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SF作家のアキバ事件簿201 秋葉原SOS

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第201話「秋葉原SOS」。さて、今回はセクシーな女体ロボが出現、秋葉原の街を破壊し始めます。


さらに、軌道上に謎の宇宙空母がジャンプアウト、秋葉原のヲタク達に音波による艦砲射撃を開始、史上空前の聖地侵略が始まって…


お楽しみいただければ幸いです。

第1話 邪神の降臨と推しの敗北


人類は幼年期を終えヲタクへと進化する。廃人になる勇気を持つ、真の勇者たる種へと飛躍する時だ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


炎熱のアキバ中央通り。突然"邪神"が降臨スル。


「何だ、アレは?」

「えっと、何だっけ?あのヤタラ色っぽい女型ロボットの名前?麻布台エース?」

「アフロダイ…危ない!逃げろ!」


女子らしい曲線を持つ巨大ロボットは、全てを破壊しながら、蔵前橋通りをパーツ通りへと左折スル。


「SATO司令部への攻撃コースだ!」

「ロケットランチャー"アキバサンダー"出撃!」

「零距離射撃だ!撃て!」


南秋葉原条約機構(SATO)は、アキバに開いた"リアルの裂け目"由来の脅威に対抗スル人類側の防衛組織だ。

雑居ビルの路面ガレージからメタル装甲の戦車が飛び出して、ランチャーから全弾を発射!全弾命中!


「バカな。キス1つ奪えない…じゃなかった、キズ1つ負わせられないナンて!」

「"アキバサンダー"退却スル!ぎゃ!」

「"アキバサンダー"がヤラれた。"死海1"は?」


女子ロボットに踏まれ、ミサイル戦車は爆発炎上。上空には東京湾からロケット戦闘機が飛来スルw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、アキバ上空3万6000kmに謎の宇宙空母がジャンプアウト。パラボラアンテナがアキバを向く。


「次元女王ゼラル様。本艦はジャンプアウトに成功。洗脳音波の準備は完了です。照準"ヲタクの泉(秋葉原)"」

「撃つが良い」

「アイアイ。艦砲射撃、開始。ファイア!」


周波数を10倍に上げた強烈な超音波が発射され、ヲタクの脳を直撃だ。頭の中で有名声優の声がスル…


「…リアルはマインドコントロールされた世界。一般人(パンピー)は腰抜け。でも、ヲタクは世界を変えられる。愛でつながってるから…」


次々と頭を抱え、倒れ込むアキバのヲタク達。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ヲタッキーズ、GO!」

「エアリは左翼、マリレは右翼。私は正面攻撃をかけます。全方位同時飽和攻撃!」

「ROG!ムーンライトセレナーダー!」


SATOの防衛線を突破し、パーツ通りを南下スル女子ロボットを迎え撃つ空飛ぶスーパーヒロイン達。

ヲタッキーズは、僕の推しミユリさんが率いるスーパーヒロイン集団でSATO傘下の民間軍事会社(PMC)だ。


因みに全員メイド服。ココはアキバだからねw


「必殺技を出すわ!"雷キネシス"…え。何?」

「敵ロボットも姉様と同じポーズをしてる?…まさか、あのロボットも"雷キネシス"を撃つの?」

「フフフ。自分ノ必殺技デ死ネ!」


次の瞬間!


紫の超高圧電流に貫かれ、パーツ通りに墜落、絶叫悶絶してノタウチ回るムーンライトセレナーダー。


メイド服は黒焦げ、痙攣ピクピクw


「私、負けましたわ(回文)。テリィ様、ごめんなさい。助けて…」


その頃、SF作家総会の"脚本理論の討論会"でファシリテーターをやっていた僕は、フト顔を上げる。


「ミユリさん、呼んだか?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


パーツ通りは大混乱だ!逃げ惑うヲタク達w


「秋葉原から逃げないで!裏アキバはヲタクの最後の逃げ場所でしょ?」

「リアルの攻撃だ!ムーンライトセレナーダーが負けた!秋葉原の最後の希望が消えた!」

「何を言ってるの?彼女は、命がけでヲタクを守ってくれた。今度は私達が盾になる番ょ!」


腐女子が高々とサイリウムを掲げる。


「逃げるな!ムーンライトセレナーダーを守って!アナタ達ヲタクは、推しのためなら廃人になれるのでしょ?違うの?」


立ち止まるヲタク達。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「汝らの女神"ムーンライトセレナーダー"は無惨にも敗北し、路上でピクついている。今より、全能ロボット"アキバキラー"こそが、汝らの神だ。余は次元女王ゼラル。マンタの生け贄にせょ!」


第2章 次元女王はヲレのヨメ


次元女王ゼラル(誰?)のアキバ侵略だ!


