6話
戦闘描写が上手く書けない・・・。
5/8 ご指摘により一部修正
6/20 指摘により、感嘆符・三点リーダを修正しました
転移陣をイヴァール山脈に設置して起動させれば、そこは標高4000メートル地点、イヴァール山脈中腹に位置する中継地点だ。
既に一部雲より高いこの場所は、岩肌がむき出しの山脈で構成されており、足場は不安定で油断すれば崖下や山脈の下までまっさかさまだ。
因みに落ちた場合はデッド判定としてすぐさまグランスヴァール、もしくはセーブ地点に戻される。
普通のMMORPGやオンラインゲームなら考えられない程に、リアルな世界だからこその判定と現実味であると言えるだろう。
俺も二度程落ちたことがあるのだが、あれは下手なジェットコースターよりスリリングだった………
なんていったってグランスヴァールに戻された後は思わずマーライオンッ!! してしまったくらいだし。
暫くイヴァール山脈に行かなくなったのは御愛嬌てところだろう。
「久しぶりに来たけど、無駄に高いです。しかもまだ頂上じゃないんですよね……。心臓の弱い人は絶対無理です」
「ええ、私も何度か来たことがありますけど、何時見ても凄い場所です。本当、ここがゲームなのか疑わしく思ってしまいます」
エリナが言ったとおりこんな景色を見ればここがゲームだなんて思えなくなるだろう。
まぁある意味こんな場所は現実でもないだろうが。
視線を遠くに合わせれば巨大な影が複数見える、竜が飛んでいるのだろう。
ここからは相当離れている筈なのだが、しっかりと肉眼で捉えられることからその身が相当巨大であることが伺える。
まぁここは竜族のみしか出現しないしな。
しかも中腹以降は全て中級以上に分類される竜種しか存在しない。
山頂付近にいけば伝説に語られるクラスの竜すら存在しているって話だ。
残念ながら俺は未だ出会ったことはないのだが、攻略サイトにはランダムエンカウントにて複数の出現報告がされている。
さて、ここで立ち往生するわけにも行かない、目的はあくまで竜の涙なのだから。
少々はしゃいでいる二人に声をかけて険しい山脈を進んでいく。
「にしてもアダムの嫌がらせか何かか? 人工の道は兎も角、橋一つないなんて……」
探索を始めて15分、凹凸激しい道のりに前衛職である俺とアリアは兎も角、エリナはやはり辛そうである。
声をかけても大丈夫と答えるだけだが、額には大粒の汗が浮かんでいる。
アリアにしたって俺と比べて、だし。
その端整な顔には少し疲労の影が見える。
「少し休憩しよう、エリカは結界の準備を頼む。俺は見張りに立つから、二人は体力を回復させてくれ」
「申し訳御座いませんお兄様……。お兄様だけなら休憩なんて必要なかったでしょうに」
「気にするな、PTなんだから当然だろ? 体力切れに襲われればたまったもんじゃないしな」
「アリアもちょっと疲れました。ジンのキャラは本当チートですね、疲労のひの字も見えませんよ?」
人形さながらの無機質めいた瞳が俺を捉える。
俺はそれには答えず、軽く両手を頭まで上げて降参ポーズを取り誤魔化す。
エリナが簡易結界を張ったのを確認し、近くの大岩に登り周りに意識を伸ばしていく。
イヴァール山脈が上位難易度のダンジョンに数えられる理由の一つに、この険しい道のりや落ちたら即デッド判定なども含まれる。
ここよりレベルの高い敵が出るダンジョンなら、神々の黄昏にはそれこそ無数に存在するだろう。
環境や出る種族がここの難易度をレベルより大きく繰り上げている理由である。
ふと、意識の端で自分達以外の別の気配を捉える。
距離にして1キロ程先だろうか、徐々に近づいてきている。
このままだと数分もしないうちに接触するだろう。
気配の濃度から結界の誤魔化しが効いてないことは明白だ。
「4時の方向から竜が一体こっちに向かっている。後1~2分で来るぞ、戦闘態勢、俺とアリアが前衛に立ちエリナは俺らの後ろで援護だ、いいな?」
「ん、ペットの面倒は主人の役目」
「お兄様に任せれば間違いは御座いませんから」
「……来た!」
何時からか立ち込めていた薄い霧を突き破り出現するは一体の竜。
その鱗は紅蓮の如く紅く、その巨体は10メートル近くはあるだろうか。
腕はなく、翼に鉤爪がついているのが見える。
こいつは………
「赤翼竜か!!」
赤翼竜、中位竜に属するそれは名前から想像するとおり炎を操る火竜の一種で、知能は低いものの高い飛行能力と竜の吐息は下手な後衛だと一撃で半分近くHPを持っていくという凶暴なドラゴンだ。
