あいつは何をやってんだか
3人はアニマ共和国、デルソルに何事もなく到着する。
「なあ、ここって随分農業が近代化されてると思わないかタロスケ」
「事前調査通りだけど、こうやって目にすると違和感あるよね」
「工業化が行われる前の技術でできる範囲で先進的な事をしてるって感じね」
三人が商人マーモの協力の下アニマ共和国の歴史、社会体制、文化を調べ上げた。
マルコの屋敷で寛ぎながら見てきたものを含め感想をお互いに述べ合う。
既に3人の中では結論が出ていたのだ・・・先行調査船が何をしたのか。
先行調査船がアニマ共和国に関わったのは間違いない。
「ユミ、あいつがどこに居るか分かってるんだからとっとと行こうぜ」
「あわてない、あわてない。まだ色んなものを食べたいわ」
「そういえば、ユミちゃん昔から体をもったらお菓子とか食べたいとか言ってたもんね」
「なんだよ、散々俺の趣味バカにしてきたのにやってることは同じじゃねーか、なあタロスケ」
いちいち同意を求める弥助に知らん顔をするタロスケ。
目的地はアニマ共和国の聖地、ロクサーヌ神殿。
先行調査船のコードネームである。
アニマ共和国はロクサーヌ神殿を中心に広がっている。
先行調査船がこの地に降りて既に1000年を超える。
彼が何を見て何をしてきたのか問いたださなければ、この惑星を来訪するであろう人類に安心して提供出来ない。
「滅びた者のために新たな星を提供するって、嫌なジョークよね」
ユミが沈みゆく夕日を見つめながら呟く。
「まだそうと決まったわけじゃねーぜユミ、生き残りが地球を脱出してこっちに向かってるかもしれねーしな」
「・・・」
商人の息子ルークが3人のもとに駆け寄ってくる。
ルークを優しく抱き上げるユミであった。