SATO司令部では華麗なコスモルックのレイカ司令官と車椅子にゴスロリの超天才ルイナが作戦会議。


「ゼラルの宇宙空母も、女体ロボ"アキバキラー"も、全くレーダーで探知出来ズに奇襲された。ルイナ、コレって何とかならないの?」

「レイカ。メタバースは、全て同じ空間にアルけど、それぞれが異なる周波数で振動しているから、お互いには感知出来ないの。もし、とてつもない速さで振動して、時空の境界に裂け目、つまり"リアルの裂け目"を人工的につくるコトが出来れば、私達は大儲け…じゃなかった、マルチバースの中を自由に往来するコトが出来るわ。ただし、その際に時空の流れを流体としてとらえるコトに伴うマグナス効果を極限まで無視出来る値にスル必要があり、超流動ヘリウムの実験の時に量子渦を作り出したみたいに、マルチバース内の追跡システムに量子渦をジャイロとして使ったらどうかと思ったの。だって、量子状態だからジャイロの効果は永遠に続く。永続的に続くジャイロ。時空(次元)を過冷却液と捉える理論ナンだけど…」

「とりあえず!頭上の宇宙空母がウザいからドケて。SATO白金ベースの自然教育園で採掘されたマントルエネルギーと直結した、超音波"ヒ式"高射砲で宇宙空母を撃ってみたいんだけど、何とかしてょ」


既に、ルイナの話が半分(以上?)わからなくなってるレイカは、辛うじて最低限のリクエストだけ伝えるw


「わかったわ、レイカ!つまり、ダークマターの電流量の変化をモニター出来るアルゴリズムを描いてターゲットをホーミングしろってコトね?OK。少し時間を頂戴」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


瀕死のムーンライトセレナーダーが"外神田ER"に担ぎ込まれる。意識不明の彼女に念話を送る者がいる。


「ついに会えたか。余に問いがあろう」

「私は…死んだの?貴女は誰?」

「様々な名前がある。超科学者、白魔術師、進化ハンドラー…そして、貴女のヲタ友」

「私は、腐女子だった。たまたま"覚醒"しただけの、ただのスーパーヒロイン」

「否。ソレ以上の存在。数百数千におよぶ文明の興亡の末に辿り着きし、進化の集大成。そして、汝に課せられた使命はただ1つ。"ヲタクの泉"に新たなる進化をもたらすコト」

「私の使命?ヤメて。そうやって何でもかんでも私に押し付けないで。元はタダの腐女子なの」

「マルチバースは、汝をその名では呼ばない。汝の名は"アキバキラー"。汝を倒そうとする全ての試みは無に帰し、失敗スル。そして、汝は秋葉原を焼き尽くすのだ」

「あり得ない。私は、秋葉原を愛し、この街もまた私を愛した」

「ヲタクは、不幸な進化のエラーだ。やがて、絶滅スル運命にアル。恐竜のように」

「いいえ。ヲタクは滅びない。萌えのある限り」

「バリス!必ず滅びる。そして、汝が降臨すべき時は今。目覚めよ。支配者、アキバキラー」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。僕はエアリから1片のパピルスを受取る。


「テリィたん。コレが御所望のオカルト雑誌"ラー"の創刊号ょ」

「あれ?千貫森の"UFOのSATO"で見た奴と表紙が違うな。エアリ、マジでコレか?」

「あのね。1979年刊行の"ラー"創刊号には、何のヒントもナイわ。コレは同じ創刊号でも、ズッと昔の古いモノなのょ」


神田リバー河畔にある嫌森(いやなもり)神社境内には、遥か地球の中心まで続く、巨大洞窟の秘密の入口が隠されている。

洞窟は、まるまる世界記憶を納めた図書館なんだけど、今、アカシックレコードからエアリの手で1片のパピルスが届けられるw


「コレは、人類が文明を築く遥か昔、地球が冷え固まった直後のプラズマ文明で流行ったオカルト雑誌"ルー"の創刊号。テリィたん、読める?」


モチロン、読めない。心優しい図書館妖精のエアリがコホンと咳払いしてから、厳かに朗読を始める。


「…力と闇をまといしゼラルが秋葉原に終焉をもたらす。ゼラルが降臨せし時、彼女は大勢のヲタクを殺戮し、種の進化の河を歪曲し君臨する。世紀末に降臨せし"アキバキラー"は、ヲタクをも絶滅させ、秋葉原に真の終焉(0thインパクト)をもたらすだろう。彼女は、超古代、3つの太陽の時代に宇宙戦争で滅んだブラックホール第2.5惑星王朝の末裔。その前に、古き神々は倒れ、真の支配者として覚醒せし"アキバキラー"こそが秋葉原に降臨する。その騒乱に紛れ、次元女王ゼラルはヲタク文明を代表せし者と契る。その者の名はテリィ…え。何コレ?マジ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


