流転の國 第7会議室③
「ルーリ殿が室長を務める会議室でございますか…!さすがはご主人様。素晴らしきお考えにございます」
第7会議室の話を聞いたネクロは興味深そうな表情で何度も頷いた。
「私も一度ルーリ殿に髪を切ってもらいたいものですな」
『隠遁』のローブを脱いで『全回復』をかけてもらったネクロはその場にマヤリィとルーリしかいないのをいいことに、素顔をさらしたまま、ブラックコーヒーを飲んでいる。
「ネクロ、お前の都合が良ければいつでも切ってやるよ。…前に見た時より長いが、伸ばしてるのか?」
ネクロの髪は肩につくくらいの長さである。
「いえ…単に髪を整えるのを疎かにしていただけで…。ご主人様の配下でありながら、この美意識の低さを不甲斐なく思っております」
「普段ローブを被って訓練に明け暮れているのだから仕方ないわ。元々ストレートなの?」
「はっ。巻いたことは一度もありませぬ」
ネクロが頭を下げると、藍色のストレートヘアが顔にかかる。綺麗な髪だ。
「本日の訓練の際は纏めておくべきでした。…しかし、どうも髪を結うのは苦手でございまして…やはり短くするべきですかな」
ネクロはそう言って自身の髪を触ると、
「畏れながら、ご主人様。この後、第7会議室に私を連れて行って頂けないでしょうか…?」
マヤリィと同じ顔をしたネクロが、マヤリィならば絶対にしない表情で、マヤリィの返事を待っている。
(どうにも、調子が狂うな…)
ルーリは思う。今まで、こんなに長くネクロの顔を見続けたことはなかった。
「いいわよ。ルーリに髪を切ってもらいたいのでしょう?」
「はっ。私の我儘をお聞き届け下さり、感謝致します、ご主人様。…ルーリ殿、よろしく頼みますぞ」
「ああ。どんな風にしたいか考えておけよ?」
そして、しばらくカフェテラスで休憩した後、マヤリィはルーリとネクロを連れて第7会議室に『転移』したのだった。




