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流転の國 番外編全集  作者: 川口冬至夜


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流転の國 リッカの休日

番外編初登場リッカ様。

「…うむ。こんな感じか」

ルーリの美容室に行ってから最初の『流転の國の休日』。リッカは鏡を見ながらあの日と同じようにスタイリングを行っていた。

首が見えるほど短く切った髪。

耳朶が覗くほど短く切った髪。

「…ふふ。私がショートヘアにするとは、今も信じられない気分だな」

桜色の都出身のリッカは物心つく前からロングヘアだった。髪の長さと美しさは女性の美の条件の一つであるという桜色の都の常識に従い、腰を超える長さの美しい髪を大切に保ってきた。流転の國に来てからもそれを変えることなく、自分は死ぬまでロングヘアでいると思っていた。

しかし、あることをきっかけにリッカの気持ちは変わった。マヤリィがリッカの首に残された傷痕を『完全治癒』魔術によって消し去ってくれたのだ。それは若き日に氷系統魔術師として戦場に立った際に負った惨い傷の痕で、長年リッカを苦しめ続けてきたが、完全治癒魔術を受けたことでつらい戦の記憶からも解放された。

(これで髪を結い上げられる…!)

今まで長い髪と襟の高いドレスで傷痕を隠してきたリッカは、髪をアレンジ出来るようになったことを喜んだ。

が、髪を結い上げるよりもやりたいことが出来てしまった。

(私も…髪を短くしてみたいな…)

ライトブラウンのショートヘアが可愛らしい『書物の魔術師』タンザナイト。

絶世の美女と謳われる夢魔ルーリはブロンドのショートボブ。

そして、なんといっても女王マヤリィの端正なヘアスタイルに魅了された。

死ぬまでロングヘアを貫くつもりだったリッカだが、流転の國の彼女達を見ていたら、女の美と髪の長さは何の関係もないと気付かされ、同時に憧れの感情を抱いてしまったのだ。

長い髪をアレンジするよりも、切ってみたい…。

そう思ったリッカは今の自分の心に従い『ルーリの美容室』を訪れ、緊張しながら自分の希望を伝えた。ルーリは驚いていたが、リッカの気持ちを受け取り『必ず似合うショートヘアにする』と言って断髪を引き受けてくれたのだ。

長い髪に鋏が入り、全てが肩につかない長さになった時、ふっと頭が軽くなったのを覚えている。本当にショートヘアになるのだと思いながら髪を切られている間、なんだかくすぐったいような気持ちになったのを覚えている。鋏の音が耳元で聞こえた時、なんとも言えない心地良さを感じたのを覚えている。

ルーリは初めて美容室に来た女の子の髪を丁寧に切ってくれた。

彼女の魅力を引き出せるように。

彼女に満足してもらえるように。

そして、それは大成功した。

「私は…もうロングヘアにはせぬだろうな」

腰を超える長さの真っ直ぐな髪をバッサリと切ってふわふわのショートヘアに変貌を遂げたリッカは、華やかな美貌はそのままに、可愛らしさが増してとても魅力的だ。

「…さて、衣装部屋に行ってみるとしよう。今の私には、どんなドレスが似合うであろうか?」

リッカの休日はまだ始まったばかりである。

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