助太刀は旅の醍醐味
股旅姿の弥助が盗賊の剣を華麗に避けながら刀を流れるように振るう。
最後の一人が倒れた。
それを荷馬車の影から怯えながら見つめる者達。
「うう、てってめーただもんじゃねーな」
「安心しな峰打ちだ、あんたもあんたの仲間も死んじゃいねーよ」
弥助は刀を一振りすると鞘に納める。
荷馬車の影からひとりの少年が飛び出す。
「ありがとうございました!」
「こ、こら何をしてるんだルーク」
少年に向かって慌てて走ってくる男。
「旦那様!」
怪我をしている男たちを抱える従者らしき者が声をかける。
「我が息子が失礼しました。
私たちはこの先の街で商売をしている者で御座います。
この度は命をお救いくださり感謝しております。
このお礼も御座いますので、もしよろしければこのまま護衛をお願い出来ませんでしょうか」
どうやら護衛に着いていた3人は怪我で動けないようだ。
弥助は背中に背負っていた籠から救急医療セットを取り出す。
「けがの治療をする、そこへ座んな」
3人の護衛の治療を済ます弥助、痛みも消え傷口もあっという間に塞がった護衛が驚いた顔で商人を見る。
「大変有り難いのですが、お礼はいかほどで・・・」
弥助は三度傘を目深に被ると商人達に背を向ける。
「気にすんな、さっさといっちまいな」
「し、しかしそれではいくら何でも申し訳御座いません」
弥助の前に護衛の3人が進み出る。
「エドガーさん、俺たちが助けて貰ったようなもんだ、あんたは気にするな。
礼が遅れてすまん、俺たちは冒険者パーティー銀の盾、ゲルハルトだ。
助けてくれた上に怪我まで治してくれて礼を言う。
ただ俺たちはあんたに返すものがあまり無い、この借りはいつか返す、名前を教えてくれないか」
弥助は顔も向けずに答える。
「あっしにゃあ、かかわりの無い・・・」
パコーンと頭を叩かれる弥助。
「なに言おうとしてんのよ!このスカポンタン!」
突然現れるユミとタロスケ。
ミニの着物に商人一行の目が釘付けになった。