序章 神様とのファーストコンタクト
『お気の毒ですが最上 神奈は、亡くなりました』
上下左右、何もないなら真っ白な空間に、メッセージのようなものが浮かんでいた。
いやいやいや、全然納得できない。納得しようとしたけどやっぱり無理だった。といいますか、この空間は何?いきなり亡くなりましたって‥
そんなことを考えていると、背後から聞き覚えのないの声が聞こえてきた。
『最上 神奈 あなたは亡くなったのです。』
「ひょ!」
いきなり話しかけられてしまったので、変な声が出てしまった。
『ひょ!って、ひょって‥ふふ』
笑わせるつもりはなかったが、何やらツボに入ったらしく、声の主は、声を震わせながら笑いを堪えていた。
なかなか、ユーモアに長けた人みたいだな‥話しやすそうでなによりだ。先ほどの失態を誤魔化すように心の中で言い訳を並べ声の主に話しかけた。
「すみませんが、お話をさせてください。お願いしますひょ!」
あまりにも、声の主が笑うものだからふざけてしまった‥
反省はしてるが後悔はしないとはこのことなんだろう。
『語尾で使ってくるとは‥あははは!ユーモアに長けた人なのですね』
堪えられなくったのか声の主は、ケタケタと笑った。
掴みはOK。
意を決して、声の主に質問を投げかけた。
「笑っていただけたならよかったです!失礼ですが、貴方の名前を教えてください。もしよかったら、この空間のことも‥」
失礼のないように、慎重に言葉を選んで質問を投げかけた。
『ごめんなさい。人の子がこの空間にくるのは久しぶりだっ
たのでつい、はしゃぎすぎてしまいました。私の名前は、シンリー。貴方たちの世界では、神と呼ばれています。この空間については‥て、聞いてます?』
まさか、神様とは‥びっくりを通り越して唖然としてしまった。たかが1人の人間が、神様と話ができるとは‥それにしても、先ほどのジョークは失礼だったのではないか。相手は神様だぞ。ここは、詫びの一つでも入れておかないと‥
「すみませんでした。神様!神様に対して下劣なジョークをしてしまったこと、心より反省しております。どうか、私めを消さないでください。」
命の危機を感じた私は、数ある奥義の一つ、土下座をお見せすることとした。
『消しませんよ!?取り敢えず、顔を上げて話を聞きなさい。人の子よ。』
なんと、慈悲深い神様でおられますことか、わたくし、最上一生シンリー様についていきます。と、心の中で思った。
『人の子よ。まず、この空間について説明をします。しっかり聞きなさい、よろしいですね。』
「承知しました!!シンリー様」
『そこまで、声を張り上げなくても大丈夫ですよ。まず、貴方は人の世界で真面目に生き、人の模範となりかつ善良な行いをしてきました。そのような人たちに、第二の人生を与えるために用意されているのがこの空間なのです。』
「第二の人生‥ですか‥」
もしかしたら、前の世界には戻れるのかもしれないと思ったが、淡い期待は、神様の言葉で不可能なことだと理解した。なんせ、神様が第二の人生と言っているのだから。
『落ち込むのも無理はありません。前の世界での未練もあるでしょうが終わってしまったものは仕方ないのです。だから考え方を変えてみなさい。前の世界ではできなかったこと、やらなかったことを次の世界ではできるかもしれない。前の世界より楽しめるかもしれないと。』
「そうですね‥そうですよね!前の世界は、自分は充分楽しめた人生だったんです!次の世界では、今度は、みんなが楽しめる世界にしてみます。」
私のやれなかったこと、神様からの助言のおかげで気づくことができた。みんなが笑って暮らせる世界。1人の人間には限界があると思い諦めてしまった夢、次の世界ではもしかしたら叶えられるかもしれない。
『いや、取り敢えず自分だけでも楽しめたら‥
「シンリー様!助言のほど誠にありがとうございます!!不詳 最上 神奈精一杯自分のできなかったことを次の世界では、達成して参ります!!!」
『いや、そこまで‥
「となりましたら、まずみんなを笑顔にするためには何をしなくてはならないのか考えねばなりませんね‥忙しくなりますよーー!!」
やる気と元気がモリモリ溢れてくる。なにもかれもシンリー様のお陰だな‥このような私にチャンスをくださるとは‥何と慈悲深い‥
『感傷に浸ってないで話を聞きなさい!!!!』
「申し訳ございません!シンリー様!!」
あと、シンリー様感謝はしておりますが傷ついてはおりません。と、心の中でつぶやいた。
『まったく、本題に入れないではないですか。いいですか?次に私が良いと言うまで黙って聞いておくんですよ。わかりましたか?』
暴走してしまいシンリー様に迷惑をかけてしまった‥私は反省の意を込め首を上下に動かし了承をした。
『まず、貴方の望みはみんなを笑顔をすること。それはわかりました。では、次はどんな世界に行きたいか決めなさい。』
どんな世界にか‥また、前と同じ世界で願いを叶えることももちろんできるだろう。だか、本当にそれで良いのだろうか?知らない世界で0から始めて初めて私の願いは成就するのではないか‥そう考えると全く知らない世界という選択肢は絶対に必要だと思う。
それに、前の世界より環境が悪い方がいい、たくさん不幸な人がいるならその分たくさん救えるから‥よし、そんな世界にしてもらおう!
「シンリー様。私が次に望む世界は、前の私の世界とは全く関係のない、前の世界より劣悪な環境である、そんな世界をお願いします。」
シンリー様は、すごく驚いていたが‥選択を間違えたかな‥
『貴方は、ものすごく物好きな性格なのですね。わかりました。貴方がそう望むのなら。そのかわり、後悔はしないでください。それは貴方が選んだ道なのだから。』
「ありがとうございます。シンリー様。私が選んだ道、今度こそは諦めず最後まで突き進んでいきます。」
『貴方なら、大丈夫でしょうね。応援しておりますよ。さて、次の世界ですが‥』
シンリー様が空中でカタカタと指を動かしている。まるで、携帯ショップで新規契約の手続きをする店員さんのようだ。おっと、余計なことを考えてしまった。しかし、シンリー様は携帯をご存じなのだろうか、もし知っていたとしてなんだかそういう機械などには弱そうなんだよなぁ‥年齢で考えると、何千年と生きてるだろうし、そのようなことを考えていると
『ちょうど貴方の望み通りの世界がありましたので、今から貴方を転送します。』
シンリー様からそのような言葉が飛んできた。先ほどの指カタカタは、世界を調べてくださっていたとは‥何と失敬なことを考えてしまっていたのか。反省せねば。でも、ある意味的は得ていたのかも‥というか、
「今から!?すぐにですかシンリー様!」
シンリー様は、優しく微笑えみ僕に最後の言葉を送った。
『今からですよ。失礼なことを考えた人の子よ。』
しまった。しかし、やはりさすがは神様。失礼なことをしたのであれば罰する、そこに痺れる。
などと、考えていると足元から黒い穴のようなものが出てきて私を吸い込んでいった。
『次の世界までの、移動中に細かい説明を行いますので。くれぐれも聴き逃しのないように。』
シンリー様の遠くなる声を聞きながら、次の世界への期待を胸に穴に完全に吸い込まれていった。
初投稿なので、至らない点があると思いますがよろしくお願いします。のんびり投稿していきます。