流行に敏感な人をヒップな奴っていうの
ロクサーヌ神殿へ行くことが決まったが3人は旅をのんびり楽しむことにした。
手持ちの資金が全くない3人。
「マーモ殿、我らもここに世話になって3日、そろそろ旅に出ようと思っているのだがな、如何せん手持ちがちと寂しい体たらく。ひとつ手助けを願いたいのだが」
タロスケが3人を代表してマーモの前で話す。
「そうでございましたか、何を遠慮なさっているのですか。命を救っていただいたのです出来る限りご協力をさせていただきましょう。して、旅の資金はどれほど必要ですかな」
3人は目を合わす。
「マーモさん誤解しないで欲しいの。お金が必要なのは確かなのだけど、キチンと取引で用立てたいのよ」
「これはまた失礼致しました。では取引の内容を知りたいのですが」
「うむ、ユミが申すには料理のレシピをマーモ殿にかってもらいたいといっておるのだが」
「ほほう、それは興味深いですな。私はてっきり皆さんお持ちの薬や武器かと思っておりました」
マーモとしては冒険者の怪我をあっという間に治した医薬品が欲しかったのだろうが、医療技術がかけ離れている事を考慮して取引材料から外した3人。
「なにはともあれ料理を食べてもらわんことには始まらんので、ちと調理場をお借りしたいのだが」
「構いませんとも、食材も全て提供致しましょう」
命を救ってもらったマーモにしてみれば安いものである。
「なんという美味しさだ!」
マーモの驚く隣でユミの料理に夢中になっているルーク。
「テンプレ通りだな、ユミ」
「テンプレっていうな」
「そうだよ弥助君、現地の食材で調理技術も限られてる中でこれだけの料理を作ったユミちゃんに失礼だよ」
「そーよそーよ、見た目だけで未だに楊枝もろくに飛ばせない弥助とは違うんだから」
実は未だに旅烏、ミニスカ着物、侍姿の3人。デルソルで注目の的になっていたのだが、そんな立場に立ったこともなかったため嬉しくなってそのままのファッションをいまだにしているのだ。
「この料理は受けますぞ、是非とも我が商会で出しているレストランで提供したい。いや、このレシピが有れば聖都ロクサーヌに店がかまえられる。
ユミ殿、この他にも料理が御座いますれば是非ともお教えください」
3人の予想を大きく越えた金額がレシピの対価として提供される。
「これでロクサーヌにいけるな、楽しみだぜ」
「そうね、せっかくこの身体を持ってるんだから楽しんでいきましょーよ」
「じゃあ、旅はのんびりって感じでいこうね、みんな」
「異議なーし!」
出発の朝、3人が別れのあいさつをマーモにしにいく。
「エット、マーモさん。ソノ格好はいったい・・・」
3人の目の前には杖を持った着物姿のマーモと、従者が押す手押し車に乗っているルークがいた。
「なかなか決まってますでしょう、みなさんのファッションを採り入れてみたんですよ」
「ごめんなユミ、タロスケ」
弥助は2人にただひたすら頭を下げるのであった。