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流転の國 番外編全集  作者: 川口冬至夜


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流転の國 セルフカット②

今夜はルーリの部屋へ。

玉座の間で皆の前に立つマヤリィ。

その髪はいつになく短い。

皆、内心では驚いていたが、決してそのことに触れる者はいなかった。

その後、結局マヤリィはジェイに髪型を整えてもらったが、刈りすぎた髪は元に戻らない。それでも、マヤリィは満足そうだった。


その夜、ルーリの部屋。

「マヤリィ様、美しい刈り上げにございます。貴女様は頭の形までも整っていらっしゃるのですね…!」

ルーリは頬を染めて、マヤリィの新しい髪型を褒める。確かに、マヤリィは綺麗な頭の形をしている。

「元々短かったのだけれど、さらに短くしてしまいたくなって…。我慢出来なかったの」

マヤリィはそう言って、少しだけ後ろめたさを感じているような微笑みを浮かべる。

「マヤリィ様。畏れながら…私の不躾な質問をお許し下さいますでしょうか?」

ふいにルーリがその場に跪く。

「急にどうしたの?何か聞きづらいこと?」

「はっ。マヤリィ様のご気分を害するようなことを聞いてしまうかもしれません」

「…でも、聞きたいのでしょう?…言ってご覧なさい。怒らないから」

マヤリィは優しくルーリに言う。

「はっ。有り難きお言葉にございます。…マヤリィ様の今回のヘアカットには何か意味があるのでしょうか?普段と比べてかなり短いご様子ですので、少々気になりまして…。貴女様を詮索するようなことを伺ってしまい、誠に申し訳ございません」

ルーリは頭を下げる。ジェイが心配したのと同じように、ルーリもマヤリィの短すぎる髪を見て何事かと心配してくれたらしい。

「ルーリ。私がなぜ短髪に拘っているか、その理由は知っているわね?」

「はっ。存じ上げております」

マヤリィは元いた世界で抑圧された反動で、自分の髪を伸ばすことを嫌悪するようになってしまった。その為、流転の國においても、決してその美しい髪を伸ばすことはしない。

「私は今もあの頃に想像していたことを忘れることが出来ないの。だから…我慢出来ずに、こんなことをしてしまうのかもしれないわ」

マヤリィは言う。

「でも、大丈夫よ。こうして断髪すると、過去から遠ざかれるような気がするの。今回は少し短くしすぎてしまったかもしれないけれど後悔はしていない。…だから、心配しないで頂戴。実は、短く出来て嬉しいのよ」

マヤリィは微笑む。

「はっ。私の浅はかな質問によってマヤリィ様の過去にまで触れてしまったことは大変罪深きことと存じます。貴女様がなにゆえ御髪を短くなさっているのかを知っていながら、このように問うてしまった愚か者をお許しにならないで下さいませ。如何なる処罰でもお受け致します。どうか、この愚かなサキュバスに罰をお与え下さいませ」

なんか話が噛み合ってない。

「あ、あの…だから、ね、気にしないで頂戴。貴女が私のことを心配してくれる気持ちは、十分伝わってきたから」

本来、ご主人様の髪型について問うのは流転の國においてはご法度である。皆、暗黙のルールとしてそれを守っている。

マヤリィを想うあまりにそれを破ってしまいさらには過去を思い出させてしまったことに対して、ルーリは罪悪感でいっぱいだった。

…ジェイは普通に聞いてたけどね。

「ルーリ、貴女は何も罰せられるようなことをしていないわ。それに、貴女がさっき私の髪を褒めてくれたこと、本当に嬉しかったわ。ね、だから何も気にしないで、いつものように私を抱きしめて頂戴」

