流転の國 HELP!!
《助けて!!》
真夜中の念話に応えるのは彼女しかいない…。
(苦しい…苦しいわ……)
マヤリィは悪夢に魘されていた。
「嫌っ!!」
飛び起きる。
パニックを起こした身体が震えている。
《助けて…誰か助けて…!》
思わず『念話』を発動する。
(こんな夜中に…返事が来るわけないのに…)
そう思った瞬間、
《こちらルーリにございます!マヤリィ様、ご無事でいらっしゃいますか!?》
頭の中に聞こえてきたのはルーリの声。
《ああ、ルーリ…!来て…!》
《畏まりました、マヤリィ様!》
ルーリはすぐにマヤリィの部屋の前に『転移』すると、ドアの鍵が開くのを待った。
「『施錠解除』」
「失礼致します、マヤリィ様!」
マヤリィはベッドの上にいた。
「マヤリィ様…!」
ルーリはそれ以上何も言わず、マヤリィを抱きしめた。
「ルーリ…来てくれてありがとう…」
マヤリィの身体はまだ震えていた。
「マヤリィ様、ルーリはここにおります。念話を送って下さり、感謝致します」
「夜中なのに…貴女はすぐに来てくれたのね…」
「はっ。私はよほどの体力低下か魔力切れを起こさない限り、睡眠を必要としません。一応、夜はベッドにおりますが、眠りは極めて浅いのでございます」
ルーリは悪魔種であり、魔力値も体力値も高いので、睡眠を必要としないことを前に聞いた気がする。
「そうだったわね…貴女の魔力値は私に匹敵するほどだものね…」
「とんでもございません、マヤリィ様。貴女様は特別な御方。配下である私は比較対象にもなりません」
ルーリは言う。
「マヤリィ様、私は今しばらくこちらにいさせて頂いてよろしいでしょうか?」
「ええ。傍にいて頂戴。私から…離れないで」
「畏まりました、マヤリィ様。…貴女様の御為、今私は何が出来るのでしょう…。どうか、どんなことでもお命じ下さいませ」
すると、マヤリィはルーリをベッドに座らせ、後ろから抱きしめた。
「ありがとう、ルーリ。ここにいてくれるだけで十分よ。…朝まで、まだ時間があるかしら」
「はっ。現時刻は三時半にございます。…もう少しお休みになられますか?」
「出来たら眠りたいけれど…悪い夢を見てしまったから…」
マヤリィはそう言うと、
「…ルーリ、添い寝、してくれる?」
可愛らしい声でルーリにお願いする。
「は、はいっ!」
「今夜は貴女に抱かれる体力もないから…」
「ご無理はなさらないで下さいませ。マヤリィ様のお望みとあらば、明日でも明後日でも『魅惑』を発動致します」
ルーリはそう言いながら、マヤリィの寝床を整える。
「でも、そうね…裸にしてくれるかしら」
マヤリィ様、実は体力あるのでは?
「は、裸に…でございますか…!?」
「ええ。全部脱いで、それから寄り添って眠りましょう?」
「畏まりました、マヤリィ様…♪」
そう言うと、ルーリはマヤリィの服を脱がし、自分も全裸になった。
「ふふ…ルーリ、温かいわ」
「マヤリィ様…かなり密着しております…!」
ルーリはいつもと違うシチュエーションにドキドキするが、
「貴女がいてくれれば…安心して眠れそう…」
そう言いながら、マヤリィはすぐに眠ってしまった。
(か、可愛すぎる〜〜〜!!!)
マヤリィの可愛らしい寝顔を見て、ルーリは心の中で叫んだ。
「マヤリィ様…。貴女様は本当にベリーショートがお似合いになられますね…」
ルーリはマヤリィに寄り添ったまま、短い髪を優しく撫でた。いつもルーリが整えている髪だ。
「ゆっくりお休み下さいませ、マヤリィ様…」
思わずキスしたくなるが、ジェイと違ってルーリは眠っているマヤリィにそんなことはしない。
「私も…いっそのこと、貴女様のように…」
髪を短く切ってしまおうか。
ルーリは死んだように眠る愛しい女性を見つめながら、そんなことを思うのだった。




