デビューに備えて~ドレス編~
-PM6:21-
─club JEWEL
「──店長戻りました~!」
店長はまだ店の奥にあるキッチンで何か慌ただしくしている。
あ・・・そっか。19時に開店って言ってたな…。
って、後30分で・・・30分・・・・後30分でお店開くのかああああ!!
緊張してきた!!
メイクやらヘアセットやらでキラキラな夢世界から一気に現実世界へ引き戻された。
「*あ~、あかね悪いー!ちょっと手が離せないから先服着替えてきちゃってー!」
「──はーぁい♪店長~ゆきの服ってA-Cでもいいんですよねー?」
「*いいよいいよー!めいいっぱい綺麗になってもらちゃってくれ~!」
「──りょおおおかいっ♪」
「──じゃあ、ゆき行こうか♪」
キッチンの更に奥にある更衣室の中に入ると、既に何人かの従業員?
女の子?達が着替えに、メイク直しにとイソイソとしていた。
さらに緊張度アップ。
やばい・・・緊張しすぎてお腹痛くなってきた。
「──おはようございまーす♪」
「=あかねおは~♪」
「≒おはよ~!」
「─ォハョゥゴザィマス!」
またもや、聞こえるか聞こえない程度のか細い声で挨拶をして、ゆうきを追いかける。
服が掛けてあるクローゼットにはAから順番にアルファベットが振っていた。
「──ゆき好きなの選びなー!」
「─え?あ、うん!」
フワッとしたドレスと言うより、スタイリッシュな体を強調する服が多い。
ええぇ─この中から選ぶの難しい!
普段自分が着ない様な服なのに、好きなのどうぞって言われても!!
よし、色で決めよう!
赤は…
う~ん…。デビュー戦にしてはちょっと派手かな。
白…
ドレスオブザドレス!綺麗なんだけど、体の曲線がより強調されるのか…ぱす。
黒…
アクセントに入ってるシルバーのレースが高貴な感じを引き立ててる…着こなす自信0。
あああ~どれがいいんだろうう~う~~ん…
「──多くて悩むよねwゆきこれはどう?今日のゆきのメイクにも合うと思うよ♪」
ゆうきから一着の服を渡された。
白い膝丈のドレスで綺麗と言うよりも、可愛い感じのレースがさりげなくついてて。
肩に羽織るショールもシンプルなサラっとした生地で肌心地がいい♪
メイクして服を変えるだけで、こんなに女子力高くなるんだね・・・。
今までの仕事と家との往復生活の頃とは違う自分が見えて、やっぱりワクワクする!
「──いいじゃん♪ゆきちゃんとソレっぽく見えるよ!」
「─ソレっぽく・・・ソレとは・・・w」
「──そろそろ時間だけど、名前は考えてみた?」
「─あああああっ!!!そうだった!!!」
「──色々詰め込んじゃったもんね~これは私の連絡ミス!ごめんゆき!!」
「─大丈夫大丈夫!」
「─名前ね、ちょっと考えてはいたんだよね。私名前に夏と冬の季節が入ってるじゃない?」
「─だから春の季節も入れて、”さくら”ってどうかな?って思ってて。」
「──”さくら”かぁーーー!!!もう在籍してる女の子で”さくらさん”居るんだよね;;」
「─やっぱり居るよねーw綺麗な名前だもん!そうと思ってもう一つ考えてたの!」
「──お?ゆき結構乗り気だったんだねw」
「─ん、まぁw楽しそうだったしw」
「─もう一つが、”すみれ”はどうかな?」
「──!!ゆき賢い!すみれって春の花だったんだー。」
「─春だよw暖かくなってきた頃に道端に咲いたりしてるよー♪」
「──すみれは居ない!それで行こう~♪先始めたスミレって事でちょうどゴロもいいね♪」
─”すみれ”
私の人生の中でもう一つの私。
これからよろしくね。