「マヤリィ様ぁ…!」

罪悪感に打ちひしがれ、跪いたままのルーリを立たせ、マヤリィは彼女に抱きつく。

「私の愛しいルーリ。確かに昔の私は散々だったけれど、今はこうして優しく頼もしい仲間達に囲まれている。それだけで幸せなのよ。ねぇ、私の髪を触ってくれる?髪というより頭ね。刈り上げすぎて髪と呼べる面積が少なくなっちゃったわね。ここなんかアタッチメントを付けずに刈り上げたの。…ほら、こうすると丸坊主に見えるでしょう?」

そう言うとマヤリィは前髪と横髪をかきあげて隠して見せる。1mmにも満たないサイドのツーブロックがあらわになる。

「確かに…丸坊主に見えます…!」

今まで隠れていたツーブロックの中身を見たルーリは驚く。

「後ろはこんなに上まで刈り上げてしまっているし、今の私はほとんど坊主よ。ふふ♪」

マヤリィは楽しそうに笑う。

「頭がスースーしてとっても気持ちがいいの」

ルーリに抱きついたまま、マヤリィは心から嬉しそうに笑う。

そんなマヤリィの様子を見て、ルーリはようやく罪悪感が薄れていくような気がした。

「ねぇ、ルーリ?一緒にお風呂に入りたいわ。そして、私のこの短すぎる刈り上げ頭を洗って欲しいの」

「畏まりました、マヤリィ様。誠心誠意、尽くさせて頂きます!!」

そして二人はバスルームへ…行く前に。

「お願いがあるの。私に『全裸魔術』を使ってくれないかしら?」

『全裸魔術』とは、文字通り相手を一瞬で全裸にする魔術である。サキュバスであるルーリは容易く使役出来る。

「マヤリィ様に対して…でございますか?」

「ええ。一度受けてみたかったの。お願い、私を今すぐ裸にして頂戴」

マヤリィ様が変態発言してる。

「か、畏まりました…。では、失礼致します」

ルーリが指を鳴らす。次の瞬間、二人は一糸纏わぬ姿になっていた。

「凄いわ。本当に裸になっちゃった」

今日のマヤリィ様、テンション高くない?

「髪が短すぎて何にも隠せないわ。ある意味、地肌が透ける刈り上げも、裸に近いわよね」

そんなことを言い出す。

「マヤリィ様、お身体が冷えてしまいます…!早くお風呂に浸かりましょう」

ルーリはマヤリィの裸を見て失神しそうになった。色っぽいうなじを前にして、倒れる所だった。それに、刈り上げ頭…!

「ルーリ、相変わらず綺麗な身体ね」

マヤリィはルーリがくらくらしていることも知らずに、その場で彼女に抱きつく。勿論、全裸である。

「マ、マヤリィ様…!?」

「ああ、やっぱりお風呂は後にして、先に貴女の身体を全身に感じることにしましょう。ね、ルーリ?私をイかせて頂戴」

マヤリィ様が変態命令下してる。

まもなく、ルーリはマヤリィの秘壺を舐めていた。愛液があふれ出す。

「あ…んっ……気持ちいい………」

刈り上げ頭を枕に擦り付けながら、マヤリィは昂った。

「マヤリィ様」

蕩けそうな表情のマヤリィを呼ぶ。

「貴女様の次のヘアカットは…このルーリにお任せ頂けないでしょうか?」

「んっ……分かったわ…貴女に、任せる……」

夢見心地で約束する。

「おもいっきり…短くしてね……」

バリカン好き女子は揺らがない。

「畏まりました、マヤリィ様」

その晩、結局マヤリィとルーリはお風呂どころではなく、濃密な夜を過ごし、朝を迎えてもなお身体を重ねていた。

「大好きです、マヤリィ様……!」

愛の言葉の代わりに、マヤリィは甘く激しいキスでルーリに応えるのだった。

「もっと…私を………ああんっ!」

二人の情事は果てしなく続きそうだ。

髪を刈ってハイになってるバリカン好き女子。

マヤリィ様に一つ質問するのに物凄く気を遣ってるルーリさん、お疲れ様です。

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