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16話 エリナとの日常 中編

2週間近くもの更新停滞、深くお詫び申し上げます。

戦闘シーンをご期待されている方は、どうかもう暫く日常編にお付き合いくださいませ。

取り敢えずキッチンに立った俺は、冷蔵庫の中身を確認した。

ふむ、この間材料を注文したばかりだから食材には困らなさそうだな。

肉に野菜、魚介類まで一通り揃っている。


さて、この豊富な材料で何を作るべきか?

費やせる時間は約30分。

悩んでいる時間などありはしない!

それなら――――





40分後、少しばかり予定時間をオーバーしてしまったが、そのかいあってテーブルには和洋中の3種がこれでもか! と言わんばかりに並べられていた。

ふふふふ……会心の出来である!

これなら我が義妹殿にも満足していただけることだろう。

早速ソファーに座ってテレビを眺めている恵理奈に声を掛ける。


「恵理奈、準備出来たぞ。暖かいうちに食べたいから、直ぐに席に着いてくれると助かる」


「あっ、はい。ふふ、私はもうお腹ぺこぺこです。危うくお腹と背中がハグしてしまうところでしたよ? それでは早速いただ………え?」


何やら苦言を零していた恵理奈がテーブルを見るのと同時、その顔を驚愕に歪ませた。

はて? あまりの出来栄えに感動でもしたのだろうか?


「お、お兄様……。今から家に誰かがお尋ねになったりとか、ありませんよね?」


「ああ、別にそんな予定はないが。いきなりどうしたんだ?」


「非常に申し上げにくいのですが……この量を私とお兄様だけで食べるのですか? 流石に無理がある気が……」


言い終わるのと同時、息苦しい沈黙が場を支配した。

再度確認しよう、テーブルには和洋中の3種の料理がこれでもか! と言わんばかりに並べられているのである。

つまり、どう考えても作りすぎであった―――――





「うぷ……昼はもう何もイラナイぞ」


結局奮闘虚しく、数皿も平らげることができずに恵理奈はギブアップ。

殆どは俺が胃袋に詰め込む羽目となった。

いや、まぁ、自業自得なんだけどさ……。

暫くは和洋中全ての料理が見たくなくなったよ。

あれ、それってつまりご飯食べられなくね?


閑話休題それはともかく


結局このまま出かけるにせよ、胃袋が落ち着くまでは外に出れなさそうなので恵理奈と室内でゲームをすることになった。

リビングから家庭内用ゲーム機を取り出し、何か二人でやれそうなものがないか恵理奈と探していく。

すると恵理奈が何やら見つけたらしく、此方にソフトを差し出してきた。


「お兄様、これなんて如何でしょうか? これなら私でも少しですがやったことがありますし」


「ほぉ、によによか。しかも、初代のリメイク版だな」


によによ。所謂落ちゲーと言われるパズル系のゲームで、それこそ100年以上昔から続く由緒正しいゲームである。

ちょっぴりえっちぃ顔のによによしたスライムをテトリスよろしく積み重ねて、同じ色が一定数隣接すると消え、連鎖で消せれば相手におじゃまによを送ることができる。因みにおじゃまによは、トゲトゲしていることからウニと呼ばれている。

恵理奈が手渡してきたのはそれの初代のリメイクだ。

今発売されている最新版のような複雑なルールはなく、シンプルな初期のルールが採用されている。

しかし、だがしかしである! 恵理奈は明らかに人選? を見誤った! 何を隠そう、この俺は―――――


「日本のによによ王と呼ばれたことがあるのだからなぁ!!」


「え? お兄様? いきなりどうかなさいましたか?」


いきなり声高らかに叫びだした俺を見て、恵理奈が目をぱちくりさせている。

その姿に義妹ながら可愛いと思ってしまいそうになるが。

だが、しかし! その程度で今の俺は止まりはせんよ!

過去、ネットによによで日本中を震え上がらせた俺の実力! 見せ付けてくれよう!

高まるテンションに身を任せ、喉から自然と出る声に台詞を託す。


「えーぃい! 控えよ控えよ! 我こそはによによ王なるぞ!! ククククッ……によによ王国復活の前座として、まずは貴様から血祭りにあげてくれるわ!!」


何が起きているのか理解できない、といった顔をしている恵理奈を尻目にソフトをセットしてゲームを起動させる。

そこで漸く我に返った恵理奈がコントローラーを手にし、何やら燃えた目でこちらを見つめてきた。


「なんだかよくわかりませんが、今回はお兄様にだって負けません!」


今回は・・・の下りからご理解いただけるかもしれないが、このように恵理奈と二人でゲームをするのは初めてではなかったりする。

ある時はレースゲームを、ある時は某パーティゲームを、はたまた某格闘ゲームをetc…etc…。

それに家庭内ゲームだけではなく、ゲームセンターでも幾度か一緒に対戦したともある。

その全てのゲームにおいて、恵理奈は俺に唯の一度も勝利できないでいた。

え? 大人気ない? 馬鹿を言っちゃいけないよ。勝負は何事においても非常なのさ!


