見えないところに凝るのがおしゃれ
アリス、マリア、カレン、サーシャ、オードリーが商人マーモの前に進み出る。
「はじめまして、私達はタロスケ様、ユミ様、そしてここには居ない弥助様にお仕えするメイドで御座います。聖都ロクサーヌへの旅に護衛を兼ねてご一緒させていただくことになりました、どうぞよろしくお願いいたします」
後付の猫耳と尻尾を装着したメイド型アンドロイド5体が優雅にお辞儀をする。
さすがに着物は着ておらずヴィクトリアンスタイルのメイドである。
その後ろに大きめの馬車が5台に馬型アンドロイドが繋がれている。
唖然とするマーモ達。
「タロスケ殿、これは一体・・・」
「マーモ殿の疑問もわかり申す。それにはこれからの旅の中で話すことでよいかな」
「そうそう、せっかく旅をするんだから出来るだけ安全で快適なのがいいじゃない、ルーク君もそう思うよね!」
突然現れた馬車にルークは興奮して馬車のまわりをくるくる回っている。
「お姉ちゃん、すごいよ!僕これ乗りたい!」
無邪気な子供に乗せられマーモ一行も馬車の近くに寄っていく。
機能は分散しているが完全にキャンピング用の馬車、外観は質素だが内装は豪華そのものである。しかも御者席も柔らかい厚手の素材で出来ている。車体構成も車輪こそ違和感のない木製のものであるが、それを支える足回りは超電磁石をバネ代わりにした最新式のものである。
更に室内灯に強化ガラス窓などなどいたれりつくせりであった。
メイドに促され各々馬車に乗り込み出発する。
マーモとルークとともに同じ馬車に乗り込んだタロスケにマーモが早速質問する。
「タロスケ殿、ユミ殿。みなさんは本当に帝国を追い出されてきた方々なのですか」
タロスケとユミが目を合わせたあと、微笑みながら答える。
「マーモ殿とルーク君には本当のことを言おうと思う。
我らはあなた方が想像もできない遥か彼方からここへ来たのだ」
「では、みなさんはもしかしてロクサーヌ様と同じ世界から来られた知恵の神で御座いましょうか」
ああ、やっぱりと思うユミであった。