表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

赤い霧

作者: 眠人

茜さす新幹線のホームにいた

時刻は覚えていない

雑踏を避けながらぼんやりと歩いていると

何やら鉄のにおいがした

スマホから顔を上げて辺りを見回すと

さっきまでの人混みが見えないほどの霧に

包まれていたそれも赤い霧

一瞬のような何日も経っているような

不思議な不安感に襲われていたとき

赤い霧が恐ろしい速度で目の前の一点に

集まってきていたまるで掃除機に

吸い込まれるようだったが

次第に赤い霧が大きくなってなにやら

赤黒い塊になって集まってくる

どんどん塊が大きくなってもはや

誰に質問するわけでもなく

それがなんだかわかっていた

予想を裏切ったのはそれが完全体を

なすことなく全身まだらの

かろうじて人型を保った血と肉の

怪物に固まってゆっくりとこちらに

近づいてきた最初は声にもならない呻き

をあげ始めたが

「戻らない 戻らない 戻らない」

と呻いていることがわかった

それから起こったことなのか

いつののデジャブなのかわからないが

怪物の背後から特急の新幹線が近ずいてきて

いて怪物に視線を戻すと若く美しい

女の姿になっていた

グウィネス・パルトロウ似の

絶世の美女といってもいいような

容姿だったがその表情は暗く

一目で暗黒に取り憑かれているのがわかった

女は私と目が合うと無感動に

身を反転させて羽のように線路に

吸い込まれていった

女の肉は砕け瞬きの暇もなくバラバラの

肉塊になってそれから蒸発するように

赤い霧になった

私の顔にもミンチの肉と大量の赤い霧が

纏わり付いてきてとても

鉄の匂いがした

気がつくと私は茜さすホームに

立ち竦んでいた

人混みに紛れて

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