外神田ER。今まで意識不明だったムーンライトセレナーダーが、ガバッと起き上がって絶叫スル。


「え。テリィ様と契る?ラメぇぇぇ!」


第3章 僕をめぐる推し達の闘い


SATO司令部。眼帯に包帯に松葉杖と逝う必殺厨二姿でスーパーヒロインが現れる。もうメロメロさw


「テリィ様。夢の中にゼラルが現れて、あのアキバキラーは、私自身だと逝ったの。私、眠るのが怖い。夜が来たら…抱いて」←

ROG(カモネギだ!)!実は、僕も、間違ったコトは逝ってナイつもりだけど、逝い過ぎたとは思ってたトコロさ」

「私こそ、せっかく選ばれて"覚醒"したのに悪い子でした。コレからは良いスーパーヒロインになります!だから…」


ミユリさんは、さらに何か大事なコトを逝いたげだったけど、僕が愚かにも遮ってしまうw


「と逝うワケで!オカルト雑誌"ルー"の創刊号付録に拠れば、ミユリさんを倒した女体ロボ"アキバキラー"は、ヲタクの"萌え"をエネルギーとして動いてるらしいぞ」

「では、テリィ様。洗脳されたヲタク達が自身の"萌え"を取り戻せば"アキバキラー"の動きを封じるコトが出来るのですか?ルイナ、何か作戦は?」

「なるほど…ミユリ姉様。ゼラルは、軌道上からの音波攻撃により、扁桃体と前帯状皮質皮質の連携を断つコトでヲタクを操ってる。いずれも、ヲタクが"萌え"を感じる脳の部位なの。誰かが感動的なスピーチで、ヲタク達の脳内スイッチを切り替えるコトが出来れば、彼等は自身の感情を蘇らせ、萌えを取り戻すコトが出来るハズょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アキバ発の巨大メディア企業"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"の本社タワーから生放送だ!


「アキバのみなさん。ムーンライトセレナーダーです。私の声が届いていますか?アキバが攻撃されました。全てのヲタ友全員がです。誰もが、突然史上最大の悪に襲われました。みなさんは、萌えを奪われた。ヲタクの個性も、魂も、人間性そのものも否定された。こんな攻撃を受ければ、誰しも打ちのめされる。絶望し、萌えをなくし、自分を見失う。私は、知っています。私も、かつて全てを無くした。秋葉原駅に降り立った時は、悲しくて孤独だった。でも、気づいた。この街は、萌えに満ちている。私は、萌えに支えられてきた。今の私がいるのは、ヲタクのみなさんのおかげです。私に使命を与えてくれた。想像しなかったほど、強くしてくれた。みなさんが大好きです。みなさんのハートには、消せない萌えがある。不屈の萌えがある。だから、諦めないで。ネバーギブアップ。今、秋葉原には、みなさんの萌えが必要です。どうか萌えを取り戻して。萌えを。人は、誰しもスーパーヒロインになれる。萌えを。その身を滅ぼされても、推し続ければ萌えられる。萌えを。ヲタクに背を向けたパンピー達も、いつかは気づいてくれる。強い萌えを持て。ヲタクであれ。愛する推しには、いつかまた会える。このアキバでなら」


裏アキバで、地下アイドル通りで、万世橋駅の地下ホームで、次々と洗脳に打ち勝ち、拳を震わせるヲタク達。


「さぁみんな!ヲタクに戻る決意はあるか?」

「きっと…きっと私が弱かったんだわ」

「でも、今、君はスーパーヒロインの瞳をしてる。さぁ、今度はヲレ達が萌えを取り戻す番だ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「こちら、量子コンピューター衛星"シドレ"です。女体ロボット"アキバキラー"は急速に侵攻スピードが低下。パーツ通りをフラつきながら左折、中央通りの量販店"ノン・キホーテ"前で機能停止に至る模様。ブルーのレッドの4」


SATO司令部に凱歌が上がる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


中央通り。目の前で停止した"アキバキラー"を前に、僕はムーンライトセレナーダーに叫ぶ!


「今だ!ムーンライトセレナーダー、ロケットパンツで反陽子爆弾をアキバキラーを吹っ飛ばせ!」

「え。テリィ様、困りますぅ。ソレでは私がノーパンになっちゃう」

「やれ!やるんだ」←


第4章 宇宙酵母ギャラクティカ


"秋葉原マンハッタン"が黄金色に染まる黄昏時。西の空高く、夕陽より眩しく輝く光球が現出スル。


「ゼラルの宇宙空母が沈んだわ」

「ルイナは、ルイナの義務を果たした」

「ゼラル侵略は潰えた。秋葉原は、復興を急ぐわ。先ず"シン・UFOのSATOづくりプロジェクト"の第1弾として地酒づくりを推進中ょ。誕生スル地酒の名は"清酒ギャラクティカ"」

「えっ?何だかヤタラ銀河スケールのスゴい名前だけど、ホントに地酒なのか?」

「YES。量子宇宙をイメージした、特別な酵母による薄濁りの日本酒が誕生スル予定なの」


ふーん。素晴らしいヒラメキと美味しい日本酒か。まさに和風"セックスアンドザシティ"の世界だ…

ソレにしても、いつから"潜り酒場(スピークイージー)"は量子バーになったんだ?いや、発酵バーか?


ん?待てょ?まさか、宇宙酵母…



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"侵略"をテーマに、秋葉原侵略を企てる次元女王、彼女が操る女体ロボ、謎の宇宙空母、秋葉原侵略を迎え撃つ秘密組織の司令官、超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。


さらに、ヒロインの萌えをめぐる考えなどもスピーチを通じサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、残暑に焼かれる国際観光都市、秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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