことはおいといてリリエである。

そういえば昨日、今日以降ならPTに付き合えると返信したような気がする。

やることもなし、丁度いいかもしれない。


ん? ルルエって誰か? ああ……リリエとルルエは双子らしい。

同じ獣人族で、身長及び容姿も瓜二つの一卵性双生児。

確か一応ルルエが姉であった筈だ。

性格に関しては、姉がナマグサで妹がそのお陰でしっかり者になったらしい(あくまでリリエに聞いた話ではあるが)

さて、連絡方法だがWISを飛ばすのはやめたほうがいいだろう。

忙しい時にWISが来ると応対ができないことはままるからな。


そう判断するとメール項目をタッチし、文面を書き上げる。

内容は至ってシンプルだ、昨日のメールについてと、今からなら時間があるのだがどうだろうか? という主旨を簡潔に書いてある。

書きあがったメールをすぐさま送信する。

さて、返信までどれくらいか分からないが折角だ、ひじょーに! 気が進まないがエドに頼まれた“竜の涙”を渡しておくとしよう。


エドは大抵冒険には出ない、フレンドリストに表示されている居場所も鍛冶師の街“マエストロ”となっている。

恐らく自身の店にでも籠もっているのだろう。

WISかメールで先に行く主旨を伝えたほうがいいのだろうが、何分できる事ならあの口調や文面を目に、耳にしたくはないのが本音である。

別に俺自身はエドのことが嫌いなわけではないのだが、どうもあの口調が生理的に受け付けられないのだ。


鍛冶の街“マエストロ”に行くには幾つかの条件がある。

 1:レベルが40以上であること。職業が鍛冶師、もしくはそれに準拠する場合は例外とする。

 2:この街に行く場合は転送陣を使用できない。

の二つの条件だ。


1も2も普通にプレイしていけば然程問題はない。

何故なら、レベル45以上且つとあるクエストをクリアすると報酬として転送の魔法を取得出来るからだ。

その名も“ルーラ”いや、言いたい事は分かる。

だが別段問題はない、あの不滅の名作竜の依頼シリーズのスクアニもこのゲームの出資社だからだ。

話はそれたが、今回はこの移動用魔法、ルーラでマエストロまで行くってことになる。

さて、それじゃあいきますかね。


「移動魔法“ルーラ”発動、目的地マエストロ」


瞬間身体が光の粒子に包まれ、物凄い勢いで空に移動、そのままグランスバールから西にあるマエストロまで信じられないスピードで移動を開始する。

景色がびゅんびゅんと移り変わること1分程、あっという間に俺はマエストロの街の入り口に降り立っていた。


この魔法、便利ではあるのだが慣れていないと嘔吐する危険がある。

しかも偶に他のルーラ使用者とすれ違うのだが、その時の一瞬ぶつかる! という恐怖は中々に味わえないものであろう。

残念ながら俺はどちらも慣れてしまっているので、今更何を思うこともないのだが………


マエストロの正門から街に入る。

相変わらず雑音が酷い街だ、鍛冶師の街であるこのマエストロは絶えず剣を鍛える音が街に響いていて、煩いことこのうえない。

しかも炉の影響か街自体の気温が高く(無駄にリアルなこの世界では汗もかく)お陰様で鎧の下がじっとりと湿ってくる。

そんな鍛冶師以外には地獄と呼べるところなのだが、マエストロはまさしく鍛冶師の聖域といえるのだ。

理由は幾つかあるが最大の理由は、鍛冶の成功率及び良品が出来る確立が僅かだが上昇するのだ、この街に居る限り。

ただし、この街で鍛冶を行うには専用の設備を持つ必要があり、それは僅か1000人分しか存在していない。


理由は単純で、設備のある家が1000件しかないからだ。

この街はそんなに大きくない、プレイヤーを入れても精々1500人程度だろう。

この街で店を構えるってことは、一種のステータス。

それだけで高名な鍛冶師の仲間入りと言える。


因みにエドはそんな鍛冶師の中でも、トップクラス。

所有する店こそ小さいが、設備は最高クラスだ。

俺は煉瓦造りの道を真っ直ぐ進んでいく。

この街の特徴として、街の通路が碁盤の目になっていることが上げられる。


お陰で迷いやすいし、目的の場所に行くのも大変だ。

俺は幾つかの通路をとおり、更に幾つかの角を曲がる。

やがて、裏路地と呼ばれるような薄暗い一角に出る。

狭い通路は太陽の光を遮り、まるで夜のように薄暗い。


その奥、最奥にこじんまりとした木製の扉がぽつん、と存在している。

その扉の上部には小さな看板と周りを照らすカンテラが二対備え付けられている。

看板の文字は残念ながら俺には読めないが、確か「汝、この先に入るべからず」といった意味だった筈だ。

そう前にエドが教えてくれた。


俺は深呼吸を一回。

気持ちを落ち着かせると扉のノブを回した――――――



後書きぽいもの


取り敢えずここで区切りました(長くなりそうでしたので)

次話で変態が出現するので注意をw


活動報告にて、意見を募集しているので是非メッセでも、此方の感想でも、あるいは活動報告のコメでもいいので送ってくれると嬉しいです。


それでは、感想、評価、誤字脱字やアドバイスをお待ちしております。

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