入学式での出来事
入学式の日、朝からアルフリート達は学園の制服に着替えて宿屋を後にした。
道すがら豪華な馬車が何台も通りすぎるのを見ながらクロードが呟いた。
「受験の日にも思ったけど、馬車を使ってるのって貴族だよなぁ。貴族街にある学園に行くのに馬車使う意味あんのかねぇ~。」
クロードの呟きが聞こえたのかレオナルドは、
「貴族の見栄もあるんだろうが、確かに歩いても10分も掛からない場所に行くのに馬車での通学とは、皇都の貴族とは南部公爵領の貴族とは違うんだろうな?」
アルフリートは二人の話しを聞きふと思った事をきいた。
「二人には皇都に来る時に説明し、納得してもらったけど平民の立場で学園に通うことを後悔してる?
それに本当なら不便な宿屋じゃなく、学園の寮やそれぞれの皇都の別邸から通うことも出来たのに僕の都合に付き合って貰って・・・・。」
アルフリートは自分のワガママに付き合ってくれている二人に申し訳ない気持ちを持っていた。
そもそも二人は公爵領の学園に通う予定だったのをアルフリートの為に付き合ってくれている。と思っている。
アルフリートは歩きながら顔を俯いているとクロードが、
「まだそんな事考えてたのかよ~。
俺達は自分の意思でアルフリートに着いてきたし、平民として学園にかようのも楽しみだよ~。」
「なっ! レオナルド!」
「そうですね。私達は自分の意思でアルフリートに着いて行きますし、宿屋暮らしも初めてですが何事も経験は無駄になりません。」
「それに公爵領の学園だと僕達は常に高位の貴族としての振る舞いを要求され、アルフリートや私はまだしも、クロードは油断すると何時ボロをだすか、多少お調子者ですし。」
そぅ言われてクロードが急に笑いだした。
「正直なとこ公爵領でまわりに人がいる時は、侯爵令息として気が抜けなかったのは確かだなぁ~。
3人でいる時が一番気が楽だし。」
楽しい会話をしている間に学園の門前に着くと
門前には上級生と思われる学生が立っていて新入生の案内をしているみたいだった。
男女一人づつの上級生が僕達の前まで来ると、
「入学、おめでとう。
私達が入学式場の講堂迄案内するから着いて来てください。
それとこの花のバッチを身に付けてね。」
と言ってリボンの着いた花のバッチを渡してきた。
リボンを見ると【新入生☺️】と大きく書かれている。
3人ともリボンの文字をみて思った。
【本気でこれつけないといけないの‼️】
テンション駄々下がりである。
回りを見ると他の新入生も着けているため仕方ないと、ため息しかでない。
上級生を見ると僕達の反応に自分達も通った道だとばかりに、早く着けろとバッチを見ている。
ため息しかでないが、仕方なく3人とも左胸辺りにバッチを着けた。
上級生達はバッチを着けたのを確認すると、講堂の方を向き歩きだしたのでアルフリート達も着いて歩きだした。
講堂に入ると上級生達の案内は終わったとばかりに去って行った。
アルフリート達は比較的後方の席に並んで座った。
アルフリートの後からもゾロゾロと新入生が入って来て席が埋まって行く。
暫くすると、新入生の両親と思われる貴族が新入生の両脇の壁際に集まってきた。
壇上にも幾人かの教師と思われる人達が並ぶと、
その中の一人が中央迄出てきた。
「此からオリオン皇国 皇都学園の本年度入学式を始めます。
まず、当学園の学園長からのお言葉があります。
学園長、お願いします。」
そぅ言うと後ろにさがり学園長が、中央に進み出てきた。
「新入生諸君、入学おめでとう。
私が当学園の学園長 カサンドラと申します。
貴方方は厳しい試験に合格し、この学園に入学をしました。
でも、まだ入学しただけです。 此から学園で様々な事を学び
そして成長する事を私達は手助けをします。
ですが、それを生かすかどうかは貴方一人、一人の気持ちによります。
友達を作り、より良きライバルとし切磋琢磨して出来れば新入生の皆さんが全員が、今よりより成長して卒業出来る事を願います。」
学園長の挨拶が終わると大きな拍手に包まれた。
学園長が拍手の中後方に下がる。
「次に新入生代表の挨拶。
総合科 フローレシア・フォン・アークライト嬢、
お願いします。」
呼ばれて出てきたのは金髪の女性だった。
出てきた女性がお辞儀をして顔を上げると、講堂内が一瞬静寂に包まれた。
あまりに整った美しい顔立ち、凛とした立ち姿に思わず息を飲んだ感じだ。
女性が中央迄来て口を開いた。
「新入生代表の挨拶をさせて頂きます、フローレシアと申します。
先ほど学園長のお言葉にも御座いましたが、皆さま方と共に学び、より良き学園生活を送りたいと思っております。
そして上級生の皆さま方、教鞭を取られる教師の皆さま方まだ入学したばかりの私達に何卒、ご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
」
女性はそぅ言うとスカートの縁を掴み見事なカーテンシーを披露して後方に下がって行った。
最初から最後迄、あまり美しい所作に暫く静まりかえった後、
パチパチと拍手が聞こえるとその勢いのまま大きな拍手となり、暫く鳴り止まなかった。