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15話 エリナとの日常 前編

久しぶりの本編更新。

本当に長い間遅れてすみませんでしたw

ぴょん、ぴょん! (ジャンピング土下座中

今回はちょっとエリナとのいちゃいちゃ雰囲気で書いてみました?

番外編に関しては、今しばらくお待ち下さい。

6/16 サブタイ変更

6/21 指摘により、感嘆符を修正しました

side 恵理奈


前にお兄様に頂いた生体用認証キーを玄関に翳すと、ガチャリという音と共にロックが解除されました。

そうです、私は今お兄様の家に来ています。時刻は間も無く8時に指しかかろうかという時間でしょうか。

お兄様の家に来るのは実は久しぶりです、かれこれ数週間程以来でしょうか? 


現代において土地の距離というのは、極端に離れていなければ大きな障害にはなり得ません。

実際私の家とお兄様の家は数十キロ離れていますが、僅か30分程でこれますし。

昔はよく朝の弱いお兄様の為に起こしに来たものです。


残念ながら今はお兄様のたっての希望で、今はそれを断念せざるを得ないのですけれども。

ちょっとした思考の渦から脱却すると私は玄関で靴を脱ぎ、小さな声で「お邪魔致します」と囁きます。

だって、大きな声を出してお兄様がお起きになられたら、寝顔が見られませんから。

私ははやる気持ちを抑え、忍び足で2階への階段を慎重に上っていきます。


なんとなく自身がくのいちにでもなったかのような気がして、なおのこと気分が高揚してきました。

傍から見れば私の顔は興奮に紅がさしていることでしょう。

お兄様の部屋の前まで来た私は、そっとドアノブに手を掛けます。

ゆっくりと回してドアを押し開いていく私。


どうやらカギは掛かっていなかったようですね。

ふふふ、例えカギが掛かっていても私には秘密兵器(カギ開けツール)があるのですけども。

開閉時に音が鳴らないように、ゆっくりとドアを押していきます。

お兄様は朝にはとことん弱いですが、不審な音が鳴れば目覚めないとも限りません。


私一人分の隙間が開いたことを確認し、素早く室内に身を滑り込ませます。

ゆっくりとドアを今度は閉めます。

興奮と緊張の為か、焦ってドアノブから手が滑ってしまいました。

ガチャンと音が鳴った瞬間、私はベッドに視線を合わせますが幸運ながらベッドから反応がありません。


ほっと息を付きました。どうやら音には気づかなかったようです。

この緊張に世話しなく血液を送り出す心臓を、ロープで縛り付けたくなります、全くもぉー……。

私は胸に手を当て、ゆっくりと息を吐き出し、今度は肺一杯に空気を取り込みました。

数回繰り返し、落ち着いたところでミッション再開です。


再び忍び足でお兄様が寝ていると思われるベッドに近づいていきます。

そして、とうとう手が届く範囲まで近づくことに成功しました! 

その瞬間、私の胸には何ともいえない喜びで溢れ返りそうになります。

きっとこの気持ちは例えお兄様でも御理解して下さらないでしょう。


そっと枕元に移動すれば、普段より幾分幼げな雰囲気で寝息をたてているお兄様の顔がありました。

心の内で暫く眺めてても罰はあたりませんよね、神様? 

と言い訳しつつ、お兄様の寝顔を心行くまで御拝顔致します。

暫く見つめていると、お兄様の顔が少しばかり苦痛に歪むのが見て取れました。


悪い夢でも見られているのでしょうか? 

私の我が儘より、お兄様の苦痛を取り除いて差し上げるほうが大切です。

取り敢えず声を掛けてみましょう、いきなりお体を揺するのは如何なものかと思いますし。


「お兄様。お兄様、朝ですよ」


声に反応したのか、苦しげなお顔が幾分か和らいだことにホッと息をつきました。

しかし、覚醒には程遠いようで、未だその寝息は深いものです。

もう少し声量を上げるべきでしょうか? 


「お兄様、お起きになって下さいまし。お兄様!」


今度は明確な反応がありました。

お兄様の瞼が短い時間でしたが、痙攣を起こしたのです。

覚醒までもう一息というところでしょう。

私は今度はそっと、お兄様のお身体に手を添えると先ほどより更に声量を上げ、添えた手に力を込めました。


「お兄様! 朝ですよ! お起きになって下さいまし、お兄様!!」


揺らしていた手にお兄様の手が被せられます、その感触に内心ドキリとしながらも、薄目を開けたお兄様に私はもう一声かけるのでした。


side end




声に導かれるように瞳を開ければ目の前には予想通り、恵理奈の姿がぼんやりながら映っていた。

低血圧の障害か、半覚醒状態の頭をフル回転させながら声帯から声を絞り出す。

そう、俺は恵理奈に問わなければならないのだ。


「……ああ、おはよう恵理奈。あぁー、ところでどうして恵理奈が俺の部屋に居るんだ? 確か今日は平日だったと記憶しているんだが……」


廻らない頭をそれでもフル回転させながら、なんとか伝えたい言葉を出す。

そう、今日は平日なのだ。

恵理奈は学園に通っている時間の筈である。

それなのに何故俺の家に居るのだろうか? 


