シャンプーハットのない世界
惑星調査開拓宇宙船《黄金郷》の3人が一つの映像情報を巡って言い争っている。
『おかしいじゃねーかユミよー』
『おかしかないわよ、浴場でなにがあるか分かんないんだから誰かが見ておかないといけないじゃない!』
『そりゃあそーだけどよー、何でオレらは男湯だけでお前は両方監視してんだよ。俺らだって女湯みてーよなータロスケ』
正直な弥助である。
『ばかいってんじゃないわよ!あんたは私とか私とか私の裸が見たいだけじゃない。私は男の裸なんて見たくはないのよ!あんた達だって見たくないはずよ!どーせ適当に監視するのが分かってるわ。だったら私が見ておかないといけないじゃない。文句あんの弥助』
『ここはユミちゃんに任せよーよ弥助君』
素直に引き下がるタロスケ。
女湯の画像情報にモザイクを掛けるユミ。モザイクをかけられる前の情報を何とか手に入れようと画策する弥助。タロスケは密かにモザイクを消すことの出来る技術開発について着手する。
『むっつりよね、タロスケ。知ってたけど』
惑星『猫野』に初めて作られた温泉旅館に圧倒されたまま目玉の露天風呂に向かうマーモ一行。
シャワーは浴びても湯船には入ったことのないルークがユミに連れられてはしゃぐ。男はタロスケに従い、女はユミにレクチャーを受けながら浴場で体を洗う。
「ユミお姉ちゃん、目が痛いよー」
ルークの目にシャンプーが入ったようだ。
慌ててシャワーで頭を流し目の中のシャンプーを取り除くユミ。
「ゴメンねルーク、痛かったでしょう」
「もう大丈夫、ありがとうユミお姉ちゃん」
無邪気な笑顔に思わずルークを抱きしめるユミ。
「おっぱいやわらかーい」
「お姉ちゃんのおっぱい柔らかいかしらー」
「うん!お母さんみたい」
ルークは忙しい母に逢うことはもうあまりない。
「ルーク、お姉ちゃんの背中を流してくれるかしら」
「うん!」
ルークの小さな手が一生懸命ユミの背中を洗う。
マーモがルークを溺愛するのもわかるような気がしたユミであった。