表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜魔伝説  作者: 融合
復讐編
323/324

322話 僕にくれよ・・・

 地上へ赴いたエメラルと太陽の意思は、夜空に一人佇むユーラシアを眼にする。

「——————シエルは、どうしたんだい?」

「お前のせいだ——————お前が、オレからシエルを奪いさえしなけりゃ・・・・・」

 ユーラシアは緑色の瞳を充血させ、涙を浮かべた瞳をエメラルへと向ける。

 唇を震わせ、その度に鋭く尖った大きな牙を露わにする。

「シエルをどうしたかって聞いてんだ!」

「殺した」

 信じたくない。

 しかし、ユーラシアの口から発せられたその一言は、エメラルと太陽の意思の心へと深く刻まれる。

「殺しちまったんだ・・・・・オレがこの手で、シエルの命を奪ったんだ」

「嘘だ・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「オデは、オデはお前のこと信じてたのに——————許せないぞ」

 太陽の意思は、静かに怒りの炎を燃やしていく。

「どうして、守ってやれなかった? お前ほどの力があるんなら、守ってやれただろ!」

「守りたい思いも、苦しむ姿を見たくない思いも、結局はオレのエゴでしかねえ・・・・・救える方法が、苦しみから解放してやることくらいしか思いつかなかったんだ」

「——————ふざけんじゃねえぞ・・・・・ふざけんなよ、ユグドラシル! よりよって、あんたがやっちゃダメだろ!」

 エメラルとて、無茶苦茶なことを言っている自覚はある。

 そもそもユーラシアからシエルを奪いさえしなければ、シエルは今も生きていたかもしれない。

 それでも、シエルの愛した男が、シエルの命を奪った事実は、自身のエゴよりも許すことができない。

 エメラルの行いが、シエルを苦しめていたことは重々承知している。それでもユーラシアが助けに来てくれるから、シエルは救われていたのに・・・・・その希望自らがシエルの命を奪うなど、決してあってはならない。

 めちゃくちゃだ。めちゃくちゃだけど、それが「恋」の本質なのだ。

「どうせ奪うなら、僕にくれよ・・・・・」

「お前のせいでまた、シエルはオレの前から消えたんだ! もう容赦はしねえ——————オレとお前の関係も、もうこれで終わりにしようぜ」

「望むところさ」

 ユーラシアとエメラルは地上のことなどお構いなしに至近距離で睨み合う。抑える気のない内なるエネルギーが解放され、周囲でバチバチと火花を散らす。

「許さないぞ!」

 更に、エメラルの背後に佇む太陽の意思もまた、人の皮を脱ぎ捨てその身を炎で包み込み、ユーラシアへと憎悪の視線を向ける。

「まとめて片付けてやるよ——————かかってこい」

 腹の底から発される存分に怒りを含ませた低く深いユーラシアの挑発が合図となり、愛が生んだ血の争いが今ここに幕を開けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