「あらお兄様、まだ寝惚けていらっしゃるのですか? 私でしたら一週間程前から夏休みに入ってますけど。この前お兄様にも電話でお伝えした筈ですけど……」


………あー。

そういえばそうだった。

今はもう学生達はみんな夏休みシーズンか。

すっかり忘れていた。


学園に通わなくなってしばし、どうやら頭から完全に抜けていたらしい。

電話も一週間程前、夜の間にかかってきている。


「そっか。すまない、どうやら本当に忘れていたみたいだ。取り敢えず着替えたいから、部屋の前で待っていてくれないか?」


仮にも義妹いもうととはいえ、異性に裸を見せるのは些か抵抗がある。


「申し訳ありませんお兄様。お兄様に久しぶりに会えたもので、失念していました。それでは部屋の前で待っていますね」


そう言って恵理奈は足音を立てず、相変わらず見惚れそうなくらい綺麗な立ち姿で部屋を後にした。

ガチャン という音の後、俺はパジャマを脱ぎ、箪笥から適当な服を取り出し着替える。

脱いだパジャマは、後で洗濯機に放り込んでおけばいいだろう。


かなりラフな格好だが家内なら構わない。

俺はものの1分で着替えを済ませると、部屋を出た。


「恵理奈は飯は食ったのか?」


部屋を出て、階段を下りながらドアの真横で待機していた恵理奈に尋ねる。

まぁ、答えは予想しているのだが、社交辞令みたいなものである。


「いいえ、きっとお兄様がお作りになって下さると思いまして、今朝はまだ食べておりません。あの……御迷惑でしたでしょうか?」


少し不安げに、身長差で自然上目になりながらもおずおずと聞いてくる。

世の殆どの男どもはこの目線できっと一発KOだろう。

まぁしかし、このやりとりも相当な数に及ぶ俺は些かも動揺しないのだが。


「いや、何時も通りならいいんだ。癖で二人分作って、朝は食べてきましたなんてことになったら勿体無いからな」



そう、恵理奈は何を好き好んでか、俺の手作り料理が殊のほかお気に入りなのである。

男の料理だ、やはり細かい部分にかけるし、見目も味も殊更素晴らしいわけでもない筈なんだけどな。

それに、恵理奈の家には高名なコックも居た筈だ。

全くもって不思議なものである。

まっ、恵理奈が俺の料理を食べるときの幸せそうな表情かおは、俺も好きだから構わないんだけどな。


「取り敢えず、先に顔洗わせてくれ。どうもまだ頭がしゃんとしない」


「はい、勿論私に否は御座いませんわ、お兄様」


階段を下り、玄関通路にある脱衣所に向かう。

リビングの窓から暖かな木漏れ日が差し込んでおり、どうやら今日は随分と良い天気らしいと確認する。

玄関に向かうドアを開け、脱衣所の扉を開く。


脱衣所とセットになった洗面所の蛇口を捻ると、冷たい水が勢いよく流れ出した。

夏場だろうと、冬場だろうと、毎度ながらこの冷たい水で顔を洗うという行為はなかなかに勇気が要ると思うんだが。

読者の皆様は如何だろうか? 

寝惚けた状態ならいい、しかし覚醒状態だと一瞬躊躇してしまうのは俺だけなのだろうか。


覚悟を決め、蛇口に手を翳し、顔をじゃばじゃばと洗う。

冷たい水が顔の皮膚に突き刺さるような感覚と共に。

今までどこかぼぉーとしていた頭が、霧を払うかの如く明瞭になっていく。


顔を洗い終えるのと同時、横からタオルが渡された。

よく気が利く義妹いもうとである。


「有難う。態々洗面所までこなくても、リビングで待っていればよかったのに」


恵理奈の予想できる返事を聞きながらタオルを元の場所に返す。


「ふふ、それは野暮なご質問ですよ。お兄様?」


「だったな、聞き流してくれ」


勿論分かっていながら質問したのである。

下らない質問だろうとなんだろうと、こういったコミニュケーションはないよりあった方が断然いいからな。


「さて、と。んじゃま、うちの可愛い姫様の為に腕によりを掛けてご飯、作りましょうかね」


洗面所の時計に目をやれば8:28分、30分内で作るのが理想だろうか? 


「ええ、楽しみにしていますわお兄様?」


軽くおどけてみせる俺に、ふふふ、と上品に笑うと片目を瞑ってウィンク、そして可愛らしく返事を返してくれた。

期待には全力で答えないとな。

兄の底力の見せ所であった。









後書きぽいもの


今晩は、作者のアンデルセンです。

更新に関してですが、これからは早くても数日、遅いと一週間なんてことになるかもしれません(もうひとつ、小説書き始めたので)。


活動記録にもある通り、とある世界のエヴォリミット(限界進化)を投稿し始めました。

一応こちらをメインとして更新していきたいとは考えておりますが、それでも更新速度の低下は否めないかと思います。

ご了承下さい。


よろしければとある世界のエヴォリミット(限界進化)も、応援して下さると非常に嬉しく思います。

活動報告に記述していることも随時募集しています。


それでは、感想・評価・誤字脱字にアドバイス、お待ちしております。

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