命短し恋せよ乙女でした
その別れはルークには突然だった。
「ユミお姉ちゃん、タロスケお兄ちゃん、弥助お兄ちゃん・・・」
青く広がる空を見つめながら三人の面影がルークの目に浮かぶ。
出会ってたった10年で永遠の別れを告げた三人。
三人の遺言で遺体は焼却され遺骨は砕かれ風に舞っていった。
惑星猫野の獣人の遺伝子を使ってはいたが、徹底的に強化された人造人間である彼らの寿命は製造後10年で尽きることになっていた。
主にタロスケとユミ、時折居なくなる弥助と共にルークは世界中を旅をして多くの国々の人々と縁を結んだ。
旅では矢のような速さで飛ぶ飛行機に乗り、巨大な船で海を渡り、荷物を満載したトラック数十台を連ねて砂漠を走り、更には海に潜り海底神殿にまで行ける潜水艦にも乗った。
見たこともない街に話したこともない人々と出会った。
怪我人や病人、悲しむ人々を見たルークの悩む顔を見たくないと言いながら3人は数え切れないほどの人々を救った。
気がつけば英雄やら救世主とまで言われるようになっていた。
「ルーク様、そろそろ出発の時間です」
メイドのアリスに促され止めてある車に向かう。
「ルーク!必ず帰ってきておくれ。皆が待っておるからの」
マーモが自分より大きくなったルークの肩を掴む。
「お父さん、みんなのところに必ず帰ることを約束します」
ルークとそれに付き従う7人のメイドが乗り込んだ車が次第に遠ざかり見えなくなっても動かないマーモ。
「旦那様、お体に障ります。そろそろ馬車にお戻りくださいませ」
執事が声をかけるがマーモは動かない。
マーモの杖が地面に転がる。
轟音とともに白い飛行機がマーモの遥か高くに飛び去る。
「必ず、必ず生きて帰って来ておくれルーク!」
ルークを乗せた飛行機が成層圏の向こうに消え去る。
惑星『猫野』の守護の為に惑星調査開拓宇宙船の艦長に就任したルーク。
これから移民宇宙船を乗っ取り惑星『猫野』に行き先を変えた地球のある国との戦いが始まる。




