アルフリートの物語3
アルフリートの悩みは、クロード、レオナルドも同じで
将来は自領を継ぐ立場なのだがアルフリートの回りからの
プレッシャーや期待は自分達の何倍にもなるだろうと思ってる。
南部公爵領、南部にある各貴族家の統率、民達の生活全てが
いずれアルフリートの双肩にかかっているからだ。
その場に居るものはアルフリートの心情が多少なりとも
解るため言葉をかけれないでいた。
暫くの沈黙のあと、老婆がアルフリートの顔を優しげな表情で
語りかけた。
「アルフリートはもう決めているんじゃあないのかね。
・・・友達、家族、と離れている間の事を心配してる、
そして私達の事、南部領民のこと・・・。」
「いろんな事を背負っているアルフリート達に軽々しい事は
言うつもりはないけど年長者からのお節介として聞いておくれ。
今、自分の思ってる事を、やりたいこと、したいことをしても
誰も咎めたり責めたりできないよ。
子供は可能性の塊さ、色々な事に挑戦して、失敗を繰り返す
準備期間と思いな。
駆け出すときもあれば悩んで足を止めることも有るだろうけど
どんな時でも回りを良く見ることだね。」
老婆はそう言ってアルフリートの顔を真っ直ぐみる。
アルフリートは老婆の言葉を聞いて回りをみわたす。
クロードとレオナルドが何か言いたげに此方を見ている。
ホード夫婦、そして老婆は優しげに微笑みを浮かべている。