02 街へ
ゆっくりと確実に進んでいきたいです。
目覚める。この世界で目覚めたのは今回で2度目だ。
1度目は、あと戦いの起こる前そして、2度目は今だ。最初に目に入ってきたのは木でできたキレイな茶色家の天井。ベットから体を起こすと体がズキリと痛む。よく見ると包帯やらなんやらが体に巻いてある。どうやら僕は誰かに助けてもらいその上治療をしてもらったらしい。
そう考えているとガチャリと木製のドアが開く。
「あれ?起きちゃった?」
この子が僕を?黒髪で黒い瞳の女の子だ。僕の住んでた世界の年齢だと小学4、5年生くらいだろう。
手には水の入った桶とタオルが入ってある。
「ほら、はやく入って」
お姉さんらしき人が入ってくる。妹と似た黒髪に黒い瞳。とりあえず僕は助けて貰ったお礼を言う。
「あの、助けてもらいありがとうございます。」
「いえいえ!お身体の調子はいかがでしょうか?」
「おかげさまで元気です!」
「でもあのオオフルフを追い払ってくださりありがとうございます。そのおかげで村のみんなは大喜びです!」
「えっ?あ、ありがとうございます。」
オオウルフは僕が倒した化け物もといオオカミの名前らしい。
この世界のことを何も知らない僕からしたら大事な情報だ。
ちょうどその時玄関のドアをノックをされる。妹が元気な返事をしドアに走って近寄る。ドアを開けると白いひげの老人とその後ろに若者が2人。
「「村長様!」」
姉と妹、2人が頭を下げる。その姿にこの村のトップだと僕は確信する。村長は僕を1目見ると
「2人とも頭を上げなさい。 あなたがオオウルフを追い払ってくださったおかげで村の者は大喜びです。本当にありがとう。どうかお礼をしたい。」
僕はその時は必死だったので村の事になると少し悪い気がする。
「いえ!僕もあのときはギリギリでしたので...お礼とかは...」
「ですが...こちらは何としてもお礼がしたいのじゃ」
...素直にお礼を受けきれない。だが僕はその気持ちを捨てて『今必要なこと』に思考を切り替える。
それは『お金、寝る場所、食事』だ。
「あの、一つお願いっていうか頼みたいことが...」
「なんなりと。若い騎士殿。」
僕のことを騎士と呼ぶところがちょっとイタイ...。どちらかと言うと僕は武士とか侍とかじゃないかな?とか思う。この世界にそんなのあるかわからないけど。
「少しのお金それと寝る場所と食事を貰えませんか?旅の途中で...」
僕は怪しまれない程度の嘘をつく。もし、この僕がこの世界の住人ではない事がバレるとマズいかもしれない。
「それだけで宜しいのでしょうか?」
「はい、お願いします!」
その時姉の方が突然言った。
「寝る場所とお食事はこの家でもよろしいでしょうか?」
村長は姉に振り向くとニッコリと笑い僕に振り返る。
「わかった。この者の家でもよろしいでしょうか?」
「はい!ありがとうございます!」
僕もこの2人に感謝したかったからなんの問題もない。村長に深く頭を下げお礼を告げる。村長はそれを見ると身をひるがえし家を出ていった。
僕は2人を見て自己紹介をすることを決める。この世界ではとりあえず少しでも人脈を大切にしたい。
「僕はヒイラギ トウマ って言います。よろしくお願いします。」
すると姉はあわてて自己紹介を初めた。
「わ、私はリエと言います。こっちは妹のエミリです。こちらこそよろしくお願いします。」
自己紹介が終わると部屋がシーンとなり空気が重くなった。キマズイ...。この空気どうしろと...
「あの!私洗濯の続きしてきます!」
姉が飛び上がり部屋を出ていく。洗濯の途中なのかな?僕はそんなことを思ってしまう。けどそんな時間はいまはもったいない。
とりあえず僕はやらなければならない事を頭にまとめる。
一つ目は世界の常識といっぱん知識を覚えること
二つ目はこの世界での僕の力量だ。
何ができ、何ができないのか。これは絶対に知っておきたい。
「ここら辺で図書館みたいな、いっぱい色んなことがわかる所しらないかな?」
姉は洗濯しに言ったので代わりに妹に聞く。
「えっとねー!ここから少し北に進むと大きな街があってねー!そこにいけばわかるよー!」
僕はありがとうと短くお礼を言うと、村長の所に行き話してあったお金をもらいついでに馬車も借りることにする。
馬には乗ったことがないので付き添いに村のダンズさんが送ってくれることになった。僕は初めての馬車に少し興奮する。数分立つと僕は馬車に揺られながらここはゲームの中の世界なのではないのか?と考えたりする。だが昨日の戦いの傷はちゃんと残っているし思うと少し痛い。僕のいた世界ではVRの技術もそこまで進んでいない。剣術の型の確認以外では僕もちゃんと時間を決めてみんなの話についていけるようにゲームは嗜んでいたのでよくわかる。僕はとりあえずわかる限りのゲームのコマンドを口に出す。
「ログアウト、メニュー、装備、持ち物、ユニット、フレンド、ログオフ、アバター、倉庫」
どれも反応しない。それどころかダンズさんに頭大丈夫か?くらいの勢いで見られている。
僕はダメ元で最後に思いついた単語を口にした。
「スキル...────」
柊 刀真
[スキル]
・最上級剣士・心眼・無属性魔法
「え?」
突然浮き上がった文字にびっくりする。
それと同時にこの世界に魔法が存在することも確認できた。僕は無属性魔法が使えるらしいがなぜがマイナーっぽい魔法属性だ。
いっそのこと火属性魔法だったらエンチャントできて火剣!とかできたのにと思う。そうやってスキルの事を考えているうちに目的地に到着する。大きな門をくぐるとすぐに人でいっぱいになる。周りには色々なお店が出ている。日本でデレビで見た都会と同じ風景がそこにあった。
「つきましたよ。トーマさん。私は門の外で待っているので用事が済しだい門の近くまで来てください。」
「はい。ありがとうございます。それではいってきます。」
僕はダンズさんに別れを告げると人混みの中に紛れていった。
次話ではお買い物を楽しんでいきたいと思います。