幸いここはそこそこの広さと足場が安定している、このメンバーなら然程苦戦はしないだろう。
最低限の指示のみだし、俺は腰に佩いていたヘリオトロープを片手に構える。
「……リーン・エルトエル…………焔の結界!」
エリナが唱えた対炎属性の結界が身を包むのを確認し、俺はアリアと共に赤翼竜に詰め寄る。
鍛えられた脚力が爆発的な推進力を生み、瞬く間に距離を詰めていく。
「はぁぁぁあああ! セヤッ!」
気合一閃、振りぬかれたヘリオトロープはレッドワイバールの片足を深く傷つける。
鮮血が吹き出るのにも構わずレッドワイバールが両翼をこちらにむかって振りまわしてきた。
俺がバックステップで回避するのと同時、背後に回ったアリアが力強く跳躍、両手に装備した双剣を赤翼竜の右翼に叩き付ける。
「ギィアア!!」
バランスを崩すが傷が浅かったのか地面に沈めるほどのダメージじゃない、頭上のHPバーも然程減っていないようだ。
赤翼竜は怒りに爛々と輝いた瞳をアリアに向けると、その口元に高熱の塊を浮かべ吐き出してきた。
所謂竜の吐息と呼ばれるそれは、直径数メートルに及ぶ大火球となりアリアに轟々と火の粉を撒き散らしながら進んでいく。
直撃する瞬間アリアはブレイドダンサー特有の身軽さで、軽々と竜の吐息を飛び越えてそのまま距離を再び詰めていく。
俺はその間に再び詰め寄った背後、アリアと同じように跳躍した後、素早く剣技を発動させる。
「これを食らえば無事ではすまんだろ! 竜気閃!!」
竜よりなお高い頭上からヘリオトロープを大きく振りかぶる。
瞬間剣先から込められた気が、竜のアギトの形を取り赤翼竜に突き進んでいく。
皮肉にも竜の名を冠したその一撃が、負傷した左翼を食いちぎるのを確認する前に着地、そのまま旋回し追い討ちをかけるべく再び走り出す。
「ペットにいい格好ばっかりさせない。イヤッ!!」
鋭い呼気と共にアリアは勢いを殺さずそのまま突き進み跳躍、その胸元に双剣をX字に切りつける。
剣技クロスブレイドと呼ばれるそれは、威力はそれほどではないが、使用後の硬直が極めて少なく、竜気閃のように空中から放ち着地までの時間で硬直を誤魔化すなんていう小技を必要としない。
流石に胸から吹き出る鮮血と千切れた左翼に痛みを我慢できなくなったのか、鼓膜を振るわせるほどの咆哮をあげる赤翼竜。
そこに更なる追い討ちが迫る。
「輝けし光、集いて穿て、ホーリーランス!」
後ろから聞こえるエリナの詠唱と共に一条の光が赤翼竜に降り注ぐ。
それはまだ無傷の右翼に突き刺さりその身を地面に縫い付ける。
苦し紛れに放たれる竜の吐息を避け、とどめの一撃を放つ!
素早く近づきその首元にヘリオトロープの白銀が煌く。
「これで終わりだ、幻想剣!」
本来の一撃を具現化した幻想により無数の実体のある残像として放つ奥義・幻想剣。
振るうヘリオトロープが七色の残像と共に竜の首をあっさりと切り落とす。
吹き出る鮮血と共に絶命する赤翼竜。
「お兄様お怪我は御座いませんか?」
「いや、大丈夫だ」
背後から駆け寄ってきたエリナが心配げに尋ねてくるが、重症どころか軽症すら負っていないので問題はない。
アリアの方もどうやら無傷のようだ。
「あんな蜥蜴もどきにダメージ負わされるアリアじゃないです。アリアより不本意ながら腕の立つジンが怪我なんてあるわけないです」
相変わらず無表情ながらもその言葉の端々には、此方を心配する気配と信頼の念が感じられる。
「ドロップは素材だけか。めぼしい物はおろか、龍の涙もないようだな」
「中位龍といっても所詮トカゲです。もう少し上に行かないと駄目だとアリアは提案します」
確かに、この辺りじゃ出ても中位の底辺あたりが関の山だろう。
数を倒せば龍の涙も落とすかもしれないが、ここは折角の三人、上を目指していくのもいいかもしれない。
「よし、それで行こう。30分程休憩した後山頂部まで進むことにする」
エリナが上位の遮音と気配遮断の結界を張り、三人でその中に入る。
久しぶりのイヴァール山脈、今のところ余裕と言える行軍だが、何があるかわからないのが神々の黄昏である。
俺は再度油断しないように気を張りなおすと無骨な岩肌に背中を預け、しばしの休憩に身を休めることにした。
後書きぽいもの
取り合えずPV6000ユニーク1500超え有り難う御座います。
改定前のPV3万はまだ遠い・・・OTL
戦闘描写等のアドバイスくれると助かります。
評価や感想、お気に入りしてくれるときゃっほ~!(このネタ分かるアナタは同士)しますw