翳る日の丸ープロローグー
西暦2500年。
日本の人口は、2,000万人にまで減少していた。
同年、 日本国政府は国民生活レベルの維持を目的として、人々の居住可能地域を制限し、地域外では一切の公共サービスやインフラ整備を打ち切った。
その為1,200万人が、東京都を中心とした、東京・神奈川・埼玉・千葉の関東都に、
700万人が大阪府を中心とした大阪・京都・兵庫の関西府に、
残りの100万人は、農業、酪農特区として居住許可の降りた北海道の南半分の地域に住むことを余儀なくされた。
それ以外の地域は、放棄された。
ごく僅かにいる。居住可能地域外での生活を選んだ者たちは、住民票を抹消され、存在すら確認することが出来なくなっていった。
また政府は、労働力確保のため、
世界では禁忌とされている、動物のオートメーション使用許可法を可決した。
具体的には、動物の脳にマイクロチップを埋め込み、脳からの信号を操作することで、動物ごとの特徴を活かして仕事をさせる。
さらには動物の改造。
例えば犬に機械の足を取り付け、穴を掘り続けられるようにするといったことが合法化された。
これにより、放棄された地域で動物を捕獲し、人々が使いやすく改良して販売し、利益を上げる者たちが出てきた。
この動物たちは世界中に大きなショックを与えた。
一部の海外のセレブ達は日本に別荘を建て、世界の写真家や報道が押し寄せ、一目みようと外国からの観光客は激増した。
今やこの産業は、GDPの3割を占めるほどとなっていた。