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竜魔伝説  作者: 融合
反撃編
298/326

297話 最大規模転移魔法

 ユーラシアが太陽の意思により吹き飛ばされた直後、その場にいた者全員が呆気に取られていた。

 シエルも、勇者も、ガンデルたちでさえ、竜王が無敵に近い存在であることは知っている。そしてほぼ間違いなく、この地上での最強は竜王である。

 しかし突如現れた得体の知れない炎の塊のような存在により、竜王はあっという間に遠方へと吹き飛ばされてしまった。

「・・・・・ユーラシアが、押し負けたのか?」

 目の前の出来事が信じられないと言った様子で目を見開き驚く勇者。

「例え人の姿だったとしても、ユグドラシルにあんな真似ができた存在を私は知らないわ」

「——————ウッ!」

 突如勇者の脳内にチクリとした痛みが走る。

 直後、写真のように繋がりのない断片がいくつも脳内へと流れ込んできた。

 それは、燃え盛る炎の球体がメインとなる画像。

 それらの画像が次第に一つの映像となり、神の力に宿る記憶が一気に蘇る。

「マジか——————あんなモンが地上に降りてきたって言うのかよ⁉︎」

 恐怖心を露わに驚く勇者。

「勇者様は、アレに心当たりがあるのか?」

「ありゃ、太陽の核がおそらく意思を持ったモノだ。どういう理屈でそんなことになっちまったのか私たちには分からないけど、どうりで魔力も神の力の気配も感じられないわけだ」

「太陽の意思? しかし——————」

 そう言ってガンデルは地上の荒々しさとは異なり、静かな快晴に佇み地上を照らす太陽を見上げる。

「私たちも神の力に宿る全ての記憶を見れたわけじゃないからはっきりとは言えないけど、核が電池の役割をしてるんだとしたら、あれは残り火的なモンだと思うよ」

「つまり核があそこに戻らないと、いずれは闇に包まれるわけね」

「まぁ、確定はできないけどな。でも今は一先ず、この状況を何とかするのが先だな」

 とここでユーラシアから勇者へと思念魔法が届く。

 


『勇者、今すぐブラッドアイスにいる人全員をなるべく遠くに避難させてくれ』

『それは・・・・・やってみるよ。それより、君の方は大丈夫?』

『いやぁー正直、ここまでのは邪神以来だな。けど、オレのことは心配すんな。そっちは任せたぜ、勇者』

 


 思念魔法が途切れ、勇者は急ぎガンデルへと指示を飛ばす。

「国王。おそらく他国にも被害が出てる。今すぐに他国の王に呼びかけて欲しい」

 そう言うと、勇者は一人目を閉じ演奏の指揮を取るかのように両腕を宙へ上げる。

「分かった」

 ガンデルはエクソシストの力と魔力を融合させ、更に効果範囲を拡大させた思念魔法をブラッドアイス全国の王へと飛ばす。

 

『皆の者聞こえておるか? 急ぎ協力を要請したいことがあり思念を送っている』

『——————それどころではないわーーーー‼︎ 我が国にどれほどの被害が出てると思っている! だからあれほど言っただろう、貴様ごと世界が滅ぶと。なのに貴様は竜王なぞ招きおって‼︎』

『一先ず落ち着いて俺の話を聞け』

『落ち着いてなどいられるもの——————』

 直後、轟音が響き、北側領土全体を振動させる。

 全身を伝う物理的な衝撃は細胞一つ一つに響き渡り、伝わる魔力の余波は、今まさに竜王がどれほど遠くにいるかを容易に示してくれる。それと同時に、それほどの距離が空いていながらもガンデルの下まで余波を届かせる魔力の規模に圧巻させられる。

『凄まじいな』

『・・・・・何を、呑気に言っているのだ。世界が滅んでしまうぞ』

『ガンデルさん。一体何が・・・・・何が起きているんですか?』

 皆が恐怖を感じていることは、思念を通してよく分かる。先ほどまで威勢の良かった国王でさえも、今では声がかなり震えてしまっている。

 先ほどの轟音を境に、次々と伝わる轟音と振動。

 そんな中、ガンデルは竜王を信じ、威厳を持って思念を送り続ける。

『皆へ告ぐ!』

 その思念は、他国の国王だけでなく、今ガンデルができうるムンテルダルク全体にまでその影響を拡大させる。

『勇者様曰く、ブラッドアイスに侵攻してきたのは、太陽の核なるモノ。それが意思を持った存在である。そして、我々人類を守り、今も尚戦っているのは竜王である。惑う気持ちはよく分かる。しかし、今は俺を、勇者を信じ、決して絶望するな!』

 そうしてすぐにガンデルは、ムンテルダルクにまで広げていた思念魔法を再び国王間のみに戻す。

『ガンデルさん。今のはどういう——————』

 

『色々と聞きたい気持ちはよく分かるが、今は時間がないのだ。二人の戦いに巻き込まれればブラッドアイスは無事では済まない』

『——————して、このような状況でどうするつもりだ? 全員を非難させようにも、この規模は無理があるぞ?』

『もう少し待て』

 そう言い、ガンデルは未だ瞳を閉じて指揮を取るよう手を動かす勇者に目を向ける。しかしその両腕は、指揮を取ると例えるにはあまりにも速く、まともに捉えられないほど。

 次の瞬間ピタリと両腕の動きが止まり、ゆっくりと勇者が目を開ける。

「少し借りるね」

 そう言うと、勇者はガンデルの肩に手を置き、ガンデルが繋げている思念魔法へと重ねて意識を乗せる。

『やぁ、僕の声が聞こえているかな?』

『——————もしや、勇者様でしょうか?』

『うん。時間がないから端的に伝えさせてもらうね。これから君たち全員の頭の中に、ある魔法陣を送らせてもらう。そしたら、すぐにその魔法陣を各々の国に展開されている結界に記して欲しいんだ。そしてそこに一定の魔力を注ぐと、結界内にいる者全員がブラッドアイス付近の中間地帯に転移できるはずだよ』

『一定とは、一体どれほどの量でしょうか?』

『そうだね、結界全体に行き渡るほどだよ。だからなるべく多くの人たちで魔力を注ぐんだ』

 すると直後、ガンデルを含めたブラッドアイス全国王へと思念魔法に乗せられた新転移魔法陣の画像が送られる。

 今回勇者が新たに構築した魔法陣は二つ。まず一つ目は、エクソシストの力により展開されている結界に干渉し得る転移魔法陣を構築すること。ブラッドアイス内のエクソシストの力を使った転移では、行使する国王によって、展開されているその国の範囲内にしか転移できないといったモノだった。しかし勇者が新たに構築した転移魔法陣は、エクソシストの結界を利用した魔法陣に刻まれている転移先へと転移できるというモノ。

 そして二つ目の魔法陣は、思念魔法の改良版。基本的に思念魔法は、思った言葉のみを送れる魔法。そして勇者は、そこへ更に思い浮かべた映像などを送れるよう手を加えたのだ。

 

 勇者はガンデルの肩から手を離す。

「僕たちも早速取り掛かろう」

 そうして勇者は聖剣を抜刀し地へ向けて一振り。地面へと巨大魔法陣が瞬時に出現する。

「あれは最早、人類の立ち入れる戦いではないな」

 天から地上へと響き渡る轟音を受け、頭上を見上げたガンデルがボソリと呟く。

「——————負けんなよな」

 勇者も一言言い残し、勇者たちは結界に転移魔法陣を施すため、ムンテルダルクの端まで転移するのだった。


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