「ふっふっふっふっ、このによによ王に打ち勝てるものなら打ち勝ってみせよ!!」


叫び終わるのと同時にゲームが始まる。

画面に落ちるによによスライムを高速で下に落としていく俺。

次々とによを連鎖しやすい形に組んでいく中、2~3連鎖分を別に組んで恵理奈の状況に合わせて崩していく。

恵理奈も決して初心者というわけではないのだろう。

ウニを消しながらそれでもじょじょに組んでいっている。


「だがしかし! 敢えて俺は言おう、残念だったね!! と!」


言い終わるのと同時、今まで邪魔しつつも組んでおいたによを解き放つ!

画面の半分以上を埋められたによは、連鎖的に次々と消えていき恵理奈の画面の頭上に大量のウニがループされていく。

とうとう画面を2度埋め尽くしても余りあるウニがループされてしまった。

しかし恵理奈はそれでも諦めず、自身が組んでいたによで相殺を試みる。


しかし――――


「無駄無駄無駄! その程度の貧弱連鎖じゃ、このによによ王の15連鎖は覆せないわ!!」


事実、ループされていたウニはその数を半分近くまで減少させたものの、あっさり恵理奈の画面の落下、ゲームオーバーの文字が浮き上がっていた。


「むぅ……。お兄様、もう一回勝負です!」



それから一時間と少し。



「ふはははは!! なあなあ? 15回以上も連続で負けるのってどんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?」


そう、あれから結局15回以上も対戦したのだが、恵理奈は俺に一度も勝つことができなかった。

見た目に似合わず、負けず嫌いな傾向のある我が義妹はきっと悔しさでいっぱいのことだろう。

その証拠に、恵理奈の眦にはうっすらと涙が浮かび、その艶やかな唇は悔しさにふる…え……て?

あるえ? もしかして泣きそうですか?


「ぅぅ……おにい、さま、いじわるです。一回くらい勝たせていただいても……よろしい、ひぐ…じゃない、ですか」


ああ、ああ。

やばいやばい、本格的に涙声になってきた。

流石にちょっとやりすぎたかね?このままじゃわんわん泣き出すのも時間の問題かもしれん。

恵理奈は案外泣き虫なのを今更に思い出す。

今までも俺が大人気なく勝ち続けると、今回のようにぐずり出すことが多々あった。

その際どうしてやれば機嫌がよくなるのかというと―――――



「ああー、なんだ。俺も大人気なかった。だからなっ? 俺に出来ることならなんでも一個願いを聞いてやるからさ、泣き止んでくれ。どうも俺は恵理奈の泣き顔は見たくないんだよ」


「……うふふ。言質、頂きましたよ? お兄様」


――――と、言うわけである。

本当に悔しくて泣いていたくせに、まるで嘘泣きしていたんです! と言わんばかりの態度だ。

まぁ、そこは指摘しないで騙されたふりをしてやるのが正解だろう。

それに、そんな表情も可愛く見えるんだからその容姿を鑑みても大概に重症である。


「はいはい、それで? お姫様のお願いとやらを御拝聴致しましょうかね?」


俺はそう言って恵理奈の頭に手を乗せ、軽くぽんぽんと撫でてやる。

え? 撫でポ? 意味は分からないが、違うと思うぞ。

恵理奈の身長は、近年増加傾向に日本の平均からみればやや小さいからか、頭を撫でるのに苦労しない位置にある。

お陰で昔からその触り心地の良い髪質と相まって、気づけば撫でたりぽんぽんしたりしてたわけ。


「……んっ。はっ!? こほん! そうですね、もう直ぐお昼ですし今日一日夜まで私とデートしてくれた許してあげます」


「なんだ、そんなことでいいのか?」


それなら恵理奈が俺のところに遊びに来るたび、高確率で発生しているといえる。

そのデートが勿論、“男が女に対するもの”であり、ちゃんとしたエスコートされたものを希望してのことだというのも経験から理解していた。


「ふふ、有難う御座いますお兄様! だからお兄様は大好きですよ♪」


そう言って、向日葵のような美しい笑顔を惜しげもなく俺に見せ付ける。

そういう表情を見ると、義妹いもうとと認識していても時々心臓がドキりとする。

俺は自身の恥ずかしさを誤魔化す為、一言着替えてくると伝えて2階に向かって足を向けた。



後書きぽいもの


久しぶりの更新です。

あっ! ちょ! 物投げないでw


今回というか、前話からエリナの主人公に対する思いと主人公の揺れる気持ち? をなんとなく意識して書いてます。

エリナの主人公の対する思いは恋心なのか?

そのうち物語で語っていこうと思います。


感想、評価、お気に入り、アドバイスに誤字脱字の指摘、心からお待ちしております。

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